あの子(感動系)
私は死神だ。 私の仕事は死者の肉体のまじないをかけ、生き返らないようにし、あの世の閻魔のところに連れて行くことだ。 今日は13歳の女子。 今日の8時23分9秒に家の玄関にトラックが突っ込んできて死んでしまうそうだ。 13歳。まだ若い。そして私が死んだ年だ。 私も人間だった。名前は魅ノ月 萌亜(みのずきもあ)。 私はいじめっ子に階段で突き飛ばされて死んだ。 葬式でいじめっ子は泣かなかった。ただ呆然としていた。 黄泉の国に連れて行かれた私は、閻魔に天国にも地獄にもいかず、私のもとで働かないかと言われた。 もうすべてがどうでもよかった。 ただ逃げ出したかった。 …もう、どうでもいい話だ。 でも、あの子を見殺しにはできない。 私はあの子と自分を重ねた。 やるしかない。 私は閻魔のところに行った。 「お願いします。あの子を見殺しにはできません。どうか、あの子を助けてください。」 「なぜだ。なぜあんな小娘など助ける。」 「このとおりです。何でもします。」 今日、初めて見たあの子のために、こんなに必死になったのはなぜだろうか。 閻魔が重い口をひらいた。 「良かろう。だが、引き換えにお前を消さなければならん。…そういうしきたりなのだ。」 「いいです。喜んで、この存在、閻魔様とあの子に捧げます。」 閻魔は微笑んだ。 そしていった。 「さあ、ゆけ、私からの最後の命令だ。」 8時23分、トラックが来たところを私は救った。 そして言った。 「私は魅ノ月 萌亜。あなたにこの身を捧げます。」 彼女は気絶していたが、命に別状はなく、しばらくすると目を覚ました。 近くにいるのは姉だろうか。 彼女は姉に言った。 「あのね、沙友理お姉ちゃん。魅ノ月萌亜って人が助けてくれたの。」 沙友理。私はその名前に覚えがあった。 沙友理は彼女を抱きしめ、泣き叫びながらながら言った。 「萌亜ごめんね。ごめんね。ひどい人でごめんね。許してくれないでしょ。でも、私、あなたのこと、大好きだったの。」 沙友理は続けた。 「同じクラスになったとき、こんなに分かりあえる友はいないって思った。まさかいじめられているように思っているなんて知らなかった。 階段で背中を押したときも、軽い冗談のつもりだったの。ごめんね。ごめんね。」 なんだ。そうだったのか。 私は彼女と沙友理にに微笑みかけた。 「勘違いしてごめんね。ありがとう。バイバイ。」 こんにちは。作者のきつね大福です。 この話は、先のことを全く考えず、一発で書きました。 のると本当に嬉しいです。 日ごろからノートに小説を書いています。 でもほとんどホラー系なので、感動系は初めてです。 話を読んでくれて、本当にありがとうございました。 また、話が載ったときには、よろしくおねがいします。