かがみよ、かがみ
私、百瀬瑠璃。中3。 自分で言うのも何だが、顔は綺麗な方だと思う。 きれいな二重、高くて真っ直ぐな鼻。 これまでにも沢山チヤホヤされてきたし、褒められてきた。 告白された回数だって多いほうだと思うし、将来は顔を武器にした仕事、例えば女優などに なろうと考えたことだってこれまでによくあった。 性格が悪いところも、顔でカバーしてきた。 ―まぁ、つまり私は見た目だけで中身はない、人間なのだ。 今日も学校に行く。 そういえば今日、転校生が来るらしい。どうでもいいけど。 席につく。 「転入生、どんな子だろうね!」 「女子らしいよ、しかも、可愛いってうわさ」 「えーほんと、仲良くなりたい!」 そんな声が聞こえてくる。 先生が教室に入ってきた。 隣に転校生らしき人もいる。 「今日からお世話になります、鈴鹿かのんです!」 元気そうな子。関わることはなさそう。 ー 数日後。 「転校生のさー、かのんって子可愛くない?」 「学年1の美女って言われてる百瀬さんより可愛くね?」 「まじわかるー」 男子の会話。 え… 「俺は、百瀬さんより好み」 そんな。私は顔だけが取り柄なのに。 他にも 「かのんちゃんって可愛いよね!」 「学年1、いや学校1かもってレベル!」 そんな女子の会話。 私の心の奥では、もやもやが溜まっていく。 私の取り柄って、なんだろう。 ー そして。 ―私はやってはいけないことをした。 鈴鹿さんの靴を、私は捨てたのだ。 そう、それでいいの。 可愛すぎる、鈴鹿さんが悪いの。 ものに落書きしたり、お弁当を捨てたりした。 バレなかった。 そのうち、鈴鹿さんは学校に来なくなった。 クラスのみんなが心配していた。 これで、私が一番だよ。みんな、私を見てよ。 でも、誰も私のことを褒めてくれない。 鈴鹿さんが休んでいる間だって、みんなは鈴鹿さんのことを褒めていた。 みんながどうやったら、いじめの犯人をつきとめることができるのか考えていた。 ー クラスのみんなの努力により、鈴鹿さんは学校に来ることができた。 バレると悟った私はもういじめることをやめた。 バレたらさらにみんな私を見てくれなくなる。 少しだけ、罪悪感もあった。 やっぱり私って性格悪いんだなぁ。 そう気付かされる。 〝顔がいい〟 それだけがやっぱり私の取り柄。 ー 朝起きて、すぐ鏡を見る。 わたしが一番可愛い。 鏡に問う、 「世界で一番、美しいのは誰」と。 だが― 鏡に写っていたのは、〝可愛い〟とは程遠い、醜い、醜い、いじめっ子であった。 まるで、美しい白雪姫に嫉妬感を抱いてしまった、継母だ。