さようなら。
「さようなら。私の大切で大好きな人。」 騒がしい卒業式の日の朝。 春から通う高校の制服に身を包み、少し肌寒い風を浴び最後の学校へと足を運んだ。 「おはよー!優乃(ゆの)。」 「ん。蓮多(れんた)おはよう。」 彼は私の幼馴染で大切な人で初恋の人。そして私の彼氏。 けど、彼は私と違う高校へ行ってしまう。 彼としっかり会えるのは今日で最後だ。 高校生になっても会えると良いけど 「蓮多、好きだよ。」 恥ずかしながら私は本音を伝えた。 卒業したら会って直接言えない気がするから。 「急にどうした?でも、俺も好きだよ。」 卒業式が私にとって最後の学校の体育館で行われた 卒業式終了後の騒がしい学校前 「優乃!ちょっと良いー?」 「うん。どうしたの蓮多?」 蓮多は珍しく悲しそうな顔をしていた。 そんな顔を見て不安がよぎった。 「優乃、本当に申し訳ないけど。俺と別れて欲しい。」 「え…?どういうこと?」 「理由は……ごめん。言えない。優乃を悲しませたくないからさ。」 「どうしてっ!ねぇ、蓮多!」 「ごめんっ!悪いって思ってる。けど別れるしかないんだ!」 私と彼の別れは唐突なものだった。 彼は理由を説明してくれなかった。 卒業式の翌日、彼からLINEが来た。 けど、そのメッセージを書いたのは彼の母親だった。 『優乃ちゃんへ。 話したいことがあります。明日の14時、隣町の病院へ来て下さい。』 「どういうこと…」 翌日の13時、隣町へ行くことのできる電車へ乗り込んだ。 私の頭は蓮多への心配の気持ちでいっぱいだった。 「来てくれたのね。優乃ちゃん。」 「こんにちは。」 「蓮多のことなんだけどね。」 「はい。」 「実は病気なの。そしてもう限界って所なのよね。でね、あの子優乃ちゃんと別れようと言ったらしいんだけど。そう言ったのは病気だからってことでね。あの子なりの優しさなのよ。」 「はい。」 蓮多が病気だと聞いた時私は聞き間違いだと一瞬思った。 けど、あの時理由を話せなかったこと、悲しませたくないと言ったことを踏まえたら本当のことだとすぐに分かった。 「すみません。本田(ほんだ)さん。話したいことがあるので良いですか?」 「はい。あっ、蓮多の彼女さんも入れて良いですか。」 「まぁ、その方が良いと言っているなら良いですよ。」 「ありがとうございます。行こっか、優乃ちゃん。」 「はい。」 「蓮多っ!」 「蓮多さんのことなのですが、もう命が危うい状態です。それでもし亡くなられた時の事を話しておきたいと思いまして…」 蓮多はたくさんの点滴をして眠っていた。 それから2日後、私はお見舞いへ行った。 「蓮多!」 「優乃!?どうして」 蓮多はまだたくさんの点滴をしていたけれど、元気そうな顔をしていた。 けど、もう無理と訴えているような目をしていた。 「蓮多、お母さんから話聞いたの。あの時、強く言ってごめんね。」 「ううん。知らなかったんだから当たり前だよ。理由も何も言わなかった俺が悪いし。」 「ねぇ、また付き合ってくれませんか?」 「優乃…母さんから聞いたんだろ。俺、もう長くないんだ。優乃の事悲しませたくないんだ。」 「聞いた上で付き合って欲しいって言ってるんだよ?私、これからもずっと蓮多と一緒にいたい。」 「そっか。俺も好きだよ。付き合って欲しいな。」 「もう!告白取らないでよ!けど、嬉しい。よろしくね。」 私と彼の2回目の告白。 私は病気も含めて彼を大切にしたい。大切にすると決めた。 それから1週間後、蓮多は息を引き取った。 「蓮多っ!うっ、うっ、…」 「優乃ちゃん…ごめんねぇ、大丈夫だよ。」 蓮多は私に1通の手紙を残したらしい。 『優乃へ。好きです。大好きです。運動も勉強もできないような俺と付き合ってくれてありがとう。そんな俺のこと好きになってくれてありがとう。俺、嬉しすぎて毎日ずっと優乃のことを想ってたんだよ。好きだよ。またね。蓮多より。』 「蓮多っ!私もぉ、私も好きだよ。」 「またねっ!私の大切な、大好きな大好きな蓮多!」 最後の私はちゃんと笑えてたかな。 蓮多は笑顔の私のことを好きって言ってくれたから。 これからも笑顔を絶やさないように。 蓮多のことを忘れないように。 私は一生ずっと蓮多と一緒にいるんだ。 蓮多が手紙で好きってたくさん言ってくれたから。 その分私も好きってこれからたくさん言うんだ。 ______________________________________________________________________ 悲しみもある恋愛小説です!たくさんの感想お願いします!