短編小説みんなの答え:0

君がいた夏

リーンリーン 風鈴が風で透き通るような音を響かせる。 私こと、夏樹莉子(なつき りこ)は夏休み中は実家に帰省することになった。ここは祖父と祖母が住んでいる兵庫県。親が夏休み中、長い出張に出ることになったため、私はわざわざ香川県からこちらで過ごすことになった。5.6…いや7年前ぐらいだろうか、私が10歳の時に一度、半年ほどこの家で過ごしていた。その時に、たしか小さい女の子に出会ったような覚えがー「莉子ちゃん。アイス持ってきたよ」と、祖母が暖かな手で私に2本のアイスを差し出してくる。「チョコとみかん、どっちがいいかい?」「あ…みかんで。ありがとうございます」私はそう受け答えた。「まあ、近所の子供たちはみんなチョコレートを選ぶのに、莉子ちゃんは珍しいねぇ」…たしかに、今の子はチョコの方が好きか。「いえ、昔みかんばかり食べていたので。その馴染みです」記憶の片隅にそんな記憶がある。7年ほど前の…8月の下旬ぐらいだったかな。「おや…このあたりにはみかんの木などないはずなんじゃが…ここはスーパーも遠いしのぉ…」…そうだったけ。「アイス、ありがとうございました。私、少し涼みに滝の方に行ってきますね」「ああ、分かったよ。あ…でも1つ気をつけてね。7年前、あそこの森の滝で1人の少女が溺れて亡くなったって言う噂があって…」7年前…少女が溺れて…ズキッ「…っ」頭が痛い。急になんで…。早く涼みに行こう。ーーーザァァァァ滝の音が聞こえてきた。「わ、凄い景色。やっぱりここは涼むのに快適だな」私は滝の方に少し足を進ませようとしたその瞬間、グイッと誰かに引っ張られた。「…そんなに近づいたら落ちちゃうよ」真っ黒なロングヘアに色白な肌。綺麗な平行二重に細い腕。…そして頬に貼られた絆創膏。私は彼女に問いかけた。「大丈夫だよ。こんなぐらいで落ちやしないもの」「…そっか。ごめんね」彼女少し落ち込んだかのように顔を伏せる。「…はぁ、これあげるよ」私はみかんアイスを彼女に差し出した。彼女はすぐににこやかな笑顔にもどり、「ごめんね。もう私行かなきゃ」そう言い、姿を消した。…あっちに民家なんてあったっけ?ーーー次の日、私はまたあの滝に来た。…また彼女に会えるかもしれないと、心のどこかでそう期待していた。「莉子ちゃん」そう聞こえた。振り返る。「また…来てくれたんだね」いた。彼女が。「…暇だったから」「そっか」彼女はまたにこやかな笑顔になる。…また、頭がズキズキと痛くなる。なんだか、ありもしない記憶が遡っているような…その瞬間、ガタッと音が鳴った。「え、?」足場が崩れる。しまった、ここは足場が脆いところだったんだ。…ああ、なんだっけ。あの思い出したいような、思い出したくないような記憶は。「莉子ちゃんっ!」彼女は白い手を伸ばしてきた。私は咄嗟に振り払う。「ばかっ!君まで落ちちゃう!」「っ、別にいい!!莉子ちゃんに私と一緒の死に方なんてさせたくない!」…??一体どういうことだろう、そう考える暇もなく、私と彼女は深い滝に落ちてしまった。水に体が叩きつけられる。痛い。怖い。苦しい。私は咄嗟に彼女の手を繋いでいた。滝の下は深く、どんどん私たちは沈んでいく。ーっ、息、が…っ苦し…ッ……………それから何時間後だったのだろうか。私は目を覚ました。「ッはあっ、はあっ!!」私…はたしか、滝の中に…「りこ…ちゃ…」目を向ける。そこには、真っ青な顔色で私の名前を呼んでいる彼女がいた。「だっ、大丈夫!?と、とにかく誰か…っ」そうだ。ここは滝の下の崖の空洞。なんとか彼女が私をおぶってここに避難したのだ。しかし、こんな細い腕でどうやって…いやそんなことよりもまずは彼女を助けるのが先だ。「ごめっ、んね…、私のせいで…、莉子ちゃんが…っ…」私は無意識に涙が溢れ出した。「っ大丈夫。ずっとそばに居るから。だから」彼女の動きがピタッと止まった。呼吸も目も口も。「…本当?ずっと…?」「…うん」しばらくはこうしていなきゃこの子は死んでしまうだろう。「…なら、」彼女は深く、そして美しい眼をこちらに見せた。「…なら、一緒に死んでくれる?」「なに、言ってるの…、?」「莉子ちゃんが私といてくれるのなら…それなら心配要らないもの」いったいどうしたんだろう。何故か、その時の彼女は私にとってとても恐ろしく見えた。…そういえば、彼女に名を言ってないのに、何故彼女は私の名前をー「ねえ」「…っ」怖い。その感情だけがわたしを支配する。「…嫌っ!!は、離してよっ!」彼女はハッとしたかのように目を見開く。「…酷いよ…莉子ちゃん…昔は、昔はずっと一緒にいてくれたじゃん…そういえば、なんであの時急に私の事押してきたの…?私、もう何も分からないよ…」私が…押した…?彼女を…?「もういい」その彼女の一声で私は崖から突き落とされた。「ばいばい。」

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