塩対応の転校生。
「なんか真緒(まお)ってさ、面倒くね?」 「顔だけだよな笑」 「いや、てか恋愛対象として見れないっつーの!笑」 私の話は、これしかない。 はあ、顔だけ!?恋愛?あんたなんて、こっちから願い下げ! そう言いたいけど、ぐっとこらえる。 そういうところが、こういう噂話に火をつける。 いや、もう火で、火に油を注ぐだけなのかな。 結局、昔好きだった人もみんな同じ考えだった。 ーー真緒!?あー無理無理!あんなの彼女だったらたまんねえ、世界が終わるー笑 なんで、みんな。 これ、個性じゃん。 なんて、響かないのかな。 「転校生を紹介しまーす。」 先生が連れてきたのは女の子だった。 「はじめましてぇ。私、リアっていいまーす!よろしくねっ。」 その途端、男子達の目つきが変わった。 「可愛い…!!」 「リアちゃん、最高!」 いやどこが。ただのぶりっ子じゃん。というのは女子たちみんな心の中で思ってる。 「あ、あとね。もう一人いるの。」 先生が連れてきたのは、今度は男の子だった。 「…ちす。」 イケメンだ!とさっきの男子の状態が女子に移る。 「ねえねえ、名前はー?」 「かっこいいね!」 あっという間に転校生たちの周りには人だかりができた。 「…凪斗(なぎと)。」 どうやら彼の名前は凪斗くん、らしい。 けれど、とてもクールで。 そんなある日、彼の周りの男子が、私の悪口を言っていた。 「あそこに、真緒って子いるんだけど、これがめんどい女でさー。」 「顔だけならいいよな!」 「え、スタイルもいいし?」 「でも、恋愛対象ではないよな!!」 どうやら凪斗くんにまで私のことを広めている。 やめて…! 「ねえ、君が真緒?」 いきなり話しかけられて急いで振り向くと、凪斗くんが立っていた。 「え、えっと、うん…。」 ふーん、と私を品定めする目つきで一通り見た。 「男子たちが勝手に言ってるだけかな。」 そう言って、去った。 また後日。 「凪斗くーん!私ねっ、この前猫飼ってもらったんだぁ!」 「…。」 「あれれぇー?凪斗くん、まだ緊張してるのぉ?大丈夫、転校してきた者同士、仲良くしようねっ!」 「…邪魔。」 リアに対しても相変わらずの塩対応に女子たちは心の中でガッツポーズする。 「ねえ。」 それがいきなり私に話しかけられた。 「ノート見せて。」 それから、なぜか彼は私に色々なことを聞いた。頼んだ。 私のことも、聞いてくれた。 ーー私、よく思われてないんだ。顔だけ女って呼ばれてるんだって。 ーーそんなん、どうでもよ。 かえってその態度が私の救いだった。 「好きなのっ!付き合って…?」 リアの必殺技、上目遣い。 「は?あんたと?無理。」 「そ、そんなぁ。なんでぇ?リア頑張るからぁ!」 すると凪斗くんはふっと笑った。 「無理だと思うけど。だって。」 彼は私の方に歩いてきた。 「俺の彼女になるのは、こいつ。」 心臓の音がうるさい。ドキドキしてる。 手を握り、彼は私と額をこつん、と合わせた。 「彼女になれよ、真緒。」