蕾
もう、9月も終わりか。 高い空を見上げ、私は呟く。 今日は9月30日。 ついこの間まで、日差しも強いし、まだ夏だなと思っていたのに、涼しい風が北から吹くようになっていた。 もう秋になるのか。紅葉が綺麗だろうな。 そんなことを考えていた。 「蕾。 声が聞こえて振り返ると、そこには、私の両親がいた。 「お誕生日、おめでとう。 そう。今日は私の誕生日。 ありがとう。 「プレゼント、喜んでくれたらいいんだけど。 すっごい嬉しいよ。 「あ、ここに置いておくわね? うん。ありがとう。 「やっほ!蕾! この元気な声は、咲良。 「誕生日おめでと! ありがとう! 「覚えてる?去年の誕生日は私がプレゼント家に忘れてきててさーw w確かにそうだったね 「今年はちゃーんと!持ってきたから! 持ってくると思ってなくてむしろ驚いたよw 「ほんと…おめでとっ…!…っ…またねっ! うん…ありがと。 「…蕾。 …碧。私の幼馴染で、…私の、彼氏、だった人。 「誕生日、おめでとう。 wわざわざありがと。 「あ、こっちは、姉ちゃんと、母さんから。 え、嘘!?…お礼、言いたいな。 「…今頃、お礼言いたいとか、思ってるんだろうな。 エスパーか何かなの?w 「んじゃ、また。 うん。 「次は、法事の時。 うん。 「…本当、早すぎ。 …ごめんね。 「…守れなくて、ごめん。 そんな。碧が無事で、嬉しいよ。 「…また。 うん。ありがとう。 もう、9月も終わり。 今日で、9月は終わり。 次は、法事の時。 次会えるのは、その時。 私の好きなマリーゴールドの蕾。 咲良と買ったコンビニスイーツ。 碧とお揃いの指輪。 全部が私の宝物。 もう人生は終わり。始まることはない。 蕾が開くのを見守っていよう。