もういない君と、死んだ僕。
「ほら、真昼、挨拶は?」 最近、近所に男の子が引っ越してきた。 私と同じ、4歳。 「こんにちは」 真昼と呼ばれた男の子がぺこりとおじぎをした。 「こんにちは」 私も返す。 これから、君と私は幼なじみとして生きていくー 大切な人が、死んだ。 幼なじみで 初恋の人だった。 「真昼っ危ない!」 真夏の下校中、後ろから友達の声が聞こえて振り向くと そこには大型トラックがー 目が覚めて辺りを見渡すとそこは何もない白だった。 「おっはようございまーす!目は覚めましたかぁ?」 あなたの声で目が覚めました、 そう言いたくなるほど甲高い声が聞こえた。 大きな白い羽 茶色がかった長い髪 ぱっちりとした大きな目 声の主は天使だった。 「きみ、誰?」 「神内真昼くん、こんにちは。 わたくし、君の”これから”をサポートする天使・まのん でーす!」 天使・まのんがにぱっと笑う。 どこかで見たことのあるような笑顔だった。 「”これから”?」 「君死んじゃったから、来世を決めなきゃなんないの。 天国とか地獄ってないんだよ。生きてた時の罪、死んでからも ぶり返されるって嫌じゃん。 それにしても最近、多いんだよねぇ。君くらいの年で死んじゃう子。」 ”君、死んじゃったから” ”君くらいの年で死んじゃう子” 「あ、じゃあー」 ー川上琴って知ってる? そう聞こうとするとまのんが歩き始めた。 「いいねぇ、君たちは。”これから”を決められて。」 「どう言うこと?」 「私たち天使はね、なりたくてなったわけじゃないの。 ここにいるってことは死んだってことなんだけど、 前世のことは何にも覚えてない。 神様に指名されて、天使になった。」 「もう、戻れないの?」 「誰か、私の前世を知っている人が私のことを、 お前は〇〇だったんだ!って言ってそれが当たってたら 私は君みたいに”これから”を決められるんだけどね。」 そう言いって笑った。 悲しい笑顔だった。 ーどこか、引っかかる。 まのんの笑顔に見覚えがあること。 俺が川上琴のことを聞けなかったこと それってもしかしてー 「…川上琴。」 「へ?」 まのんが俺を見る。 大きな瞳で真っ直ぐ。 「お前、…琴…だろ?」 川上琴は、2年前に死んだ俺の幼なじみ。 そして、初恋の人。 琴が死んだのは、俺たちが両思いになった 次の日だった。 俺と同じで交通事故だ。 まのんが呆然としたように俺を見た。 まのんの髪がだんだん短くなって まっすぐ切りそろえられた前下がりの ショートボブに変わった。 「…真昼…」 まのんの、琴の目は涙でいっぱいだった。 「会いたかった…」 琴が俺に抱きついた。 また、やり直そう。 同じ人生を送ることはできないけど、 また、来世で出会おう。 どこかで、また会える奇跡を願う。 「ほら、夏希、ご挨拶。」 最近、近所に女の子が引っ越してきた。 僕と同じ、6歳。 「こんにちは」 夏希と呼ばれた女の子がぺこりとおじぎをした。 僕もお辞儀をする。 ー久しぶり どこかで、そう聞こえた気がした。