短編小説みんなの答え:0

月が欲しくなった日

私は麻也(まや)、普通とは言い難い13歳 というのも、私は感情をコントロールし過ぎている。 どんなに悲しい事も、抑え込んで平然でいる どんなに腹が立っても、呑み込んで心にしまう おかげで薬は増える一方 原因はわかりきっている、弟の誠(まこと)だ 簡単にいえば、そう…二重人格 誠とマコトがいるのだ、誠は普通なんだけど、マコトは違う、狂気の権化といっても過言では無いのだ 今日だってマコトは小動物を手にかけた 私はそれでも誠を見捨てれ無かった、世界でどこを探してもたった1人の姉弟 いくら嫌いを重ねても、一つの好きには敵わなかった 私はさっきそう言った けど私は誠を置いて逃げた 私達家族はそんなに裕福では無かった なにか母にお礼がしたかった 「あの猫の中には宝石がある」 マコトがそう言った その後、私の悲鳴とマコトの笑い声が響いた事は読者さんもおわかりでしょう 宝石なんて、無かったし その日の夜、そんな事も知らない誠が無邪気に笑って空を指さした 「姉さん姉さん、今日は満月だ、いいなあ綺麗」 「そうだね、欲しくなっちゃうね」 「ねー」 誠の笑顔に、マコトの狂気が重なる 空に伸ばした私の手に血がついて見えた …もう駄目かもな 『誠、私…月を取りに行くね』 そう言って窓から飛び降りた 「いつ帰るの?今月って言った?」 そう誠が言って振り返った時には私はもう居なかった そこには風で揺れるカーテンと、優しい月明かりしか無かった あれから8年、誠が死んだと聞いた それを聞いて安心した自分が嫌になる あれは間違っていなかった、あの日逃げて正解だったはずなのに、時々考えてしまう 誠と私が笑い合って、手を取り合って生きていく、そんな夢みたいな世界もあったんじゃないかと そうなるには…ちょっと遅すぎたかな あの日を同じ月明かりが、どこか冷たく感じた

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