俺はカイリ。56歳のおじさんです。
「カイ、散歩しに行こうか?」 俺はカイリ。56歳のおじさんです。今話しかけてきたのは俺の姉、ヒナ。 「俺たちも行くよ、なぁ?」 俺の兄であるソウはとても元気。 「面倒臭いからいかないよ」 もう1人の兄でソウと双子のカナ。 カナはソウと対照的でインドア。 『俺も行かない。カナ兄さんと留守番する』 「カイが行かないと意味がないでしょ」 「そうだよ、俺とヒナ姉だけ行っても意味はないんだよ。カイが行くことに意味があるんだから」 『…。わかった、いいよ。その代わり、カナ兄さんも連れて行ってね』 「ふふっ、カイはカナも連れて行けっていう顔をしているね」 そうそう! さすがヒナ姉。俺の考えていることわかってる! 「さて、久しぶりにボール遊びでもしようか。あ、カイとカナは見てるだけでいいよ。やりたく無いもんね?」 「うん」 俺の代わりにカナが言ってくれた。 ーヒュンー 「おー、ソウも大きくなって速い球を投げられるようになったね」 「大きくなってって…。まだ俺9歳なんだけど!?」 「大きくなったよ。9年前はめっちゃ小さかったんだから」 ヒナとソウの会話は続いている。 俺は9年前、生まれていなかったからわからないな。 【ネタバラシ】 皆様、いかがだったでしょうか。 楽しんでもらえたら幸いです。 初めは普通に50代越えの兄弟話。 あまり面白く無いと思った方もいらっしゃるのでは? しかし、後半、徐々に違和感を感じたと思います。 カイが散歩に行かないと意味がない? 「カイはカナも連れて行けっていう顔をしている」→話せないの? 50代がドッチボール? 「ーヒュンー」と効果音もつくほど速い球? ソウはまだ9歳? 56歳のカイの兄じゃ無いの? みなさん、先入観にとらわれていませんか? これは50代越え兄弟の話ではありません。 8歳の犬、カイ(人間で言う56歳)、9歳の人間の双子、ソウとカナ。そして人間の姉のヒナ。 犬と兄弟の話です。 犬は人間語を話せないので、カイだけ鉤括弧が違いますよ。 これを知った上で読み返してください。 なるほど! となるはずです。