遥か彼方に、キミの声
私をあの世界に縛り付ける鎖は、誰にもほどけない。 キミでさえも。 私は、神田美月(かんだみつき) 、高校2年生。 そして、異世界の巫女。 神の力を借り、穢れを祓い、清める...それが、私の日常だった。 私と依頼人の二人。暗い部屋で、炎の明かりが三つ四つ、ちらちらと燃える。 そんな光景しか見てこなかった。 この世界へ来るまでは。 私は初めて、学校という所に来た。4月ーーしんがっき、から。 勉強はある程度叩き込まれていたので、ついていけない、という心配はなさそうだ。 嬉しいことに、早速"お友達"もできたのだ。えへん。 「みーつーき!一緒に帰ろ?」 彼女は、竹崎璃子(たけざきりこ)。おなじ組の友達だ。 まだ彼女には、私が巫女であること、そしてこの世界に来た理由は伝えていない。 ...伝えたくない。二度と会えないなんてこと。 私がこの世界へ来た理由はーーやっぱり、穢れを祓うこと。といっても、もとの世界の穢れと違って、この世界の穢れと元の世界の穢れが混じった厄介なやつ。 私は放課後、日々、それらと戦わなければならない。皆には内緒で。 今日も、例外ではない。璃子と帰ったあと、私は戦いに赴く。 祓わなければいけない必要量を祓ったら、元の世界へ戻らなければならない。 でも、戦わなければならない。 ごめんね、璃子。 それから私達はとても仲良くなった。 夏休みだって、普通の休日だって、私達は沢山遊んだ。 思い出は増えていった。 その裏で、私の傷も増えていった。 クリスマスの日に、私は消えた。 もとの世界に戻ったのだ。 最後に、璃子にすべてを話して。 私の"日常"が戻ってきた。 私と依頼人の二人。暗い部屋で、炎の明かりが三つ四つ、ちらちらと燃える。 祓い終わって、依頼人が出ていって、私はひとりになる。 ふと、どこかから声が聞こえる。 「大丈夫。離れてても、心は繋がってるよ...」 最後の、璃子の、言葉。 私は確かに、聞いた。 遥か彼方に、キミの声を。