いつまでも一緒に居る同僚
「あぁ…ようやく終わった…」 パソコンの前でぐうっと背伸びをする。薄暗い社内は、なんとなく不気味だがもう慣れている。 「ふわぁ…今何時だ…ってもう22時か…」 気付けば、時計の長針は10時を指していた。こんなブラック企業に勤めれば、22時を超えるのももう当たり前になってきた。 俺はもうすぐで、この仕事を辞める。もう疲れたからだ。でも、なんとなく寂しい気もする。だって俺には、大切な同僚が居たから。 「あー…一服でもしようかな…」 俺は席を外し、胸ポケットからタバコを取り出す。そして、いつもの屋上へと脚を運んだ。 「よっ、お疲れさん。」 「ん、お前まだ居たのか…タバコ吸うか?」 「おっ!マジで?ラッキー」 同僚が、まだ屋上に居た。珍しい。コイツなんて、仕事が終わったらすぐに家に帰るのに。 そんな事を思いながら俺は、ライターを取り出してタバコに火をつけた。煙たい匂いが、あたりにふわっと広がる。 「そういやさ、お前もうすぐで仕事辞めるんだろ?今までお疲れー」 「うん…ありがとな。でも俺ちょっと寂しいかもな…」 「?なんでだ?」 同僚がタバコを取り出しながら俺の顔を覗き込む。まあ、そうだろうな…と思いながら俺は理由を淡々と話す。 「なんでって…まあ、単にお前と別れんのが寂しいってことだ。」 「…ぶはっ!」 突然、同僚がおかしそうに吹き出した。は?と頭の中がハテナで一杯だった俺は、思わず同僚にこう言った。 「は?何がおかしいんだよ。」 「はは…いや、お前つくづく話俺の聞いてねえなって!」 突然同僚が微笑む顔になったかと思うと、タバコを吸いながらこう言った。 「…俺もさ、この会社辞めるんだよ。」 「え?……え!?」 時間差で驚いてしまった。だってコイツは、こんな会社でも仕事が好きな有能だった。まさか何か悩み事でもあったのか?疲れたのか?と何故か唐突に不安になった。 「え、それって会社が嫌で…!?」 「違うっつーの!俺もお前と別れんのが嫌なの!だからさ、仕事辞めるんだわ、俺も!」 そうやって、少年のような無垢な笑顔で俺に笑いかけた。…コイツと俺は、いつまでも一緒に居るような親友だった。 「あ、そういやお前転職先決まってるー?決まってないんなら一緒に決めようぜ!」 「え、え…?お、お前…どうして、」 「はは、どうしてって。『ずっと一緒に居たい』からに決まってんだろ。」 ──ああ、やっぱりお前は最高の親友だ。