短編小説の相談いちらん
短編小説
みんなが作った短編小説のコーナーだよ。※2024年9月30日までの投稿で受け付けを終了いたしました。
花咲
クリーム色の空気が、私の髪の毛に触れる。いつもより、柔らかく感じる春の大気は、私の想いと一緒に、進んで行った。 彼は、よく私と一緒にこの土手へ出かけた。新品の自転車を漕がせて、たまには歩いたり、彼の免許を持った車に乗ったり。見る風景と共に、彼の顔もまた違かったな、と今では感じる。 いつもこの場所へ来ると、私の今座っているこのコンクリートに座って、2人で、沢山駄弁った。好きな季節、好きな曲。彼は、私が求めている話を躊躇無く、すぐに話してくれていた。付き合い始めて、その話を聞いていく内に、この人は、嘘をつかない人なんだな、と勝手に思っていた。 蜜の匂いが隣から漂う。 狭いコンクリートの間にひっそりと佇んでいたのは、コスモスだった。指先で花弁に触れると、ふわっとした感覚が指先を包んだ。その感覚が、暖かく気持ち良く、掌(てのひら)で包んだ。自分の冷え性な肌が、雪解けのように暖まるのを感じる。しばらく、その感覚に浸っていると、花弁が1枚、はらりと落ちた。その花弁は、丁度よく来た風に攫われた。 それを見て、色んな思いが募った。 1枚、欠けた花を見つめる。私の、彼を失った心情をそのまま体現してるように感じる。それを感じる自分にも呆れてしまって、自分を鼻で笑ってしまった。 自分が、すごく惨めだとも、感じた。 目頭が熱い。鼻先に、目から垂れた水が滴った。すっかり空気は冷えていて、空はもう、深海のような青になっていた。 掌も、すっかり冷えてしまった。そんな自分を温めてくれる存在を思い出した。もう、その人は、離れてしまった。 コスモスの花弁が、また1枚落ちた。 花占い、という言葉が、頭に過った。 コスモスの花弁を、自分の手で1枚剥がしてみる。指先でつまんだ花弁は、風に吹かれて、上へ昇ってしまった。自分の髪の毛が、風に吹かれて、少し冷たくなっているのを、肌で感じた。 さっき、ちぎったのは「好き」の花びらだった。次ちぎるのは、「嫌い」だ。 こんなことしてる自分が虚しい。 叶わない思いを抱えている自分が、虚しい。その思いのやり場は、もう居ないことはわかっている。でも、答えを出すやり方が、これしか無かった。花びらが、無くなっていく様子に、自分の期待も少なくなってしまったりした。枚数を数えれば、答えが手に取るようにわかってしまうからだ、なのに、このやり方を取ってしまう自分に、嫌悪を覚えた。 自分の涙が、波のように揺れた。 震える指先で、「嫌い」をちぎった。 花弁は、残り2枚。 _ いわさきです。 恋愛って願い事が増える度に悲しくなるっていう話です。
No.1でも振り向かない。
私は、自分で言うのもなんだが顔は良い方だ。絶対。 そんな私を囲う男達も、私の容姿に虜になったのだろう。でも男達は私のタイプではないし、まず顔が無理。 この私の容姿と人気から、妬まれることもあった。よく女の集団から呼びだしをくらっていた。 でも男に泣きつけば済む話で、私はいつも通りの毎日を過ごしていた。 周りの女を蹴落として、常に私が頂点にいるよう仕向けた。女達の嫉妬に狂う顔が好きだし、何より私が一番になりたかったからだ。 男に良い顔しとけば、チヤホヤされて嬉しいし。 そんな私も晴れて好きな人ができた。 女は無理だから、私を囲う男達に相談してみた。 悔しいけれど私ならいける、と背中を押してくれた。 まあ、それもそうか。 この容姿と猫被れば、イチコロよね。 私は頂点に立つ女。 いわばNo.1。容姿も何もかも全て! 「え、ごめん。」 「…は、何言ってんの。アンタも嬉しいでしょ?この私からの告白…」 「いや無理だって、お前中身腐ってて醜いもん。男にだけ良い顔しても無駄だぞ」 彼は冷めた目で私を見てきた。 ごめんねぇ~と馬鹿にするような言い方で謝ると、彼はここを去っていった。
あなたの居場所はどこ?
