短編小説みんなの答え:0

風に命をのせて

たんぽぽさんは、私の大切なお友達です。 私からちょうど見える位置にいるので、自然に仲良くなりました。 私より随分背が低いですから、見下ろす形になってしまいますが、私たちの立場は同じです。 たんぽぽさんは、周りにお仲間がいらっしゃらないとおっしゃっています。 本当はもっと早い時期に咲くはずだったのに、なぜかこんな場所に落ちたばっかりにこの時期に咲いてしまったのだとも。 私の周りには所せましと仲間がいるので、仲間外れということはありません。皆でたんぽぽさんをかわいがっています。 風の勢いで運よく背伸びできると、はるか遠くまで黄色い仲間がいるのが見えますし、天気がいいとさらに遠くと思われる山まで見えます。 たんぽぽさんは周りを私たちに囲まれて緑の茎以外何も見えませんから、周り一背丈が高い私がどんな様子か話して聞かせています。 「たんぽぽさん、今日はね、とんがりの山が見えるよ。あと、ぺんたての山も。ああ、太陽のお山は見えないなあ。」 しかし、その日、たんぽぽさんは答えませんでした。 いつものお揃いの色とは違う、たんぽぽさんが憧れていた雲のような色になっていました。 「ありがとうね、私と話してくれて。きっとまた会えるわ。だから、」 私の子供達のことをよろしく頼むわね、そう言った後、風が吹きました。 私は涙を流しました。知らぬ間に零れ落ちていました。はっとして下を見ると、たんぽぽさんはいませんでした。 私を揺らす風に、白い雲が浮かんでいました。小さな雲の子供。 気付くと、私の手に雲が引っかかっていました。私は、優しく送り出してあげました。 またね、と。 そして私は、青空を流れてゆく雲の子をずっと眺めていました。 とある日のこと。以前通り過ぎて行った動物に似た見た目の動物がやってきました。動物は、体の一部の細長い部分で私を触りました。 とたんに、その動物の姿がはっきりとわかるようになりました。 「私は人間。ひと。貴方はひまわりさんね。よろしく。私はミリーよ。」 人間は言いました。私は、体の後ろにひろひろと流れる黒い髪を見て感じました。白く柔らかそうな肌を見て思いました。 そして、笑顔を見て。 きっとこの人は、と。

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