「君がそう言ったんだよ、
のどかちゃん」
私は店員さんの鈴石さんから、あつあつのブラックコーヒーを受け取りました。
「本当にこれで良いのかい?」
鈴石さんは10歳の私がブラックコーヒーを飲めるか心配なようです。
「そんなに心配しなくても飲めるわよ」
私は、すまし顔でそう言うとコーヒーの香ばしい香りを胸いっぱいに吸い込み、それを飲んで見せました。
しかし口の中にあるブラックコーヒーは想像していたよりも、ずっとずうーっと苦いものでした。
「どうだい。初めてのブラックコーヒーは?」
鈴石さんが笑顔で私に問いかけるのと反対に、私は眉を寄せてベロを出しました。
「鈴石さん。このブラックコーヒーというのは、とっても苦い飲み物なのね」
正直、見くびっていたわ、と首を横に振ると鈴石さんはさらに笑顔を深くしました。
「そうかい。私もブラックコーヒーはあまり好きじゃない」
「じゃあ何で、お客さんがいないのにこんなにもコーヒーの匂いがするの?」
「いいかい、のどかちゃん。まず、コーヒーっていうのは匂いの強い飲み物なんだ。だから、のどかちゃんが飲んでいるコーヒーだけでも、すごくいい匂いがするんだよ」
鈴石さんの説明はとてもわかりやすくて、お勉強の嫌いな私にも分かりました。
「それからもう一つ。私はブラックコーヒーが苦手だけど、それにお砂糖やミルクを入れると自分の好きなものに変わるんだ」
鈴石さんはニヤリと笑うと、もう片方の手に隠し持っていたカップを机の上に置きました。鈴石さんのカップの中は、私のカップの中とは少し違いました。白色とうすい茶色を混ぜたような色です。
鈴石さんはカップの中のものを一口くれました。それを口の中に入れた瞬間、私は目を大きく開きました。
「お砂糖とミルクって魔法の材料なのね。とっても甘くておいしい」
私はブラックコーヒーと鈴石さんのカップの中のものを交互に見ました。
「そうでしょ。これはね、カフェオレっていうんだ。私は同じコーヒーでもカフェオレが大好きだ」
鈴石さんは、また素敵な笑顔を浮かべました。私は鈴石さんの素敵な笑顔が大好きです。
「私は同じ大人の人でも鈴石さんが大好きよ。だってほら。こうやって色々なことを教えてくれるし、美味しい飲み物をくれるもの。それに、私の話をちゃーんと聞いてくれるわ」
すると、鈴石さんは優しく私の頭を撫でました。
私は鈴石さんに頭を撫でられて、とても嬉しい気持ちになりました。
「私、大人の人って嫌いなの。大人だから、ってすぐに言うのよ」
「大人っていうのはずる賢いからね」
「そうなの。だから私、ブラックコーヒーを飲んで大人の人にこう言ってやるの。私も大人ですよ、ってね」
「それはいい考えだ。のどかちゃんは賢いね」
そしてまた、鈴石さんは私の頭を撫でました。私はやっぱり鈴石さんが好きです。
私は、お母さんからもらった150円を鈴石さんに渡すと幸せな気持ちのままお店を出ました。
「のどかさん。今日も宿題のプリントを忘れたの?」
先生が怖い顔をして私に言いました。私は正直に家のお勉強机に置いてきてしまいました、と言いました。
でも、先生は怖い顔をやめませんでした。
「それはのどかさんが注意しないと直らないわよ。大人になるまでにそういうクセは直さないと」
私はついにあの作戦を実行する時がきたと思いました。
「先生だって、言っていることが昨日と何も変わっていないわ。それに、私はもう大人なんだもの。ブラックコーヒーを飲んだから。だからもう、そのクセも直ら」
「いい加減にしなさい!いつまで子供じみたことを言っているの。もう小学校3年生なのよ。しっかりしなさい!」
先生は私が言おうと思ったことを遮りました。私を怒鳴りつけました。ダンッと足で床を蹴りました。
「私だって...大人よ」
そう言うと、目から涙が出てきました。怖かったのではありません。自分の意見を受け入れてくれなくて悔しかったのです。
私は廊下を走りました。階段を走りました。昇降口を走りました。上履きのまま歩道を走りました。
「大人なんて...一生いい人ぶっていれば良いのに...一生こんなつまらない日々が続けば良いのに!」
私は叫びました。すると急に目の前がクラッとして、思わず下を向きました。
私はお気に入りの赤いスニーカーを履いています。手の中には100円玉と50円玉があります。今日も私は鈴石さんのお店へ向かいます。
「こんにちは。鈴石さん。今日はブラックコーヒーをお願いするわ」
私は鈴石さんにすまし顔でそう言います。私が椅子に座ると、鈴石さんはすぐに湯気の立ったブラックコーヒーを出してくれました。
私は目を輝かせながら鈴石さんに聞きます。
「ねぇ鈴石さん。これを飲んだら私、大人になれるのよね?」
鈴石さんは素敵な笑顔でこう言いました。 うさモフさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2024年1月20日みんなの答え:1件
私は店員さんの鈴石さんから、あつあつのブラックコーヒーを受け取りました。
「本当にこれで良いのかい?」
鈴石さんは10歳の私がブラックコーヒーを飲めるか心配なようです。
「そんなに心配しなくても飲めるわよ」
私は、すまし顔でそう言うとコーヒーの香ばしい香りを胸いっぱいに吸い込み、それを飲んで見せました。
しかし口の中にあるブラックコーヒーは想像していたよりも、ずっとずうーっと苦いものでした。