隣の家に住む彼の部屋から、彼のイライラする様子が見える。 原因はきっと彼のガールフレンド。また喧嘩か。彼の言ったことに対して一方的に腹を立てているんだろう。 彼女には彼のユーモアがわかんないんだ。私と違って…。だから私は、あの子が好まなそうな歌を聴いて過ごす。あの子とは違うから。 しばらくして、私は鏡の前に立つ。決して美人とは言えない容姿、おまけに視力も悪くてメガネは手放せない。 「はぁ…」 もっときれいな子に生まれたら、よかったのに。 そしたら、私もあの子みたいにミニスカートやハイヒールの似合う、彼の彼女にふさわしい女の子になれるのに。 それに、あの子はみんなが憧れるチアリーダー。私はただの観客だ。サッカー部のエースの彼にふさわしいのは、あの子しかいないんだ。 「あと一点だ!!」 彼の声がサッカー場に響く。彼女は、かわいいチア服を着て、一生懸命踊っている。またため息が出そうだ。私とは何もかも違う。 その後も彼らのチームは頑張ったが、惜しくも負けてしまった。 試合後、サッカー部の部室から声が聞こえてきた。 「なんであんなチームに負けてんのよ。恥ずかしい。」 「なんだよ、それ。どうかしてるだろ!」 また喧嘩してる。あんな言い方はないでしょう。あの子は、何もわかってないな。 私のほうが絶対に彼のことを分かってあげられるのに。 あれから数週間経ったけど、あなた、笑わなくなったね。 いつになったらあなたは気づいてくれるのかな。 あなたのことを分かってあげられる子がこんなに近くにいるって。 いつか気づいたら、言ってよ。 隣は私だけだって。 end
もう、二度と会えないけれど…
「コロ!ほらもう、またチョコ食べようとしたの?だめだって!死んじゃうんだよ?」 あの時の私はまだ無邪気でよかった。 「ワン!」 としか言わないけれど、私達は不思議な何かで通じ合ってた。 コロはいつどんな時でもすぐそばにいてくれた。例えばそう。私がイジメに遭っていたとき。ずっと、寝てるときも四六時中そばにいて、その優しい瞳で私を促してくれた。 でも、私が中学3年生になったとき、コロは体調が悪化した。きっと、寿命だって言われた。泣かないって、決めてたのに、いつかそういう時は来るって分かってたのに、泣いちゃった。 コロは不思議そうな目で私を見る。 ああ、この子は何もわかっちゃいないんだ。いつか自分がもうすぐ死ぬことも。力尽きてもう生きていられないことも。なんにも知らないんだ。 コロ、ごめんなさい。私が人間でごめんなさい。コロが生きられなくて、ごめんなさい。 そして、コロは死んだ。 私が寝たあとだった。 見ていたかったけれど。 「飼い主に死に姿を見せたら、申し訳ない」 コロはそう考えてくれたのかな。 そっか、コロありがとう。 ここまで読んでくれてありがとうございます!! いつもは、恋愛系とか書くのが好きなんですけど、こーゆーのもいいなと思って書きました! 死にたいなとか、思わないで、生きてください。生きたくても死ぬ人だっている。今の自分に感謝して、頑張ってください。 そういう想いを込めて書きました!! 貴方の胸に届くといいです! では!
お寺の地縛霊
バタバタと賑やかなお寺。 慌てているお坊さん。 毎年恒例のこの景色は、ひそかに一年で一番好きな景色だったりする。 ん?私は誰かって? 私はお寺にすむ地縛霊。 お寺に地縛霊なんて大丈夫かと思う人もいるかもしれない。 けど、やめられないのだ。 何故かって? ここには、私の初恋の人が働いているから。 人間のころからずっと片想いしてる人で、とてもカッコいい。 え?なに?初恋の人が気になるって? だーめ!あなたたちが恋のライバルになったら、大変だもの! ………けど、まあ、少しだけなら話していい、かな。 _そう、あれは十年前、中学生のころの私の話。 私は、二学年上の先輩に初恋をしたの。 その時私は中三で、合格祈願のお守りを買おうとしたの。 そのとき、お寺でアルバイトしていた先輩にあって、一目惚れ。 どうしても仲良くなりたくて、放課後はお寺に毎日いって、 先輩に話し掛けて、メアド交換したりもした。 がらじゃないのに恋守りも買ったりしたの。ふふふっ。 で、ある時私は決心した。 大晦日に、お寺で先輩に告白しようと。 けど、大晦日に行く途中に、事故にあって死んじゃったんだよね… それでも諦めきれなくて、今でもこうして地縛霊として先輩を見守ってる。 …けど、そんな生活ももう終わり。 今年の大晦日に、私は強制で天界に行くことになる。 あ~あ、結局告白できずに終わっちゃったな。 『先輩、好きです』 …なーんて、今告白しても意味ないか。 どうせ私の声なんて聞こえない… 「…黒須?」 先輩……!?何で私の名前…… 「あっれー、黒須がいた気がするんだけど…」 _そっか、先輩は全部分かっちゃうのか! 昔も、今も… 『ありがとね、先輩!』 最後の思い出を、ありがとう。 大好きでした。先輩。 《 END 》
