少女の決意
駅のホームで、心臓をバクバクさせながら電車を待っていた。 先ほどから、電車が来ても怖くて動けていない。電車は10本ほど見逃したから、30分ほどここにいる計算になる。 早くしなくちゃ、と焦れば焦るほど足が動かなくなる。 ここから動かなきゃ、と思えば思うほど体が重くなる。 私は、不登校だ。 “起立性調節障害”という障害を持っていて、学校にはお昼頃から登校することが多かった。 それでクラスにも馴染めず、症状も悪化して不登校になった。 不登校になってからは、家族には心配や迷惑をかけっぱなし。 そんな自分に嫌気がさして、駅に来た。 駅につけば決意も固まると思っていたけれど、全くここから動けない。 真っ昼間に1人で突っ立っている女子中学生というのは案外目立つもので、先ほどから大学生と思われる若い女性からじろじろ見られている。 次こそは、いかなきゃ。 通学鞄をぎゅっと握り、電車が来るのを待つ。 足は震えて、真夏なのに寒気がして時折震えてしまう。 次は絶対にいかなきゃ。次の機会は絶対に逃しちゃだめだ。こうやって電車を待っている間に、決意が揺らいでしまうかもしれない。 そう考えれば考えるほど頭がくらくらしてくる。学校のことや親のことを考えると自然と涙が出てくる。 いかなきゃだめ、いかなきゃだめ、いかなきゃだめ、いかなきゃだめ。 そう自分に言い聞かせるうちに過呼吸になってしまう。 深呼吸をして、一旦落ち着いてみる。 大丈夫、ここから動くことができればすぐなんだから。 大丈夫、いま頑張ればすぐなんだから。 大丈夫、大丈夫、大丈夫…… 『まもなく、○番線に、電車が到着します。危険ですので、黄色の線までお下がりください。』 アナウンスを聞いて顔を上げる。 すぅーっと小さく息を吸い、そこから歩き出す。 大丈夫。そう自分に言い聞かせ、目をぎゅっとつむりながら、ホームから一歩踏み出した。