野球
野球が好きだった、「 」。 正直、野球のことは好きじゃなかった。 こけたり、似合わないことばかりしてそうで。 人が多いところは好きじゃないし、なんかこわいしー。 でも、テレビで解説を見てから、好きになった。 たくさんいる野球選手を調べるのが好きだった。 世界に羽ばたいていく人々をみるのが好きだった。 人生で初めてプロ野球を見た時、感動で泣いたのを覚えている。 ホームの歓声が好きだった。 ホームランのボールをいつかキャッチしたかった。 野球選手に、なりたかった。 野球を習いたかった。 野球をやってみたかった。 やって…。 カーンッ! 「あっ…!」 上を見上げて、走って。 みんなで一緒に、「いけー!!」ってさけんで。 願って。 そこをみたらーーー。 『「ホームラーン!!」』 あの歓声の中に、入りたかった。 あのボールを、うってみたかった。 みんなで、嬉しさで泣いてみたかった。 あの服が似合う姿になりたかった。 似合う…姿に。 なりたかったなぁ。 いいなぁ、あの人たちは。 私はー。 妬んでばかりで。 気にしてないふりで。 本当は気にしてて。 「 」に、なりたい。 一度でいいから、ボールを触れてみたかった。 汚かったていいから。 ボロボロでもいいから。 1秒だけでもいいから。 野球ができるなら、何をしてもいい。 短くしたかった髪を、しっかり手入れした。 その髪を、切ってもいい。 履きたかったズボンを、ミニスカートにした。 そのスカートを、捨ててもいい。 黒にしたかったランドセルを、ピンクにした。 そのランドセルを、すててもいい。 制服も、帽子も、靴も…。 全て、捨ててもいいから。 野球が……したかった。 らしくって何? 「 」は野球をしちゃいけないの? どうして? たまに私がみてるのと違う野球を見つける。 入りたかった。 「もっとだめ」 「お前はあの中に入るな」 「変な集団だよね。あれ」 馬鹿にされて。笑われて。 あーあ。 「女子」になりたくなかった。 ーーー 空白があると思いますが、 それは主人公が言いたくなかった「性別」に関する言葉です。 (例)一番最初の、野球が好きだった「 」→野球が好きだった「私」 私がみてるのと違う野球→主人公がみてるのは、男性の野球。 違うから、女子野球。