お風呂場のシャンプーやボディソープがしゃべったら
リンス「使われないなぁ。」 リンスは、思わず、ため息をついた。 ボディソープ「どうしたの?」 ボディソープが聞いてくる。 リンス「使われないの!人間に!」 シャンプー「まぁ、母、父、男3人の、元気な家庭だしね・・・。」 石鹸「母も、おしゃれに興味ないし。」 リンス「シャンプーや、ボディソープはいいな。たくさん使われるじゃん。」 リンスは、うらやましそうに、シャンプーとボディソープを見た。 使われないリンス「ちょっと待ったぁぁ!」 使われないリンスが叫んだ。 シャンプー・リンス・ボディソープ・石鹸「あ、使われないリンス先輩!」 使われないリンス「その呼び方やめろ。」 リンス「シャンプーが、無くなったとき、ボトルのシャンプー、リンスを買われ、使われてないなんて、ドンマイですwww。」 使われないリンス「また新しく買われた、リンスくんとは、出会って日は浅いが、僕は、すでに、君のことが嫌いだ。」 リンス「www」 石鹸「で、でも、速く使われるってそんなにいいことですかね?命が短いってことですよ?」 シャンプー・ボディソープ「確かに。」「それな」 使われないリンス・リンス「いっぱい使われる君たちに俺らの気持ちなんて、わかんねぇよ!」 ハモった。 使われないリンス「分からない?永遠に使われず、存在を忘れられ、ただただ、風呂場の隅で生きていく、そんな人生、歩みたい?」 シャンプー・ボディソープ・石鹸「確かに・・・。」 リンス「つかまず、人じゃねぇし!」 その夜 長男「ねぇ、母ちゃん!シャンプー無いんだけど!」 次男「詰め替えもないよ!」 母「分かった分かった!母ちゃん、今、夕飯作りで、忙しいの!リンスで洗って!そこに、使われてないリンスあるでしょ!」 長男・次男「分かったー!」 シュッ、シュッ、シュッ 使われてないリンス先輩をプッシュする音が、お風呂場に響いた。 使われてないリンス「良かったぁぁぁ!!!」 使われてないリンス先輩は、涙を流して喜んだ。 リンス「www」 それを見たリンスは、鼻で笑ってとさ。めでたしめでたし。
恋
「よし!今日から私も中学生!!」 私は、流華(るか)!今日から中学生! 私は幼なじみの杏那(あんな)と一緒にこれから通う中学校の入学式へいっていました! 杏那「流華は、何組?」 流華「私は...2組!」 杏那「えー!まじかー!私、3組だー」 流華「えぇ。最悪ー。」 杏那「え。てか、流華。あんた秋人(あきと)と一緒のクラスじゃん!良かっね!」 流華「ほんとだ!!」 そう。私には“多分”片思い中の秋人君がいる。 杏那「流華また後でね!」 流華「うん!」 ・教室にて・ 秋人「あれ。流華じゃん。お前もこのクラス?」 流華「そうだよ!一緒だね!」 秋人「お、おう。」 その時、私はふと思った。席が... 隣だぁぁあぁぁ!! 流華「よろしくねぇ!」 秋人「おう。」 その時の秋人君は何故か顔が赤かった。 先生「みんなー!席に着けー!」 生徒「はーい。」 ・学校終・ 秋人「じゃーな!流華!また明日!」 流華「うん!バイバイ!」 (流華の心の声)「え。今、今、秋人君にに挨拶して貰えた!?嬉しすぎるっ!」 その後はもう、ルンルンで家に帰りました! そして!入学式から、1ヶ月!ある日秋人君に、、 秋人「一緒に帰らね?どうせ暇だろ?」 流華「え?どうして?別にいいけど!」 (流華の心の声)「え。やっば!デートに誘われちゃった!えへっ!(デート...では無いか。)」 秋人「どこ行くー?」 流華「新しく出来たアイスクリーム屋さん行こうよ!あそこ美味しいらしよ!」 秋人「おお!いいな!行こーぜ!」 流華・秋人「パクッパクッ」 流華「はぁー!美味しかった!また行こーね!」 秋人「おう!また行こーな!」 流華「そろそろ帰るね!バイバ...」 秋人「流華!!ちょっと待って!」 流華「ん?どうしたの?」 秋人「あ、あのさ。流華がどう思ってんのかは知らねーけど、俺、前からお前の事好きだった。。。」 流華「えぇ!?」 秋人「付き合ってください!」 流華「え。え。え。ほんとに?え。うそ。」 秋人「ほんとだよ。」 流華「私も!前からずっと好きでした!こんな私でよければよろしくお願いします!!」 秋人「よろしくな!!」 ・翌日・ 杏那「えぇ!そうなの!?良かったね!流華!!」 流華「うん!めっちゃ嬉しかった!」 ・教室にて・ 秋人「流華!おはよ!!」 流華「おはよ!!」 ~END~
