感じない 忘れない
僕には2歳年下の弟と 2歳年上の兄と 母がいる 父親は、僕が生まれてから一度も目にしたことがない それでも幸せだ それでも しあわせ だった ───「は?」 ある日 雲ひとつない天気のいい日 兄と買い物に出掛けて 家に帰ってきたとき 目に飛び込んできたのは 母と 弟の 死体 「他殺だ」 兄はそう言った 医学に興味のある兄が そう言ったんだ 後日知ったことだが 犯人は父親だったらしい なんで殺したかって? しらない 僕はその日から 何も感じなくなった 何も 感じれなくなった というより 感じづらくなった その約1週間後 僕は病気に なった らしい だが 感じないおかげで 痛みに耐えれる 病気に対抗できた ある日 雲ひとつない天気のいい日 何か 見えた 何か 人の形の …いや 足がない だが 見たことのある顔だった 弟だ 目から涙が出た 悲しい 寂しい ───感じた 久しぶりの感覚だ 他の感覚も感じてきた もちろん 痛みも 痛みに耐えられなくなった僕は 弟と手を繋いで どこか 遠いところへ 歩き出した