失恋後、君と新しい恋をする
私、佐倉夢乃(さくら ゆめの) ___失恋した、中1女子 私の親友、吉川沙耶(よしかわ さや)は、とっても優しい女の子 いつもワーワー騒いでて、うるさくて、ドジなわたしとは大違い おっとりした雰囲気が可愛らしくて、目立たないけど、裏でモテてるんだ 本人は知らなくても、密かに想っている子が多い 私の、憧れだった その友達が、私と同じ、井上朔(いのうえ さく)くんを好きって知って、でも、私はすごく辛い 私…今でも、井上くんのことが好きみたい 沙耶と井上くんは、今、学校で一番有名なカップル 失恋したっていうのに諦められないなんて、私、どうかしてるよね 「あぁ~もうっ!」 私のバカ。なんでこんなに諦められないの 今悩んでたって、何も変わらないんだよ?バカらしい! あれから沙耶は私に話しかけてくれるけど、私はうまく話せてない 沙耶もきっと、心配しているはずだ 迷惑かけちゃって悪いな… 気分を変えるために、私は屋上へ向かった ガチャ、とドアを開けると、その先にいたのは__ 「…誰?」 思わず声に出た。あ、やばっ 「誰って、失礼だなー!俺は坂田蓮。有名人だぜ?」 「……は。何言ってんの?」 なんだろ、この人。バカなのかな 有名人って、私、この人の名前聞いたことないんだけど 「俺、中2。お前は?」 「げっ…先輩か。佐倉夢乃、中1です」 「はっ、後輩か!じゃあ、敬語を使うこと」 「はいはい、わかりましたって」 はー、せっかく休めると思ったのに、屋上もうるさいなんて 全然ゆっくりできないよ 「……なんかあった?夢乃」 「えっ……な、何もないしっ__てか呼び捨て!?」 「別にいいだろ?それより、何かあったかって」 「な、何もないってば。じゃなくて、何もないです。私、もう帰…」 「帰るなよ。話すまで手を離さない」 私を手首をつかむ、坂田先輩 この人は、どうして、こんなに真剣なの? 初対面の私に、こんなに優しくしてくれるの? こんなことされたら、私っ……! 「泣いちゃう、じゃん…!」 ドバッと涙が、滝のように出てきた ずっと堪えていた涙。先輩のせいで、出てきちゃったじゃん…! 「私…好きだよ…諦めるなんて無理。井上くんがっ……好き…!」 「なるほど、失恋したんだな?じゃあ、いくらでも泣けばいい」 口調はちょっとえらそうだけど、声はどこか優しい 落ち着くな……なんでだろう 今日あった、ばかりなのに… 「俺が井上って奴のこと、忘れさせてやる。俺のこと、好きになれよ」 えっ…… 「な、何言ってるんですか?わ、私は、まだ、井上くんが好きで」 「それでもいい。ちょっとずつ、俺を好きになればいい。そいつへの想いを、忘れればいい」 そう言ってくれた、その日から わたしは毎日、屋上へ行くようになった いつでも先輩は優しくて、私を励ましてくれて 屋上に行くのが、毎日の楽しみになっていたんだ *** 「なぁ、沙耶。今日、昨日できたばっかりのドーナツ屋に行かないか?」 「わぁ、すてきっ……!すごく楽しみ!」 「だろだろ?一緒に行こうぜ」 「うんっ、行く!あ、そうだ、私もね、朔くんと一緒に行きたい場所があって__」 この声は、井上くんと沙耶だ 楽しそう。すごく、幸せそう 何より、沙耶と井上くんの笑顔… 井上くん、相手が沙耶じゃなきゃ、きっと、あんなふうに笑わないんだろうな そう思うと、胸が苦しかった だけど、前ほどじゃない。涙も出ない 私、少しは、諦められてるのかな? 屋上へ行くと、先輩が真面目な顔をしていた 「あのさ、夢乃。そろそろ、好きになった?俺のこと」 「へっ」 顔が赤くなる。な、何それっ、恥ずかしい! 「そ、そんなわけ、ないですよ」 「そ?まだ足りねーか…」 一瞬、寂しそうな顔をした彼 でもすぐに笑顔になって、いつも通りおしゃべりした 今のは、なんだったんだろう… *** それから一ヶ月後 「坂田。寂しくなるが、元気でな」 「はい。クラスメイトのみんなには、転校することは内緒にしてください」 えっ……!この声、坂田先輩? 廊下を歩いていると、先生らしき人の声と、坂田先輩の声が聞こえた 転校する…?どういうこと? 坂田先輩、いなくなっちゃうの? 「どういうことですか…?」 「うわっ、夢乃?」 先生がいなくなってから、私は声をかけた 「転校なんて嫌です。もっと話したいです。私、先輩のこと…!」 「俺のこと、何?」 あ、私… 「…負けました。すきです、先輩」 「ハハっ、やった!俺も。離れても、俺はずっと好きだよ」 「私も、です…」 あなたに会えた私は、世界一の幸せ者です__