闇
私の好きな人を奪ったのは貴方。 その可憐な瞳と声で彼を魅了した。 彼はすっかり貴方に溺水して、私に別れの言葉を告げた。 貴方は学校で私を虐めるようになった。 私はひとりぼっちになった。 どうして? なにか悪いことしたの? なんで貴方はそんなに私の大切な人ばかり奪うの? 私は貴方が大っ嫌い。 大好きだった彼に別れを告げられたとき、彼の瞳にはもう私は映っていないんだなってわかっていた。その理由もわかってる。自業自得なんだってことも。 私が野球部の子と一緒にデートしたから? それが駄目だったの? 彼はカッコよかった。みんなからももてはやされていた。そんな彼と付き合えるなんて凄いね、と友だちからは畏敬の念で見られた。 友だちには、自慢ばっかりしてごめんなさい。 彼には、浮気してごめんなさい。 ごめんなさい。 そう言ってみんなの前で頭を下げて謝ることになった。 私はみんなにとって邪魔者でしかない。 なら、みんなの気に触らないように、ただひたすら謝って、許してもらうしかない。 あんなみんなから馬鹿にされていた私も、大人になって、社長夫人になった。 取引が自分のミスで柔軟に進まなかったことを謝罪する、女性の平社員。 申し訳ございませんでした、と直角よりも深く頭を下げる。 ーそう、貴方だよ。 久しぶり、と私は余裕を装って声を掛ける。 貴方の目が見開かれた。 end