巡り逢う時
【登場人物】 高校生のカップル 『』彼女 「」彼氏 []その他 あの日は、いつもどおりの帰り道だと思っていた。忘れもしない、金曜日の放課後。 「ねぇ。俺のこと好き?」 なんでそんなこと急に、って思いながら答えた『好き』。彼のことは、好きなんてそんなものじゃなかった。大好きだった。愛していた。誰よりも大切で、一緒にいたいと思う人だった。 どんなときでも隣にいてくれて、優しい笑顔で笑ってくれて。記念日なんて一回も忘れたことはない。付き合い始めた日、誕生日、クリスマス、はじめて手を繋いだ日。全部が私と彼の宝物だった。なのに、 次に彼の口から出た言葉は「じゃあ、別れよう」 頭の中は真っ白。何で?何で?何で?私、嫌われたの?ねぇ、何で? 彼は行ってしまった。その日の夜、彼から電話があった。私がそれに出ることはなかった。 月曜日、なんとか普通に振る舞う。そう決めて教室に入ったら、彼の机に花が置かれていた。意味がわからない。なんでみんなないてるの? 一人の友だちが泣きながら私に言う。 [彼女が一番辛いよね] 彼、死んだんだって。病気だったって。家に戻って一人泣いた。泣いて、泣いて、泣いて、叫んだ。もう彼に好きの気持ちを伝えることはできない。 最期に彼が残してくれた、あの日の電話の録音。聞いた内容はこうだった。 「ごめん。今まで言わなかったけど、本当は病気で、半年以上前から医者にはもう半年持つか持たないか、って言われてたんだ。もう、多分俺は死ぬ。今までありがとう。大好きだ。前に話したこと覚えてる?俺がお前より先に死んだら、生まれ変わってまた逢いに行くって。だから、待ってて」 after 5 years 『いつになったら来てくれるの?ばーか』 彼の6回忌。お墓の前でそう零す。 すっかり大人になって、周りの子達は結婚、育児。もしくは仕事でどんどん活躍してるらしい。私は、まぁまぁ。 一筋の雫が頬を流れる。どんどん溢れて止まらない。その場で泣きじゃくっていた。 「なんで泣いてるの?」 後ろを見る。 『え?』 間違いない。彼だ。本当に生まれ変わったの?でも、こんな不思議なことあっていいの?…いや、そんなことは知らない。 まっすぐ向けられる優しさに、涙が出る。今まで閉ざしていた心に、光が灯る。 こんな感覚いつぶりだろう。 あなたがすきです。