読み終われば衝撃のエンドータイムスリップ味ー
「あの…好きです! 付き合ってください」 まただ。今月入ってえーっと何人だ?まあ、覚えられないほどの告白。片っ端から断っていく快感や申し訳なさに溺れる毎日。同級生からははやしたてられるはで、正直うんざりしている。 俺は中学3年生の鈴谷いつき。野球部だ。自分で言うのもなんだが、モテる。モテすぎて困っている。ま、中学生活もあと二週間。早いな〜って…。高校は野球推薦で遠いところへ行く。ここでの人間化関係には縁を切る。それでいいんだ。 高校入学式。あんな中学での思いは嫌だ。野球に専念してやる! 野球の推薦で入ったのだから、一年なのにもうベンチ入り。あーつまらない。ここからの昇進はレギュラー入りだけか。 ふと辺りを見渡す。見慣れた風景、見慣れた空気、聴き慣れた音。 「は?」 そこには何かオーラを持った女子生徒の姿があった。そのなびく長い髪に胸の高鳴りを覚える。なんだ? その女子生徒といえば、1年5組、つまり俺と同じクラスのマドンナでくーる系女子、笹橋ゆうだった。まさか… 「今日から新しいマネージャーが来る」って監督の言葉は、ゆうのことだったのか。 高校野球といえば甲子園。俺たちは地区選抜大会を通過して晴れてあの夢の舞台へ。俺の人生イージーモードじゃん。まじ楽勝。早速一回戦目、先制点を許してしまった。言っておくが俺のせいではない。おれ、ベンチだし。 「代打 鈴谷くん」 っとまあ、なぜか俺のせいにされて、その尻拭い係として俺が代打で出ることに。楽勝だろ…?なあ。今までやってきたことだしゃあいいんだ。な…?わかるよなあ?体が動かない。いま、俺の体は石だ。 「す…鈴谷!!お前何やってんだ?しっかりしろ!」 え。誰の声?もはや石の俺の耳は声を捉えられない。…ってゆう?!なんとあの声を出していたのはクール系女子、絶対大声出さなさそうなタイプの笹橋ゆうだった。そうだ。おれはゆうに恋していたんだ。そう自覚してバッターのボックスにたった。 試合は俺のおかげで(?)うちの高校が勝った。ゆう…。 あれから7年後、今もその言葉を胸に、バッターボックスに立つ俺の姿。それを捉える妻と母の目。ありがとう。俺は母に言った。あのとき俺が部室で頭を打ってタイムスリップしなければ俺はこの場にはきっといなかった。ありがとう。俺は母.ゆうにそういった。