好きになりたくなかった
私はこはく。高校生だが病気を持っている。だから私はいじめられている。だけどある日君と会った。君はすぐると言った。君は私に話かけてくれる。だけど好きにはなれない。なぜなら寿命が短いからだ。そして私は動けなくなり病院にずっといた。君は毎日来てくれた。私は嬉しくなかった。他人と話したり好きになるのが怖いからだ。私は無視をした。ある日君が す「僕のこと嫌い?」ときいてきた。 こ「き、嫌い」と答えた。だけど君は言った す「嘘だ~こはくは好きと自覚してないだけでしょ」と言ってきた。私は全て見抜かれて泣いてしまった。すぐるは頭を撫でてくれる。 こ「好きになりたくなかった」私は言ってしまった。君は悲しそうな目です「そんなこと言わないで、僕もこはくが好きなんだから」と言った。私は3日後の誕生日の日に旅だったのであった。 下手くそですいません。
軽音部の絆、私達のかけがえのない仲間
私は○○高校に通っている琴吹紬、私実はアニオタ(アニメオタク)でけいおん好きの高校生だ。私は今軽音部に所属している。 私は、けいおんの琴吹紬ちゃんが大好きだ。 私が演奏している楽器はキーボードだ。キーボードの後ろに大好きな紬ちゃんがいる。 でも私は隣町の○○高校の軽音部でドラムの愛崎梅に「なぁ○○高校の星宮さん、何でお前、あの可憐で可愛いお嬢様の琴吹紬と同姓同名なんだよ!」と言われ、ベースの本条沙良に「マジ止めてくれない!紬お嬢様が汚れるし!」と言われ、ギターの楠田ともりに「名前を改名しろ!改名!」と言われ、キーボードの藤堂風吹に「さっさと改名したほうがいいんじゃない?」と何時も虐められている。 今日もその子達にいじめを受けていた。そしたら同じ軽音部でギターの倖田恵瑠に「紬!どこにいるかと思ったらここにいたのか」と言って私の前に立ち、ドラムの高橋美奈が「よくも私の可愛い後輩にこんなひどいこと言ってくれたわね!」と言って私を抱きしめてくれ、ベースの海山穂乃佳は「さっさと帰りな!」と言って虐めていた隣町の軽音部の生徒を追い返してくれた。 そして私達は曲を作り、学園祭でライブをした。 その曲は「軽音部の絆、私達のかけがえのない仲間」 歌詞 私達はずっと友達、今日で卒業式を迎えるけどずっと一緒にいようね そんな約束をした後の帰り道、急に泣きたくなったよ。 軽音部が大好きだから、(お別れは寂しいけど) 貴女が大好きだから(友達付き合いは終わらない) さようなら、今この瞬間(時) また会いましょう(私達のかけがえのない仲間) 軽音部の絆は消えないよ?? さようなら、大切な友達 また会いましょう(この場所で) 軽音部の絆は永遠なの 歌い終わった後、拍手喝采だった。 そしたら虐めていた隣町の軽音部員が来て「紬さん・・・今まで虐めてごめんなさい、ライブ最高でした」と言ってくれた。 穂乃佳は「どうすんだ?この人らを許すか?」と聞いた。 私は「許すよ?だって他校の軽音部の人達に会えたのも何かの縁だから」と言った。
一番星
大学帰りの大学生の男女が二人、カラオケボックスにある。恋愛ドラマや少女漫画だとここでラッキースケベや告白が起こりそうなシチュエーションだけど、そんなのは起こらない。 梅子(うめこ)は全然ドキドキしていないように見えるけど、俺はドキドキしている。何故なら、好きな子と二人きり。ドキドキしない方がおかしいと思う。 俺は好きなアニメの歌を熱唱した。グロテスクなシーンが多いアニメだけど、結構面白い。来年映画が公開されるから今から楽しみだ。 この歌は自然と声量が大きくなるから、ストレス発散も出来る。 梅子はにこにこと微笑んでいる。 俺が歌い終わると、 「歌、上手だね。この歌、歌うの難しいと思うのに」 「ありがとう」 「お父さんもこの歌、好きで、上手に歌うんだ。たまに生徒の子たちに聞かせたりして」 梅子によると、梅子のお父さんは剣術の道場を開いているという。何流かは聞いていない。ただ、実戦向きの流派らしい。 「へえ。相当上手なんだ?」 梅子は照れたように笑った。 俺、この歌、音を外さずに歌おうと思って、すっごい練習してました! 梅子がタブレットに歌いたい歌を入力した。 カラオケボックスから出て、ドラッグストアの前に来ると 「ねえ、ドラッグストアに寄っても良い?実験で手が荒れるの。勇(いさみ)は買いたい物、ある?」 「無いよ」 「じゃあ、外で待っててよ」 俺は頷いた。 梅子はすぐにハンドクリームを買って、俺のところに来た。 「ごめん、待ったよね」 「待ってないよ」 レジ袋はもったいない。買ったハンドクリームは右手に持っているバッグに入っているのだろう。 