本当の親友になれた
私は高2の朱莉(あかり)。私には幼稚園から高校までずっと一緒に幼馴染の親友、七砂(なずな)がいる。でも、七砂は高校に入学してからしばらく経った時からクラスの一軍ギャルグループにいじめられていた。リ―ダ―の彩羽(あやは)を中心に毎日、殴られたり、転ばせられたり、髪や制服の裾を切られたりととにかく陰湿ないじめが続いている。私は高校の近くにある公園のブランコに腰掛けた。殴られてして顔が赤く腫れている七砂の顔が思い浮かぶ。今日も彩羽たちに「おい、この砂野郎!おかわりだよー」と言われて清掃後の汚い水をかけられていた。親友なのに何もできない自分に腹が立ってきてはぁっと大きくため息をついた。昔はよくこの公園で七砂と遊んでいた。このブランコにもよく乗っていた。私の隣のブランコに七砂がいつも腰掛けていたはずなのに今はもう遠い。耐えられなくて涙が出そうになった瞬間、ジャリッと砂を踏む音が聞こえて顔を上げた。そこには七砂がいて私のことをじっと見つめていた。私は何も言えなくてぼうっとしていると七砂から話しかけてきた。「、、、朱莉、」親友なのに何も助けていない私を侮辱する言葉が来るだろうと思って私は身構えた。けれど、何も言わずに私の隣のブランコに腰掛けた。しばらく沈黙したあと、七砂は夕焼けの空を仰いで呟いた。「、、、何か久しぶりだな。この公園も朱莉と顔合わせるのも」「朱莉と顔合わせるのも」という言葉に心がズキンと痛んだ。「あたしはこんな変わったのにこの公園もブランコもなんにも変わってない」、、、どこか寂しげな顔に耐えきれなくて私は嗚咽を漏らした。「、、、七砂、、、私、あんたにずっとひどいことしてたよね」七砂が目を見開いて私を見る。「親友なのに助けなきゃいけないのに自分勝手に見て見ぬふりしてた。許して」最後はまともな言葉にもなっていなかった。何か罵詈雑言を言われるかと思ったけど違った。「、、、なんで朱莉が泣くの?なんで朱莉が謝るのよ」七砂はどこか怒ったようなでも少し寂しいような目では言った。「あんたは、、、朱莉は何も悪いことしてないじゃない」どこか決心に満ち溢れた瞳で言う。「でも、私、親友なのに、、、」「それはあたしも同じよ」そんな七砂の言葉に息を呑む。七砂を見ると七砂も私を見ていた。お互いに見つめ合う。「あたしだって朱莉の気持ち分かってる。何年一緒にいたと思ってんの?」薄笑いをする七砂。「怖いよね。いじめられっ子をかばうなんて。あたしも朱莉の時、同じだった」「え、、、?」私は意味がわからず困惑した。「あんた、小学生の頃、少しいじめられてたでしょ」もちろん覚えている。クラスのヤンチャ男子にいじられていたのだ。でも、あの頃は七砂とクラスも違ったはず。なんで知ってるの?「小3の時、気がないなって思ってあんたのクラスに行ったら聞いたの。朱莉がいじめられてるって。でもあたしだってその時何もできなかった。声をかけることもできなかった」私は呆然とした。「だからさ、」と七砂は続ける。「お互い様の似たものってことよ。あたしら」フフッといたずらっぽく七砂が笑う。彼女の笑顔を見たのは久しぶりだ。「でも、、、」私が口を開きかけると、七砂に口を閉じられた。「でも、朱莉がそこまで言うなら今からあたしの言うこと聞いてよ」真面目な顔を作って言う。「これからも親友でいて。朱莉はあたしのかけがえのない友達なんだから」驚いて嬉しくて私はとうとう大泣きした。七砂が肩に手を乗せてくれる。「ねぇ、聞いてくれる?」「、、、もちろんのもちろんだよ」私は泣きながら答えて七砂は笑った。七砂が私の手を取る。私も握り返した。私たちは本当の意味で親友になったのだ。