雨の中の私
何度も 死のうと思っていた。 生きていても、苦しくてつらいだけ。 こんなに苦しいなら、死んで楽になった方がマシ。 雨の中、私は一人学校の屋上に突っ立っていた。 大好きだったママとパパと妹。 大好きだった彼氏。 大好きだった先生。 大嫌いだったあいつら。 そしてー・・ 大好きだったけど、死んでしまった私の親友。 みんな大好きだったけど、私は生きていけない。 ごめんなさい。 私はこのまま雨になる。 そして楽になる。解放される。そのために私は、雨になる。 「バイバイ、みんな」 そうつぶやくと私は、思いっきりコンクリート蹴った。 体が宙に浮く。 その時・・・ 「太陽!!!」 私が雨になりかけていた時、誰かに腕を引っ張られた。 「なにやってるの太陽!!!」 びっくりして振り向くと、そこにはハルがいた。 「ハル!」 「死ぬなよ太陽!おまえはまだ生きれるだろ!」 「っ!」 私は溢れた涙を手で拭うと、震えながらうなずいた。 私はー・・・まだ生きなきゃいけない・・・・ 拭っても拭っても溢れてくる涙をまた拭いながら、私は階段をゆっくりとおりた。 「たーいよう」 教室まであとちょっとだというのに、階段の最後の一段に、あいつらがいた。 「死ねよ太陽」 「おめぇのせいでハルちゃんは死んだんだよ。お前も死ねよ!」 そう言いながら、リーダーのあいつが、私の髪の毛をつかんで、思いっきり引っ張った。 痛い!やめて! そう言いそうになったけど、言わなかった。 喉にこみあげてくる黒い言葉をグッと飲み込んで、私はあいつらをにらみ返した。 「やめろ」 私が突き放した声で言うと、あいつらは一瞬で黙った。 私はあいつらを残して、また階段へ上がった。 ハルに言わなきゃ。 私、言い返したよって。 ハル! 「・・・・・太陽」 ハルが私を見て言った。 「よくやったじゃん」 「へへ」 私は嬉しくて、思わず笑顔になった。ハルも笑いながら優しく私の頭をなでた。 「えらいえらい」 「ふふ」 「もう雨になろうとなんてするなよ」 ハルが少し泣きそうな声で言った。 「うん、もう私、雨になんてなろうとしないよ」 私は涙で膨らんだ目でハルを見つめながら、大きくうなずいた。 雨の中、私とハルは、笑っていた。 そして、私の目から、大きな涙の粒がこぼれ落ちた。 誰もいない屋上で、私は声もなく一人で笑った。