分かってた「つもり」。
「ミカ!神崎先生、指輪つけてた!」 そんな焦っている友達の声が耳に入る。 「え…?」私は頭が真っ白になる。 冷や汗が止まらない。 「っ、神崎先生!!手!見せて下さい!」 「え?何でだよ。やだよ。」 「いいから!!」 無理やり手を掴んで薬指に目をやる。 そこにはシルバーの指輪があった。 「…先生みたいな人でも結婚できるんだ」 「な、お前失礼極まりないからな!w」 何で私、こんな事しか言えないんだろ。 何で「おめでとう」の五文字が口から 出ないのだろう。 「奥さん、可愛いですか?」 「お前には言わない!!」 「えーー何でよー先生のケチーー」 だめだ。泣いちゃいそうだ。 叶わないこと、分かってたはずなのに。 現実に直面するってこんなに辛いのか。 先生の前では泣きたくないなぁ。 「じゃあ私、授業なので行きますね!」 「はいはい、頑張れよー」 「あ、先生、」 私は少し離れたところで立ち止まる。 「ん?」 「おめでとうございます。」 私は瞳から溢れる涙を隠すように、 満面の笑みでそう言った。