「どうだい。初めてのブラックコーヒーは?」
鈴石さんが笑顔で私に問いかけるのと反対に、私は眉を寄せてベロを出しました。
「鈴石さん。このブラックコーヒーというのは、とっても苦い飲み物なのね」
正直、見くびっていたわ、と首を横に振ると鈴石さんはさらに笑顔を深くしました。
「そうかい。私もブラックコーヒーはあまり好きじゃない」
「じゃあ何で、お客さんがいないのにこんなにもコーヒーの匂いがするの?」
「いいかい、のどかちゃん。まず、コーヒーっていうのは匂いの強い飲み物なんだ。だから、のどかちゃんが飲んでいるコーヒーだけでも、すごくいい匂いがするんだよ」
鈴石さんの説明はとてもわかりやすくて、お勉強の嫌いな私にも分かりました。
「それからもう一つ。私はブラックコーヒーが苦手だけど、それにお砂糖やミルクを入れると自分の好きなものに変わるんだ」
鈴石さんはニヤリと笑うと、もう片方の手に隠し持っていたカップを机の上に置きました。鈴石さんのカップの中は、私のカップの中とは少し違いました。白色とうすい茶色を混ぜたような色です。
鈴石さんはカップの中のものを一口くれました。それを口の中に入れた瞬間、私は目を大きく開きました。
「お砂糖とミルクって魔法の材料なのね。とっても甘くておいしい」
私はブラックコーヒーと鈴石さんのカップの中のものを交互に見ました。
「そうでしょ。これはね、カフェオレっていうんだ。私は同じコーヒーでもカフェオレが大好きだ」
鈴石さんは、また素敵な笑顔を浮かべました。私は鈴石さんの素敵な笑顔が大好きです。
「私は同じ大人の人でも鈴石さんが大好きよ。だってほら。こうやって色々なことを教えてくれるし、美味しい飲み物をくれるもの。それに、私の話をちゃーんと聞いてくれるわ」
すると、鈴石さんは優しく私の頭を撫でました。
私は鈴石さんに頭を撫でられて、とても嬉しい気持ちになりました。
「私、大人の人って嫌いなの。大人だから、ってすぐに言うのよ」
「大人っていうのはずる賢いからね」
「そうなの。だから私、ブラックコーヒーを飲んで大人の人にこう言ってやるの。私も大人ですよ、ってね」
「それはいい考えだ。のどかちゃんは賢いね」
そしてまた、鈴石さんは私の頭を撫でました。私はやっぱり鈴石さんが好きです。
私は、お母さんからもらった150円を鈴石さんに渡すと幸せな気持ちのままお店を出ました。
「のどかさん。今日も宿題のプリントを忘れたの?」
先生が怖い顔をして私に言いました。私は正直に家のお勉強机に置いてきてしまいました、と言いました。
でも、先生は怖い顔をやめませんでした。
「それはのどかさんが注意しないと直らないわよ。大人になるまでにそういうクセは直さないと」
私はついにあの作戦を実行する時がきたと思いました。
「先生だって、言っていることが昨日と何も変わっていないわ。それに、私はもう大人なんだもの。ブラックコーヒーを飲んだから。だからもう、そのクセも直ら」
「いい加減にしなさい!いつまで子供じみたことを言っているの。もう小学校3年生なのよ。しっかりしなさい!」
先生は私が言おうと思ったことを遮りました。私を怒鳴りつけました。ダンッと足で床を蹴りました。
「私だって...大人よ」
そう言うと、目から涙が出てきました。怖かったのではありません。自分の意見を受け入れてくれなくて悔しかったのです。
私は廊下を走りました。階段を走りました。昇降口を走りました。上履きのまま歩道を走りました。
「大人なんて...一生いい人ぶっていれば良いのに...一生こんなつまらない日々が続けば良いのに!」
私は叫びました。すると急に目の前がクラッとして、思わず下を向きました。
私はお気に入りの赤いスニーカーを履いています。手の中には100円玉と50円玉があります。今日も私は鈴石さんのお店へ向かいます。
「こんにちは。鈴石さん。今日はブラックコーヒーをお願いするわ」
私は鈴石さんにすまし顔でそう言います。私が椅子に座ると、鈴石さんはすぐに湯気の立ったブラックコーヒーを出してくれました。
私は目を輝かせながら鈴石さんに聞きます。
「ねぇ鈴石さん。これを飲んだら私、大人になれるのよね?」
鈴石さんは素敵な笑顔でこう言いました。 うさモフさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2024年1月20日みんなの答え:1件
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ループ小説だ!! こんにちは、うみです。
ループ小説になってるんだね!
題名の」が欠けているのが気になっていたけど、最後で納得した
それに、のどかちゃんの複雑な気持ちを文章にしているところもすっごく素敵!
鈴石さんとの掛け合いもわかりやすくて読んでいて楽しかった!!
のどかちゃんは感性が大人過ぎて先生からは気味悪がられているのかなぁ
だからあたりが強いのかな
それともただ単におっちょこちょいで、自分のやりたいことに進んでいく、
好奇心旺盛な子なのかな
文章力あるから、これからも読みたいな!じゃあねー!! うみさん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2024年3月23日
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