最愛のあなたに祝福を。
それは、優しく儚い愛の物語ーー。 僕の、美しい日々は終わりを迎える。 「ごめん、別れよう」 最近態度が冷めていたから、なんとなくそんな気がしていた。 実際言われると傷つくけど。 それでも、僕は彼女ー優海(ゆう)の幸せを祈ることしかできない。隣に立つのは、僕じゃない。 「別れよう」 自分でもびっくりしていた。 でも、もうこれでいいや、と自棄にもなっていた。 篤樹(あつき)のことが好きではなくなったわけじゃないけど。 彼と別れた夜は、満月だった。 そういえば、付き合い始めたのも満月だったな。 自分からフったくせに、思い出に浸るなんて、おごがましい。 自嘲しながら私はまた彼のいない日々を歩み出した。 一年後、僕は新しい人と新しい日々を送っている。 結婚するのだ。 「どう?このドレス」 「うん、すごく似合ってる。綺麗だ」 彼女のことは大切だけど、申し訳ないが、僕は優海を忘れられない。 それでもいいと言ってくれた君に、感謝する。 「そういえばね、あなたの元彼?結婚するらしいよ」 友達から聞いたそれは私に大きく影響を与えた。 自分から振ったくせに、その夜ベッドに突っ伏して泣いた。 「結婚するらしいね。おめでとう、幸せになってね」 朝になって、泣いたまま寝てぐちゃぐちゃになった私は彼にそうメールを送った。 最愛のあなたに祝福を。 2年後、結婚した妻は離婚届を僕に出してきた。 「私は、あなたの一番にならなくていいと思ったの。でも、私を一番に愛してくれる人を見つけたの。だからごめん、別れて」 これに僕が反論することはできない。 元は、僕が妻を一番に愛せなかったのが問題なのだから。僕に、拒否権はない。 けれど、このままでいいのか? 「…離婚は…できない。別居して、そこにその人と住んでいいから」 それは世間一般でいう「浮気」だが、僕の問題はそれを許すほど彼女を傷つけたのだ。 「っ…ありがとう、ごめんなさい…」 どこまでも優しい妻は優海に似ている。 僕は今、幸せだ。 妻に…最愛ではないけれど、愛するあなたに祝福を。 「僕と、結婚してください」 それは、篤樹と別れて3年後のことだった。 新しい彼はどこまでも私のことを大切にしてくれる、優しい人だった。 篤樹のことは大切で、でもそれは心の奥に閉まった。 新しい彼を、同じくらい愛しているから。 「はい、喜んで」 私たちが結婚式を挙げた日、自宅のポストには手紙が入っていた。 『最愛のあなたに祝福を』 大切な彼からの手紙の最後は、そう括られていた。