ないものねだり。
ー私たち、ないものねだりしてた。 いつも、お姉ちゃんは褒められている。 勉強しなさいとかお母さんには言われるし、もう疲れた。 お姉ちゃんはいいな。 頭がいいんだから。 そして、誰もが口を揃えて言う、美人で清楚系女子だと。 私だって一度は言われてみたいよ… ずるいよ。 一応、私だって一卵性の双子だよ? 性格も違うし… お姉ちゃんばっかり… いつも、妹は可愛がられて、愛されていて。 私は面白みなんてないし、愛されやしないよ… 私も一度は可愛がられて、愛されてみたい。 勉強ができてすごいだとか、言われてもそんなに嬉しくはない。 内面を褒めてよ… 私にないものだけ、妹が吸い取っていったみたい。 そんな妹が、憎らしい。 本当に私たち、双子なのかな… ああ、なんでこんなこと考えちゃうんだろう。 妹ばっかり… 私たちは、不仲な双子であった。 ー10年後 「私ね、昔は妹ばっかりいいなって思ってたの。」 『え?私も!』 『でもさ、今思えば、ないものねだりだったなって思うな。』 「本当にそうだよね。」 「『私たち、ないものねだりしてた。』」 『自分に手に入るはずがないものを欲しがってね。』 「でも、あのときはちょっと辛かったな…」 『うん、わかる。』 『…。』 「あ、いや、今は辛くないし、ちゃんと素直に可愛がれるからね!」 『本当に…?』 「じゃあ、それをお姉ちゃんが証明してあげようか!」 『やだー!』 このような会話を、この日の夕日は聞いていただろうか。 私たちを後ろから見守ってくれていただろうか。 妹は、今も私と同じ夕日を見ているのだろうか。 そう思うと温かい気持ちになる。 あの日の私たちを変えてくれたのは何だったのだろうか。 夕日はきっと、今日も私たちを見ていることだろう。 私たちの命が絶える、いつか遠い日まで、どうか温かい目で見守っていてください。