拝啓、あの頃の君へ
私はあの春、君と出会った。 よく晴れたあの日、真新しいセーラー服に身を包み、家を出たあの時。 今でもよく覚えている。 となりの席になって嬉しかった日。 同じ部活で、初めて話した日。 私の友達と君と、いっしょに帰った日。 手がふれ合って顔が赤くなった日… 君との思い出は数えきれない。 …この幸せが長く続くように願っていた。 あれからもう3年もたったんだね。 あの日、二人で海辺に遊びにきていて、 地震が来て………津波に…飲み込まれて…… ………君は最期にこう言ったね。 「俺は、やよいが好き」 やよいは私の名前。そういって握っていた手を 放した。 私は家の屋根に登っていた人に助けられて、 偶然助かった。 もう少し水に浸かっていたら低体温症になって 命が危なかったそうだ。 命が助かったのは、君のおかげ。 君が手を放してくれたから、助けてもらえた。 3週間後、君は冷たい姿で見つかった。 当時中1だった私も高校生。 君の代わりに精一杯生きている。 もう、心配しないでね。私、寂しくないよ。 私は今日も写真に手を合わせている。