短編小説みんなの答え:3

死神

命なんて硝子の上にのっている儚くもろいもの。 自分の鎌でたやすく命を奪うことができる。 身体を失った魂を冥界に導くのが俺の仕事。 死神としての役目だ。 死神だって死ぬこともある。 鎌のエネルギーがきれたとき、自分も死ぬ。 魂のエネルギーは、人間の寿命だ。 生きるためには、犠牲が必要。 弱い人間は、そのために生まれたのだから。 ベッドに横たわっている肉体的に15くらいの少女。 動くことすら億劫なのか、ただ目だけが開いている。 命は残り、一週間か。 「だれ?」 死に近づく人間はたまに死神のことが見える。とくに、人生に絶望しているような人間は。 「こんにちは。お見舞いにしに来たのですよ」 少し精神的な干渉をさせてのらった。死神の能力のひとつ、人間の記憶を操る力。 彼女には古い友人と思っているはずだ。 「あぁ、レオ久しぶり」 重そうに体を持ち上げると、俺に向かって微笑んだ。 彼女は、俺が死神とはしらずいろいろなことをしゃべり出す。 昔は健康だったそうだ。けど突如現れたがんによって、幸せな日々は壊れた。 親には捨てられ、知り合いが保護施設にいれてくれたそう。 不意に彼女のこころの声が聞こえた。 辛い、苦しい、やだ、ひどい、ずるい、みんな大嫌い 悲痛な叫び声。 「わたしねぇ、誰にもいったことがないけどいうね。私、アイドルになりたかった、キラキラの。けど無理だよね。私わかるもん。もうすぐ死ぬって」 どうしてまだ15の少女が辛い運命をせおっているのだろう。 いっそここで命を・・・。 鎌は怪しく光る。 胸に鎌をあてた。いやダメだ。自分が死んでしまう 一週間後 真夜中、彼女の容態が悪化し始めた。 仕事だ。鎌の矛先を彼女の胸に当てる。 ふっと彼女の意識が戻った。予想外。死神とばれてしまう。 「レオ・・・会えて良かった」 また意識が途切れた。 操られて言っているだけ。けどその言葉が胸に突き刺さる。 かすかな呼吸。 まだ間に合う。鎌の矛先を自分に向ける。 寿命が吸い取られるのを感じた。 彼女に、残りの寿命をー。 10年後 「アイドルになったきっかけですかー?あまり覚えてないんですけど、子供のときあった男の子がきっかけだったかなー?」 そうインタビューに答えるアイドルは、ひとすじの涙がこぼれた。

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