△の幸せ方程式
俺は幼馴染のあずきに恋をしてる。 だけど、あずきの幸せの先には 俺はいないんだって分かるんだ。 あずきが俺に恋愛相談した時、 あずきから聞いた。 あずきは、俺じゃなくて、 俺の親友の翠(みどり) のことが好き、らしい。 聞いた時は少しショックだったけど、 薄々気づいてたんだ。 あずきは俺のこと、 友達としてしか見てないって。 これはいわゆる、三角関係だ。 俺に恋愛相談をしてから、 あずきは変わった。 髪型を変えたり、ポーチを持ったり。 俺が知ってる 「そばかすの似合う、いつも笑顔で 優しい女の子」 のあずきは、 もっと、もっと可愛くなっていった。 だけど、なんだか複雑で。 あずきが可愛くなっているのは、 俺のためじゃなくて、 翠のためなんだ。 努力しているあずきには 幸せになって欲しい。 だけど、俺はどこか寂しくなっていた。 そんなどうしようもない毎日に 迷って、俺はあずきの好きな子であり、 俺の親友の翠に相談した。 「なあ、翠ってさ、好きな女子とかいんの?」 俺と一緒に部屋でゲームしていた 翠はコントローラーをいじりながら、 うーん、と考え込んだ。 「……ま、柚幸(つゆき)には 言わないけどさ、どうしたの?もしかして、 柚幸にも好きな子できた?」 「う…。好きっちゃ、好きな子できたよ…。」 俺がそう言うと翠はゲームの コントローラーを置いて、 俺の方に寄ってきた。 「だれ!?いやー、柚幸ももうそんな年頃かー!」 「は!?違ぇし。 …俺の好きな女子さ、 俺じゃない、好きな子いるんだよ。 だから恋した時から どんどん可愛くなってって…、 でも可愛くなってんのは 俺のためじゃないと思うと、 なんか、変な感じしてさ…」 俺がもじもじしてそう言うと、 翠は「そんなことか」と言う顔をして、 俺にしっかり目を合わせた。 「じゃあ、その女子は お前が幸せにしてやれよ。 その子のこと、好きなんだろ?」 翠から言われたその言葉は、 俺のやけに胸に刺さった。 それから一週間、悩みに悩んだ。 でも、もう大丈夫。 三角関係の、答えを出す。 __よし、覚悟は決めた。 今日、あずきは翠に告白するらしい。 放課後の屋上。 暁色に染まった空の下で、 あずきは翠に言った。 「わ…私っ、翠くんのことが、好きで…」 俺は赤くなるあずきの顔を、 こっそり倉庫の裏から見ていた。 翠は目を丸くして、 少し戸惑ってたけど、はっきり言った。 「俺も、好き。」 あずきは今まで見たことないような 嬉しそうな笑顔ではしゃいだ。 幸せそうで、よかった。 きっとこれがあずきの幸せだから。 __俺にあずきを幸せにすることはできない。 だけど、あずきのことは大好きだから。 これが俺の、あずきを幸せにできる 唯一の方法だったんだ。 俺は1人、倉庫の裏で 夕焼けの空を眺める。 この、嬉し涙が、 あずきにバレてませんように。