Pray to God ー神に祈るー
「あんたなんか産まなきゃ良かった!」「どうしてあんたが生きてるの!私の---を返して!」「この欠陥品がっ!」 いつものように脳裏に響く“あの記憶” 私は昔“あの子”を見殺しにした。それは私よりもよっぽど生きる価値のある人。 でも、顔を思い出せない。声も。見た目も。名前も。 だけど私には見殺しにした“大罪”がある限り【私】は“あの子”でいなくちゃならない。 だってだれも【私】を望んでいないから。神様だってそうでしょ?【私】なんかより“あの子”がいいはず。 今日もこうして私は【私】を殺して“あの子”でいる。 ガラガラ 「げっ、“人殺し”かよ」 「うわぁ、また“殺人ピエロ”学校来やがった」 みんな【私】の事も“あの子のふりをする私”の事も“人殺し”“殺人ピエロ”と言ってくる どうして?“人殺し”も“殺人ピエロ”も【私】でしょ?なんでみんなは“あの子のふりをする私”に言ってくるの? キーンコーンカーンコーン 『…あれ、無い』 放課後、鞄に入れてた“あれ”が消えていた。それはなんで大切かもわからない。ただ、手放してはいけない。手放すと“大罪”が“極罪”になる気がする。 クスクス 「うわぁ、困ってるよ“殺人ピエロ”がw」 「うけるw」 あいつらか、まぁいい。自力で探そう。 そんなこんなで“あれ”が見つかったのは2時間後だった。 『帰ろ…』 ようやく帰れる。でも、帰るって言ったって帰った先も“地獄”だ。 『ただいま』 「おっそい。どこほっつき歩いてた訳?」 相変わらずあの人は怒っている 『ごめん、なさい』 「あーもう喋んなクソが。アタシ今から合コンだから大人しくしとくのよ」 そう言ってあの人はどこかへ行ってしまった。 23時59分 いつもの時間だ。 窓の前で両手を握り下を向いて目を瞑る 『神様、神様、私は今日も“あの子”でいられましたでしょうか?』 返事もない一方通行のお祈りを誰もいない真っ暗な部屋でただ1人でする。 『神様、神様、私はこれまで沢山我慢してきました。“あの子”がいなくなった世界で“あの時”死んだのは“あの子”ではなく【私】にして、ずっと“あの子”を演じてきました。終わりのない演技をし続けました。なので神様。1度でいい。1度でいいので【私】の我儘を聞いてください。私を、【私】を、“あの子”の場所へ連れて行ってください。』 そう言って私はナイフを首に当て深夜0時、日付が変わると同時に1人の少女は消えていった。