二人で歩き出したとき、前方からふた昔前の典型的な不良ABCがやってきた。 金髪Aが 「デートか?」 デートじゃありませんよ。俺は梅子が好きだけど、梅子はきっと俺のことを好きじゃない。 八つ当たりするように俺は言った。 「デートじゃありませんよ。遊んでるだけです」 自然と、突き放すような口調になってしまう。 アフロBが俺を睨みつけた。瞳が、刃物のように鋭く俺を刺した。 「デートじゃないなら、この姉ちゃん、貰ってってもいいよなあ?」 デートじゃない、つまり付き合っていない、そういうふうに考えたらしい。間違ってはいない。これは俺の片思いだろうから。 でも、それでも、好きな人をこんな輩に無抵抗に引き渡すのは嫌だ。 俺は運動神経がこれでもかというほど悪い。両親も双子の妹の高子(たかこ)も運動神経抜群なのに。でも、運動神経が悪いのは梅子を守れない理由にはならない。梅子をこいつらに渡す理由にもならない。 俺は拳を握りしめた。 運動神経が悪いなりに戦ってやる、と思った瞬間、目の前にいたモヒカンCが倒れた。俺の目の前にはすらりと背筋がまっすぐな背中。右手には定規が握り締められていた。 父の位牌に灰を投げそうなABCは梅子に一瞬で倒された。定規の軌道は美しくて、力強く、筋力の無さを技術と素早さでカバーしているように思えた。強さ自体は段を持ってても不思議じゃない。免許皆伝はしているのだろうか? ABCを倒した梅子は一言、 「私より弱いじゃん。お父さんや弟の相手にもならない。一にお父さん、二に弟、三に私」 その二人、強すぎない?戦国時代や幕末にタイムスリップしても生き残れそう。 ABCを警察に連れて言ってから、梅子を家まで送る。 手を振って歩き出した俺の服の裾を梅子が引っ張った。 一番星が俺たち二人を見つめる夕方に俺の耳に入ってきた梅子の小さな声。 「勇、好きなの。付き合って」 振り向こうとしてやめた。俺の顔はきっと、夕日のように真っ赤になっているに違いない。 返事はもう、決まっている。 俺は前を向いたまま答えた。 「俺も好きだよ」 さて、どうしよう。 ドラマならここで抱きしめたりキスとかするんだろうけど、路傍でそんなこと出来ないし、それに、梅子の家の前でそういうことをする度胸は俺には無い。 とりあえず、俺は言った。 「じゃあね、梅子。また大学で」 服の裾を掴んでいた手が離れる。 梅子はバイバイと俺に手を振った。その頬が、赤く染まっていた。
最悪の人生
ある街の小さいアパートに、和樹という男が住んでいた。和樹は、家の設計の仕事をしていた。 和樹の仕事の成績は結構いい。(運が悪かったが)いい仕事を任されることも多く、上司からも、ましてや社長までも、和樹のことを信頼していた。 その和樹の方も、とても真面目だった。(とてもとは言いにくいが…)まあ、そこそこお酒も飲むし、欲もある。だが、仕事には熱心だ。 (なんか仕事中に、変な虫みたいなのが飛んでたんだよなあ。) そう、和樹が仕事をしているときに、体長20cmくらいの大きい虫のようなものが、よく飛んでいる。 (まあでも、それくらいから結構仕事もはかどったし、まあいっか!) それくらいしか思っていなかった。 「…きなさい……きて!」 「るさいなあ」 ガバッ! 「!!」 そこには、体長20cmの女の子の、羽が生えている妖精がいた。 「誰!?」 妖精と分かってるくせに誰!?なんてな… 「あたしは妖精よ。」 「幸運の妖精、か。」 「そんなところね。」 (ああ!だからこんなにもうまく行ったのか!) 「そうだ!あの、妖精ちゃん、ずっと僕のそばにいてくれないか?」 「いいわよ」 「!!」 和樹は(ずっと妖精に全てを任せよう。)と決めた。 だが、これが悪かった。 和樹はもう、妖精に全てを任せるように、仕事をテキトーにするようになった。そして、ついに自分の設計したマイホームを持つことになった。 妖精は嫌気がさした。あんな奴のためにこんなことをしても良かったのか。妖精は覚悟を決め、和樹から離れることにした。 ある日、和樹の家の柱が崩れ… ガタガタガタ バコッ! ぎゃああああああああ!
来年、この場所で、また君と。
