短編小説みんなの答え:4

ささやかな願い

「星に願いことをすれば願いが叶う」 信じてきた。 だから、受験の時も、テストの時も、大会の時も…ずっと願っては毎回叶えてくれた。 そんなに大きな願い事は叶うのにーー。 「月夏(るか)、何してるの?」 「んーとね、星見てる」 「また?笑 ほんと凜は星が好きだね」 「勿論でしょ」 幼馴染で大好きな大輝(だいき) だけど、まだ想いを伝えてはいないんだーー。 「どうか、大輝と一緒にいられますように」 そんなささやかな願い。 だけど大輝は私のことを、単なる「幼馴染」としか思っていなくて、もしかしたら異性としてすら見られていないのかもしれない。 ある日、私は街を歩いていると、大輝を見つけた。 ……告白、されていた。 ーー嫌だ。 嫌だ、嫌だーー大輝が、他の人に頬を染める姿なんて、死んでも見たくない! 気づけば、夢中で駆け出していた。 その矢先ー。 「凜!!!」 後ろから声がして、振り向くと同時に私は押された。 少し転んで、でも、痛くなかった。 ーー大輝のその様子の方が、すごくすごく、痛々しくて。 「なにが、おこった、の……?」 それから数秒してやっと現実と向き合うことになってしまった。 私は横断歩道を走っていて、信号無視の車が飛び出して来たこと。そして、大輝は私を庇ってくれたことーー。 「…凜、大好き、だよ…」 大輝がうっすらとしたか弱い声でそう言った時、思わず涙が流れていた。 「…遅い、よ…私も、大好き、なのにぃっ……!!」 それが届いたのかは、わからない。 ただ、それから星を見ることはやめた。 星を見るとどうしても、大輝を思い出してしまう。 彼らはーー星は、「大輝と一緒にいる」というささやかな願いすら、叶えてはくれなかったから。 私はずっと、大輝を想っている。 それはいつまで続くのかーー。 25を越えてしまった今でもそう思ったりする。 ああ、今日は、大輝の命日だー。 なんとなく外に出てみると、満天の星空が広がっている。 「大輝、大好き、だよ……」 私のささやかな、でも一番叶えて欲しかったその願いを、私を、裏切った星たちがきらきらと光って私たちを照らしていた。

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