短編小説みんなの答え:0

死骸

 もういつのことだったか忘れてしまった夏の光景。蝉は耳を貫くように鳴き、空気はどろりとしていて生温い。ふと足元を見てみれば、蟻や蠅などの虫がたかった蝉の死骸があった。しゃがんでそれをまじまじと見てみると、小虫どものうごめきが視界を支配した。真っ黒でもぞもぞと動く生き物の塊。吐きたくなる程に気分が悪くなる光景だが何故か目を離すことができない。そこから動けずにじっと死骸を見ていると、こちらへと虫どもが足を進めてきた。嫌だ。来るな。逃げようとしても足を動かすことができない。黒いうごめきが足の先に達するか達しないかの所で目が覚めた。  最近はいつもこうだ。見た事があるような夏の夢を見る。その夢の中では必ずと言っていい程に虫のたかった蝉の死骸が出てくる。虫たちは蝉をひとしきり貪った後、こちらへと向かってくる。これだけでも十分不快だが、日に日に虫たちはこちらへ向かうスピードを速めているように感じる。私はいつかあの蝉の死骸のように貪られてしまうのだろうか。この夢を見るようになってから、そんな不安がずっと頭の中でぐるぐるとしている。もうどうにかなってしまいそうで、意味もなく外へと飛び出した。  何かに導かれたかのように辿り着いた場所はどことなく夢で見た光景と似ていた。もしかするとと思い、足元を見る。やはりだ。そこには虫のたかった蝉の死骸があった。背中に変に冷たい汗が伝った。今すぐにでも逃げたい気持ちになったが、身体が勝手に動き、しゃがんだ体勢になった。嫌だ。喰われたくない。そう思っても身体は言う事を聞いてくれない。そうしているうちに虫たちはこちらへと向かってきた。いやだ。やめてくれ。動くものがつま先に乗り上げてくる感触を感じた瞬間、ぞわ、と身震いがした。もうどうすることもできない。諦めたと同時に景色が急に変わる。ここは・・・自室の布団の上だ。先程の出来事は全部夢だったのか?もう何が何だか分からなくなった。どれが現実なんだ。戻してくれ。もういやだ。そんな私を嘲笑うかのように蝉が鳴いていた。

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