「お待たせ・・!」私は緊張しながら君の隣に座る。「覚えててくれたんだ~!うれしい!」と、君が笑顔を見せる。その笑顔を見て、久しぶりに、(あぁ、かわいいな。ああ、好きだな)と思う。「冬優花とは、もう2年ぶりだね~」と君が言う。「そっか、もうあれから、そんなになったんだね」と私も答えた。「で、どうしたの?急にメールしてきて。何かあった?」そう聞くと、君は泣きそうな顔をして「昨日、彼女に振られた。俺、久美のこと好きだったのにぃ~・・。そうだ、冬優花!俺の彼女になってくれない?」そう言われた私は、「ごめん、無理。っていうか、この話をするためにわざわざ、私を呼び出したの?信じられない!もう帰るからっ!」私は公園のベンチから立ち上がろうとした。「ごめんごめん、それだけじゃなくて。確認したいことがあったんだ」君の真剣な表情と真剣な声。反射的に振り返る。「お前の友達から聞いたんだけどさ、冬優花、俺のこと好きなんだって?」そう言われ、私は「だ、誰に聞いたの?!」と聞き返した。「えっと、お前の友達の三花ちゃん、からだけど。それ、本当?」君が一歩ずつ、近づいてくる。「う、う、嘘!嘘だよ!」慌てて、私は目をそらした。「そっか、そうだよね。じゃあ、俺だけの片思い、ってことね」君の声が低くなった。「ごめん、私、帰るね!」私は、急いで公園から出た。後ろで君に呼び止められた。「チャンスは来年だ!来年まで返事は待ってやる。来年もう一度、この場所で聞くから、お前の気持ちをはっきりと教えてくれよな!」と。私は振り向かずにこういった。「うん!来年、この場所で、また君と会える日を楽しみにしてる」そう言うと、私は泣きながら家へと走った。
お姉ちゃんはフランス人形
私のお姉ちゃんはフランス人形。 私と違ってとっても可愛い。 血は繋がってるのに、何でこんなに違うのか恨むほど。 ホントはお姉ちゃんと歩きたくない。 似てないから。 馬鹿にされるから。 比べられるから。 でも、一緒に登校する。 今も隣で歩いてる。 だって… やっぱり良いよね、フランス人形は。 ふと、お姉ちゃんのバッグを見るとパスケースが見えた。私と色違いのやつ。 そこには、男の子の写真があった。 「あ。その男の子、だれ?カレシ?」 「違うわよ。片想いなの。中学1年生には、分からないわ。ほら、返して」 いま片想いでもきっと両思いになるね。 だってお姉ちゃん、フランス人形なんだもん。 「そうだ。美雪にワンピースあげる。いらなくなったから」 あ。お姉ちゃんが特別似合ってたワンピースだ… どうせ、私には似合わない。 「いらない」 そう言って私は駆け出した。 後ろで声が聞こえるけど、知らない。 お姉ちゃんに私の気持ちなんか分かるもんか。 その帰り、お姉ちゃんが髪を切った。 夜。 子供部屋の電気を消し、 スズムシの音にかき消されないようにお姉ちゃんに言った。 「なんで、髪を切ったの。 伸ばしてた方が似合ってたよ。 ま、どっちにしろお姉ちゃんは可愛いから良いんだけどさ」 「良くないわよ。 近所の人や友達にちょっとくらいちやほやされたって、好きな人から好きだって言わらなきゃ意味がないの。 さっさと寝てよ」 お姉ちゃん。 お姉ちゃん、泣いてるの? どうして? 神様、お姉ちゃんが泣いてるんじゃありませんように。 朝、やっぱりお姉ちゃんはフランス人形だった。 いつもと変わらない。 変わったことと言えば、髪を切ったことと、パスケースの中くらいだ。 男の子の写真が無い。 やっと、お姉ちゃんが髪を切った理由が分かった。 「お姉ちゃん。やっぱりあのワンピース欲しいな」 でも、お姉ちゃんはフランス人形。 今日も私はお姉ちゃんと一緒に家を出る。 お姉ちゃんが可愛いからじゃ無くて、 フランス人形だからでも無くて、 お姉ちゃんが大好きだからだ。 こんにちは。みぃです。 これが最後の私の短編小説になると思います。 「失恋」を第三者の目線で書いてみました。 長くなってすみません。 感想、待ってます!
死体〈ホラー〉
ここはとあるマンションの一部屋。俺の隣の部屋に引っ越してきたのは松山瑠偉(まつやまるい)たち3人家族。 とても優しく一緒にいて楽しくなるような家族だった。 しかし、この目論見は大きく外れた。 ー引っ越してきた日ー これまでも多くの人が引っ越してきているので、うるさいのはなれていた。 ピーンポーン 「隣に引っ越してきた松山です。よろしくお願いします。」 挨拶とともにチョコレートを頂いた。 もう一軒隣の家にも挨拶に行っていたのを確認した。 ー次の日ー 朝からガタガタ音がしていた。松山さんの部屋とは反対からだ。外に出てみると警察がいた。話を聞くと意識不明の状態で発見されたそうだ。自殺などをする人ではないので不思議に思っていた。 すると、隣の人の死因がわかった。死因は中毒死。青酸カリが含まれたチョコレーを食べたことによるものだ。 ここで疑問に思った。チョコレート… ー1ヶ月後ー 松山さんからもらったチョコレートを食べた。隣の人の話は忘れていた。 翌日、死体となって見つかったのは、俺だった。 _______________________________ どうも!虚無虚無ぷりんです!! ホラーにしてみました!! お返事お待ちしています!!
