飛ぶ日
あと何回立ったら私はここを飛べるだろう。 昔から本の虫だった私は、一つだけものすごい、印象に残っている本がある。 小学1年生の時、課題図書だった本だ。 題名は、「あかねいろのとぶ日」。 この本は、70ページ位の鳥になった女の子、彩羽(さわ)の話だ。 特にお気に入りの文章は、 「さわちゃんは、どこまでもどこまでも透き通った青い空を近くで見上げ、 空がほんのり茜色になってもずっと、ずぅっと飛んでいました。」 小学5年生になった今の私なら言える。 「情景の表し方が綺麗だ。」 どこまでも、夢中で読んでいた。 今日も、飛ぶ場所へ行く。 今日は、手すりまで頑張ってみよか、と心が言う。 「あかねいろのとぶ日」を持って手すりに足をかける。 その瞬間、ビル風というビル風が私の体に強く、強く、語りかけて来た。 いいのか? いいのか? 本当に、飛んじゃって、いいのか? 後の事は分かっているのか? と。 折角だから、お気に入りの情景で飛びたいな、と思ったので空が茜色になるまで待った。 そして、午後4時。 空がほんのり赤色になる。 ぼかした色のような、雲でぼんやりした空は飛ぶのに丁度いい。 今度こそ、手すりに足をかける。 語りかけてくるビル風はもう、いない。 ダッ、と思い切り足を踏む。 ふわり、と体が浮くと 重力で下へと下がっていく。 ああ、これで終わるんだ! 全部、全部、終わるんだ! 親にお礼を言えなかったのは心残りだけど、 もう、責任も、何も背負わないで、このまま終わるんだ! 終わるから、安心して。凛。 辛かったね。もう、大丈夫だよ。 私は、茜色の空を見ながら。 最後聞こえたのは人々の悲鳴。 笑顔で、この世を去った。 【解説】 ・凛 この物語の主人公。 ・飛ぶ表現について 自殺の様子。 ・語りかけてくるビル風は、もういない ビル風の語りかけは、自分の心配事などを表している。 それが、無くなったという事は、自殺をする決心をしたという事。 分かりづらかったかな? じゃ、ばいちょこ~!