君と重なる打ち上げ花火
「好きなの!」 暗くて顔がよく見えない。 ちゃんと、ちゃんと伝わってる? 中学生最後の夏休み。受験勉強もあるけど、今はいいや。 だって、明日は夏祭りなんだもん! しかも、私の好きな人・翔くんとまわれることになってるの! それに、夏祭りの最後にはエンディングの花火イベントがある。 その花火イベントで…私、翔くんに告白しようと思ってる。 怖いけど、まっすぐに気持ち伝えるって決めたから。 「芽夏!おまたせ~」 今日はいちばん仲良しの大親友・藍音と翔くんが来るまでまわる。 「いや~びっくりしちゃったよ!芽夏が空井とまわりたいって言ったとき!」 そう言って私をからかう。 「でも、藍音も彼氏と花火見るって約束してたんでしょ?」 私の言葉に藍音が「声デカいよ!!」と 赤くなる。 それから私たちは、わたあめ食べたり、 金魚すくいしたりして時間をつぶした。 藍音が腕時計を見る。 「あっ!もうこんな時間!」 あっという間に8時になっていた。 「柊!おまたせ~」 自分の苗字を言われて振り返ると、翔くんがいた。 「じゃあ私行くね!芽夏、頑張だよ!」 藍音も彼氏のところに行っちゃって、完全に2人きりになった。 「今日、誘ってくれてありがと。 柊から誘ってくれるの嬉しい!」 「こっちもありがとね!」 今日はいつもより翔くんと話すの緊張する…告白するって考えちゃうからかな… ヒューンドドーン! 「花火!見やすいとこに行こ!」 走って走って、人があまりいない川原に着いた。 ここなら私たち2人しかいないし、堂々と告れるんじゃ… 「翔くん、私ね…初めて同じクラスになった中1のときから、ずっと好き!」 ヒュルルルヒュードドーン 翔くん、もしかして聞こえてない? 花火のせいで聞こえてなかったんだ… 「翔くん?」 「あっ!ごめん聞こえなかった、 もっかい言って!」 「好きなの!」 暗くて顔がよく見えない。 ちゃんと、ちゃんと伝わってる? 「えーと」 えーと?何だろう…はやく言ってよ… 「ごめん!」 声が響く。ごめん…私、フラれたんだ。 「今はそういうの考えらんなくて… 柊のことは友達として好きかな」 「あっそうだよね!突然こんなこと言って困らせてごめんね…」 「こっちこそ…じゃ、俺帰るね!」 友達、か… バカみたい。私って本当… 期待した自分が、私ならいけるかもってちょっと思っていた自分がいた。 もうちょっと冷静に考えていれば。 翔くん、まだいるかな? 涙で視界がぼやけるけど、翔くんは確かに見える。 少し遠くに見えた君と、最後の打ち上げ花火が重なった。 ーENDー 柊芽夏(ひいらぎ めいか) 空井翔(そらい かける) 桐谷藍音(きりたに あいね)