私の桜 ーー恋は巡ってーー
私、桜原 結葉(さくらはらゆいは)は今日、片想いしていた人、花咲 蓮斗(はなさきれんと)と付き合えることになった。 私の青春にも春がやってきたのだ。 そう、桜が芽吹くように。 「おめでと、結葉!」 「ありがとー!」 親友の収 美亜(しゅうみあ)が祝いの言葉を口にした。 「ねえ、今日映画に行こうよ」 まさか、蓮斗から誘ってくれるなんて。 「もちろん!」 この時、私の桜は満開だった。 ーー付き合って半年後ーー 「ねえ、今度の日曜日さーー」 「ごめん、空いてない」 蓮斗から断られること一ヶ月。 一緒に帰ることすらしてもらえず、私はやがて自分だけの壁を作るようになった。 「結葉…」 「美亜、ほっといて」 独りにさせて。 壁を作る私は、まるで桜が数多の緑の葉っぱをつけ枝を覆い隠すようだった。 ーー付き合って一年後ーー 「ねえ、蓮斗ーー」 部活帰り、教室に寄って行った私は衝撃的な光景を目にした。 「なんで、なんで美亜が…!」 美亜と、蓮斗がキスしていた。 「美亜をいじめてたんだろ?」 「そ、そんなことは…」 「だって、美亜、避けられて悲しかったんだもん。そしたらぁ、蓮斗くんが慰めてくれたの。ごめんね…本当に、結葉、許して」 「優しいな、美亜は」 「もぅ、そんなこと言ってぇ」 彼らは私の存在などないかのようにいちゃつき始める。 ーー私は、何を見せられているの? 壁はもはや意味などなく、なすすべもなく私の葉は散っていった。 ーー付き合って二年後ーー 私はあれから蓮斗と別れた。 最後まで、あの人は謝りもしなかった。 独りで階段に座って景色を眺めていても、あの日が思い出されて涙が出てくる。 「…大丈夫ですか」 振り返ると、一つ上の先輩だろうか、ハンカチを差し出してくれた。 「だ、大丈夫ですっ…」 彼は与那花 巡(よなはなめぐる)と名乗った。 葉っぱもなく裸になった私の木に、彼はまた、つぼみをつけてくれる存在になっていった。 そうしてまた、花が咲き始める。 ーー 「桜原結葉」の「桜」「葉」は物語のキーワードです 「花咲蓮斗」の「花咲」は主人公の最初の花を咲かせるということです 「収美亜」の「収」は奪うという意味があります 「与那花巡」の「与」「花」は主人公に新しい花を与える、「巡」は主人公の桜の循環をあらわしています