魔法使いでも 神様でもないけれど
あたしの友達は、白い天井の下でただ最期を待っている。 「見て!面白そうな小説借りてきたよ!」 いかにも好きそうな優しい色合いの表紙。 「…わ!ありがとう」 あたしは彼女の、優しい笑顔が好きだ。 きっとこの世界で、誰よりも綺麗な笑顔。 大好きな彼女は、いつまであたしに笑顔を 向けてくれるだろう? 「無理、しなくていいんだよ」 「……どういう意味?」 「もうすぐこの世から居なくなる友達といてもなんの特もないでしょ。こんなんじゃ遊びにだって行けないし」 あたしは貴方といたくてここにいる。 でもそれが、上手く言葉に出せなくて。 「…小説、ありがとね」 貴方と話せたのは、それが最後だった。 顔も普通で、勉強も運動も人並み。 目立たないようにひっそりと生きてきた。 「……?」 「これ、あの子から預かってたの。よかったら読んで」 彼女に似た優しい笑顔のその人から手紙を受け取る。 やっぱり貴方が好きそうな青空色の封筒と便箋。 "私にとってのヒーローへ" どうやら貴方にとってあたしはヒーローだったみたいで。 彼女のことだからウソかもしれないけれど。 魔法使いでも 神様でもないけれど、 貴方の"特別"になれていたなら。