会いたいよ…
―五年前のことだ。 「ねぇ、悠希。あの星の名前、なんて言うん?」 ある日、わたしと悠希で星を見に来た。 「あれはベガって言うねん。こと座の一部」 悠希は星について詳しい。 「あれやんな、あの、七夕のやつ!」 「そうやな。ベガは織姫星とも言う」 悠希は微笑む。 「可愛そうやん、お互いに好きやのに一年に一回しか会えへんの。」 「まあ仕事すっぽかしとったらだめやろ」 「そっか!」 つられて笑っちゃう。 悠希も笑い出す。 星がきらきらと輝きを増していた気がした。 幸せだったなぁ…あの頃は。 病室でそんなことを思い出す。 「琴音ー!」 元気のいい声が聞こえてくる。 悠希だ。 「ごめんやで、今日ちょっと学校長引いて」 「ううん。いつもきてくれてありがと」 「…治療、進んでるん…?」 悠希がためらいがちに聞いてくる。 「大丈夫やで!わたし強いから!」 そう言ってVサインをする。 …本当はそんなことない。 余命出てるし、治療は難航してる。 でも、大好きな悠希を心配させたくなかった。 「じゃあ明日!!俺野球あるから帰るわ!来月、試合あるから頑張らへんと」 「うん。野球頑張れ!」 笑顔で悠希を見送った。 晴れた空には少し雲がかかっていた。 ー悠希視点ー ついに試合の日だ。琴音にもらった手作りのお守りを握りしめる。 (琴音に応援してもらったんだ。絶対に勝つ) 結果、今回の試合は大勝利だった。 俺は真っ先に琴音のいる病院へ向かった… (琴音に、勝ったってこと伝えよう) 病室のドアを開ける。 え…? そこには苦しんでいる琴音がいた。 看護師さんが琴音を支えている。 「いやだっ、わたし死にたくない」 琴音はごほごほと咳き込んでいる 「こ、琴音…!?」 「悠希っ、ごめんわたしだめみたいやわ…」 「最後に伝えさせてほしいねん…?わたし、悠希のこと、大好きやでっ…」 ショックで記憶がない。 確か俺は看護師さんに部屋から出された。 琴音はそれから数分後に息を引き取った。 短い人生だった。 なんで琴音のような人が死ななきゃだめなんだ? そんなんだったら、俺がいなくなったほうがましだ… その年の夏休みのこと。 俺は琴音の両親に誘われて、墓参りにきた。 その時両親から聞いたことは衝撃だった。 琴音は、一年前から余命が出ていたこと。 それを心配させたくないと俺に隠していたこと。 琴音は…俺のことが好きだったということ。 「多分…悠希くんが来てくれて、琴音喜んどるわ。」 こらえきれなくて、涙が出てきた。 生きてるうちに、言えなくてごめん…俺も琴音のこと、好きだった。 「こんなの…織姫と彦星より酷いわ…」 とある夏の日。うるさいくらいに蝉の声が鳴り響いていた―