短編小説みんなの答え:5

水溜り

水の打ち付ける音と、強風による轟音が響き渡る。 ずいぶんと綺麗で、皆それぞれの間隔で落ちながらも、どこか不揃い。 ただ落下していく集団に、なぜか綺麗さを覚えていた。 私は雨上がりの虹が好きとか、そういう訳ではない。 ただ単にこの匂い、見た目、感触。全てにおいて愛していたと思う。 あれほど愛しているものはなかっただろう。 下の方を眺めてみれば、そこにあるのは少し大きめな水溜り。 某塩湖ほどに美しいわけでも無いが、そこに映っていたのは第二の空とも言えるようなものだった。それを踏む大人に、無邪気に飛び越える子供たち。 真上にある空は掴めないが、そこにあるのは掴める空だ。きっとすぐに掴める空だ。 私は、今その境界に立っているのだろう。 ふと思ったのだが、もしあれを私自身が作れたとすれば、人はそれに映り込むだろうか。 「自身の人間像」とかいう話ではない、ただただ、見にくる人がいるかどうかがわからない。 きっと見に来ることはないだろう。 どう足掻いても、どう弁明しても、きっと誰1人興味を示すものは現れないだろう。 自身の犯した罪がわからない。でも、おそらく大罪は犯していた。 人と関わることさえも途方に暮れる作業で、その作業にも価値はなかった。 そんな中でも、私をただ見てくれるだけの人はいた。 それ以上でもそれ以下でもない。ただ見るだけの人だ。 それが救いだった。ただただ愛していた。そうだ。そのはずだ。 ここから10分後には、豪雨によって雨足が強まると予想されている。 そして今、その前触れかの如く風が強まる。 誘っているのではないだろうか。このざわめきは。 きっと私を導こうとしている。そういうことだろう? ...呼びかけて応じる者はいなくて当然だが、私は高所にて一人そう確信した。 私。そして雨足の強まった12:50。 気づいた時には身を委ねていた。 雨が速すぎるのか。それとも私たちが遅すぎたのか。そんな生き様のあらわれ。 粒とまた一粒が、何を残すでもなく降下していった。 まるであの頃と同じだった。 体感5秒にも満たない時間の中、私は2人で空を掴み取っていた。 少しだけ暖かい気がした。 あっ、そうだ。一つ残せたものがあるんだった。 私だけのものではない。私の恋人と、混じり合ったものであろう。 あんなにも明るかった空も、今となっては赤く染まって見れたものじゃなくなった。 もう、見せ物でもなんでもない。 そんな水溜りがひとつ。

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