茉由里と柳都の喧嘩。
「茉由里。」 「何。」 「怒んなって。」 「そっちが悪いんじゃん。」 私、崎野茉由里と彼氏、方倉柳都は今喧嘩の真っただ中です。 喧嘩のきっかけは…… 「私が残しといたプリン食べちゃった柳都が悪い。」 そう。『私が残していたプリンを食べた』というきっかけ。 「ごめんって。そのお店のプリン買ってくるからさ」 「無理!かぼちゃのプリン期間限定で今日までだし、しかも最後の一個!」 「え……なら俺が食べちゃうことを予想して、二個買っとけばよかった話だし、何で今日買いに行くんだよ!」 「何で柳都が怒るの!今日まで実家に帰ってたの!メモ見たでしょ!しかも最後の一個だったってさっき言ったでしょ!柳都が食べるなんて知らないし!もう!知らない!」 疲れた茉由里はソファに吹っ飛んだぁぁ 一方、柳都は〈ガチャン〉と大きな音を立てて部屋を出ていった。 「なんでなの……」 そう言って私は寝た。 ****** 目を開け、時計を見ると夕方の四時半。 「寝不足だったしな~。」 そう伸びをすると。 「あ、おはよ!」 柳都だ。 「おはよ。」 そう冷たく言って冷蔵庫を開けた。 すると、あれ?かぼちゃのプリンが……その上にメモが貼ってある。 【茉由里へ プリン食べちゃってごめんね。 お店行ってみたら少しだけど、まだ売ってたよ!やった~! これ食べて元気取り戻して、全部チャラにしてほしいな~ 柳都】 「……ほんとずるい」 「いい?」 「そんな目で見ないで」 「いいの?」 「……いいよ」 「ありがとう!」 End
ベットの下<意味怖>
どうも、はるっきいで~す。 短編小説初投稿 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私の家は汚い。 なぜなら、おととい引っ越してきたから。 だから、ダンボールも置きっぱだし、ホコリもたまってる。 今日は買い物。 必要なものを買いにスーパーへ。 30分ぐらいで戻ってきた。 ドアを開けようとすると、 『・・・あれ?』 カギが開いていた。 泥棒が入ってるんじゃないかと思い、中を探した。 でも、泥棒はいないようだ。 安心していると私はあることに気づいた。 『ベットの下は?』 そう、ベットの下はまだ見ていなかった。 もしかしたら、そこにいるかもしれない。 そう思って下を見た。 でも、誰もいない。ただ、キレイな床があった。 すると、タンスから 『ガタッ』 と音がした。 気味が悪いので警察を呼んだ。 すると、タンスから泥棒が出てきた。 泥棒は捕まったので、安心した。 安心したせいか、眠くなってきた。 泥棒も捕まったので、寝ることにした。 それから、彼女を見たものはいない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 解説 なぜベットの下はホコリがなかったのか。 それは、泥棒が隠れていたから。 じゃあ、なんで泥棒は隠れたのか。 それは、もう一人、泥棒が来たから。 でも、捕まった泥棒は一人。 ということは・・・もうおわかりですよね?
相思相愛~僕は君を思って、私はあなたを思って~
「その時、私は幸せとはいつもすぐ近くにあるものなんだなと実感した。」 私は、いつものように暖房によって温まられた部屋でひとり寂しく本を読んでいた。 今日の本は、中学校に入学したての頃におばあちゃんが買ってくれた「ホットコーヒー」という寒い冬にぴったりな本だ。私は、この本の主人公に自分を当てはめて読んでしまっていた。そして、いつしか眠ってしまった。 青い空に輝く太陽。近くの木々ではセミがうるさいほどに鳴いている・・・・・・。今の寒い冬とは正反対の夏だ。そんな中、私は自分の学校の教室にいた。私の前には私が小学校の頃からずっと片思いし続けていた優紀がいる。優紀とは、小学校3年生の頃からずっと一緒だ。私の小学校はクラス替えというものがなかった。そのため、3年生の時に転校してきた優紀とはずっと一緒のクラスなのだ。 二人は太陽の光が差し込む教室でお互いに無言でただただ見つめあっていた。「なぜ、何もしゃべらないのだろう・・・・・・?」私は、疑問に思ったが、二人で一緒にいるだけで、何も話さなくても私は幸せだった。が、しかし、私のささやかな幸せにもすぐに終わりがきた。ガラッと教室の扉が開いたと思えば、そこには優紀の部活の顧問が怒りの形相をあらわにして立っていた。優紀は部活を抜け出してここに来ていたようだ。そして、「おい、お前ら何やってるんだ?優紀、ちょっとこい・・・・・・」顧問が大きな声を張り上げて怒鳴った。その顧問が放った言葉で二人の空間が壊され、私の幸せな時間も強制終了させられた。私が「ああ、今から説教を食らうんだ・・・・・・。」と覚悟を決めたその時、優紀が私の手を取り顧問と扉の間をすり抜け走り出した。「俺についてきて!」といい廊下を全力で走り抜けていく二人。すごい速さだ。「待って、どこへ行くつもりなの!?」私が聞くと優紀は「とにかく遠い所へ!!」と答えながら走った。私も引っ張られながら着いていった。 物陰に隠れていると優紀は「さっき俺、お前に言わなきゃいけないことがあったんだ!」私は少し期待した。「俺、お前のことが・・・・・。」「おい、お前らこっちにこい。」捕まった。ああ、もう終わりだ。怒られる。キレるまで3・2・1・・・・・・。 スマホの震えている。電話だ。まだ眠い目をこすりながら画面を見ると優紀からだった。「もしもし・・・・・?」「あ、もしもし?今暇?」「まぁ。」「じゃあ、ちょっと部屋の窓開けてくんない?直接言うと恥ずかしいから。」 「何言ってんだろう。」と思ったが、優紀が言ったとおりに窓を開けると、外には優紀がいた。そして優紀は私の部屋に向かって紙飛行機を飛ばしてきた。その紙飛行機は私の部屋に不時着した。「何これ?」と言おうとした瞬間、紙飛行機の翼に何か文字が書いてあることに気づいた。そこには美しく整った文字で「I Love You」と書いてあった。 「その時、私は幸せとはいつも近くにあるものなんだなと実感した。」 【あとがき】 読んでいただきありがとうございます!いかがだったでしょうか?短編小説とのことで内容はやや薄目ですが自分なりには良い作品ではないかなと思っています。(お?自画自賛かぁ?←そういう訳じゃないケドネ・・・・・・。)また、この後の展開はご想像にお任せすることとします。 読んでいて「あれっ?」って思って方もいるかのしれません。今回、この物語の主人公には「名前がありません!」(おい、まさかの手抜き作品か?!←手抜き作品じゃありませんっ!)ずっと、「私」って言ってるんです。でも、それにはちゃんとした理由があります。それは、“ストーリーに自分が感情移入しやすくなる”かなと思って設定していません。「名前あったほうが良かった・・・・・・。」ってい人、ごめんなさい。
ずっとずっと、忘れない
…星空(せいら)さんの検査結果ですが、末期の若年性アルツハイマー認知症でした 「…っ、ごめんいっちゃん」 これからのこと、よくご相談なさってください そう医師に告げられ、泣き崩れる星空。俺は星空を慰めながら、診察室を出た。 「いっちゃん、ごめんなさい」 『なんで星空が謝るの。星空は悪くないんだよ?』 『とりあえず、家帰ろっか』 「…ぅん」 そう言ってタクシーに乗るけど、足取りは重い。 家についても無言のまま。 『何か食べる?』 「ごめん、食欲ないや」 落ち込んだ顔でそう言うと、寝室に入って行った。 翌日、俺が起きるといつも隣で寝ているはずの星空がいなかった。昨晩までタンスにあった服も、一着も跡形なく消えていた。急いでリビングに行くと、一枚の手紙があった。 樹へ 急に出ていってごめん。出ていった理由は、いっちゃんといるのが辛いからです。今は辛くないけど、この先絶対辛くなるから、出ていきました。私がいっちゃんといたら、いずれ私はいっちゃんを忘れちゃう、それがすごく嫌だから…。 いっちゃんと過ごした日々は、私にとって一生の宝物です。忘れちゃうかもしれないけど、今までもそしてこれからもいっちゃんのこと愛してるよ。 今までありがとう。これからはいっちゃんらしく生きてね。 大好きだよ。 星空より その封筒には、俺の家の合鍵が入っていた。俺はすぐさま家を飛び出した。あいつが行きそうな場所どこを探しても、星空はいなかった。そして俺は駅に行った。 『星空っ!』 聞こえないふりをしているのだろう。こちらを振り向かない。 《ギュッ》 星空の元へ駆け寄り、バックハグをした。 「いっちゃん…」 『何してんだよ、ばーか』 『星空いなくなったら、俺どうしたらいいかわかんないじゃん』 「ごめん、」 その後、手を繋いで家に帰った。 半年経ち、星空は入院した。そして遂に、俺の存在が星空の頭から消えた。 「こんにちは」 『あっ、こんにちは。』 『お見舞いに、花束持ってきました』 「わぁ、薔薇じゃないですか!綺麗」 見た目はいつも通りの星空なのに、中身は別人みたいだ。 『星空さん、薔薇が好きでしょ?』 「樹さんすごい!なんでわかるんですか!」 『何かわかっちゃって』 『じゃ、これで。』 「ありがとうございました!」 俺は眼を潤ませて病院をあとにした。 そして3ヶ月後。星空に死期が迫っていた。星空のお兄さんも来ていた。 〈ごめんね、こんな妹で〉 『いえいえ、俺は星空が生きてるだけで幸せですから。』 〈頼もしかっただろうね、星空も〉 眼に涙を溜めながら話す兄の玲央(れお)さん。星空は誰からも愛されていたんだな、改めてそう思った。 「…っちゃん」 「……にぃ」 〈!?〉 〈星空っ〉 かすれるような小さな声で、俺達の名前を呼んだ。 「い、っちゃ、ん」 『ん?』 『どうしたの、星空』 「今、す、ぐ病室出、て」 はっきりと聞こえた。“今すぐ病室出て”。 『何でだよ!』 「お願い、これ、が最後の、お願い、だか、ら」 『わかった。』 〈ごめんね、樹くん〉 俺は病室を出た。 〈だよな、愛してる人に、最期なんて見せたくないよな。〉 「さ、すがれおにぃ」 「今、まで、ありがと、う」 《ピーーー》 その言葉を最後に、星空はこの世を去った。俺が手を握ると、振り絞るような涙が一滴だけ星空の瞳から零れ落ちた。 それから1ヶ月。俺は常に部屋に引きこもるようになった。すると、病院から電話が来た。 もしもし、失礼ですが真野間樹(まのまいつき)さんでしょうか。 『そうです』 お渡ししたいものがあるので、来て頂けますか? 『はい、』 それでは、よろしくお願いします そう言って電話は切れた。俺は病院に向かった。 あっ、真野間さん、お待ちしておりました。 そう言って、看護師さんが引き出しから小箱を取り出した。 これ多分、真野間さんへのプレゼントだと思いますよ。星空さん、忘れても大事な人の誕生日だってプレゼント買いに行ったんです。帰ったら、開けてみてくださいね。きっと素敵なプレゼントだと思います。 そう看護師さんに言われ、病院を出た。途中で待ちきれずに俺は公園のベンチに座り、小箱を開けた。そこには、腕時計があった。その下にメッセージカードがあり、そこには “大切な人へ お誕生日おめでとう。時間は進み続けます。あなたも一歩ずつでもいいから、前に進んで行ってください” と書かれていた。 綺麗な時計のガラスに、俺の涙が落ちていった。 end…