先生が大好きな少女(短編)
好きの気持ちって、皆から尊重されて、大切にされるものだ。
でも、きっと私のこの気持ちは、皆から見ると良いものでは絶対に無いのだろう。
一日目
「おはようございます…。」
「森口さん、おはようございます。」
いつもと同じ、社交辞令程度の朝の挨拶を交わして、大好きな先生との授業が始まった。
先生は、大学二年生の二十一歳。イケメンな個別指導の講師で、浪人をしたらしくって、大人っぽい一面と、ふざけて私を笑わせてくれる一面がある。
今日はいつもの髪ではなく、前髪を二つに分けて、とても大人っぽい印象を出していた。
今日も先生は格好良い。
「この所、わかる?」
「えっ?と、どこですか?」
「ここ。森口さん、ちゃんと聞いてなかったでしょう。」
「う、ごめんなさい。」
深く謝ると、先生は少し笑っていた。
その姿をみて、何だか胸がキューンとした。
今日は夏期講習の初日。
気合を入れてきたら、今日は運良く一対一の授業だった。
私は2対一の授業だと、何故か緊張して、上手く出来てますけど?というふりをしてしまうのだ。
だから、今日はとってもいい日だと思った。
「先生、ここ、どう解いたら良いんですか?記号がわかりにくて…。」
「ん、そこね、これは…」
先生との距離が一気に近くなった。
ギシ...。という音がして先生の手が私の椅子に力をかける。
先生の人差し指が私の手の甲に触れた時は、全身の毛がブワッとして、隣に座ってくれてるだけでもやばいのに、もう緊張と幸せな気持ちで倒れちゃいそうだった。
先生が生徒の私なんか全然意識してないのはよく分かる。
だって、そのまま手のひらがわたしの手の甲に優しく覆いかぶさったからだ。
年齢は八歳差で、先生はイケメンだから、多分彼女がいる。
何を期待していたのだろうか。
独りよがりのこの気持ちが何だか虚しくなってきて、思わず先生の手を払った。
「あ、えっと、すみません。」
「森口さん、大丈夫?」
「はい。全然。」
にっこりと作り笑顔を浮かべ、問題に取り掛かる。
まだ心臓はバクバクと音を立てていた。
二日目
今日は夏期講習二日目。
気合を入れて、先生と向かい合う。
今日も一対一の授業で、今日の先生のスタイルは格好良く決まっていた。
「森口さん、中学校はどう?仲いい友達出来た?」
「ふぇっと、出来たかなぁ...。」
ちょっとここで何か質問されるとは考えてもいなかったので、動揺する。
「そっか、僕も大学で趣味の合う友達が出来てさ、最近夜中にコンビニに遊びに行ってる(笑)」
その相手って、女性ですか?聞きたかった言葉は急いで飲み込んだ、後味が悪い。
仕方なく、そうなんですね!何時位ですか?と、続ける。
純粋に、胸が痛かった。
気を紛らわすために、受付にいる先生の事を思い浮かべた。
だからか夏期講習中は塾に何度も出向いてしまっている。
「さ、授業始めよっか!」
「はい。」
「教科書二十一ページ開いて。」
「了解です。」
元気よく返事をしたつもりで授業を始める。
その後は集中した授業が続き、私の鉛筆を走らせる音が教室内に響き渡っていた。
「先生!出来まし...た?」
非常事態がおきた。
顔を上げると、何故か頬を、そっと先生の手が包みこんだのだ。
私よりはるかに大きいゴツゴツとした手に触れられ、私の思考は完全に停止する。
しばらく、私と先生は見つめ合っていた。
朝方なので、人も少なく、うるさくなかった為か、やけに私の心臓の音が甘く響き渡った。
ドクン、ドクン、先生の手は優しく、心地よく感じられ、余計にほっぺが熱く感じられた。
「つっ...。ごめん、森口さん頬に汚れがついてたよ!」
三十秒ほどたってから、先生の手は離れてしまった。
名残惜しい気持ちと、このままいくと、何だか大変な事になってしまうかもしれないという危機感が入り混じり、反応に困ってしまった。
「あ、ありがとうございます。」
こんなふうにして、私と先生の日常は続いていく。 ふわふわねこさん(神奈川・12さい)からの相談
とうこう日:2024年8月1日みんなの答え:0件
でも、きっと私のこの気持ちは、皆から見ると良いものでは絶対に無いのだろう。
一日目
「おはようございます…。」
「森口さん、おはようございます。」
いつもと同じ、社交辞令程度の朝の挨拶を交わして、大好きな先生との授業が始まった。
先生は、大学二年生の二十一歳。イケメンな個別指導の講師で、浪人をしたらしくって、大人っぽい一面と、ふざけて私を笑わせてくれる一面がある。
今日はいつもの髪ではなく、前髪を二つに分けて、とても大人っぽい印象を出していた。
今日も先生は格好良い。
「この所、わかる?」
「えっ?と、どこですか?」
「ここ。森口さん、ちゃんと聞いてなかったでしょう。」
「う、ごめんなさい。」
深く謝ると、先生は少し笑っていた。
その姿をみて、何だか胸がキューンとした。
今日は夏期講習の初日。
気合を入れてきたら、今日は運良く一対一の授業だった。
私は2対一の授業だと、何故か緊張して、上手く出来てますけど?というふりをしてしまうのだ。
だから、今日はとってもいい日だと思った。
「先生、ここ、どう解いたら良いんですか?記号がわかりにくて…。」
「ん、そこね、これは…」
先生との距離が一気に近くなった。
ギシ...。という音がして先生の手が私の椅子に力をかける。
先生の人差し指が私の手の甲に触れた時は、全身の毛がブワッとして、隣に座ってくれてるだけでもやばいのに、もう緊張と幸せな気持ちで倒れちゃいそうだった。
先生が生徒の私なんか全然意識してないのはよく分かる。
だって、そのまま手のひらがわたしの手の甲に優しく覆いかぶさったからだ。
年齢は八歳差で、先生はイケメンだから、多分彼女がいる。
何を期待していたのだろうか。
独りよがりのこの気持ちが何だか虚しくなってきて、思わず先生の手を払った。
「あ、えっと、すみません。」
「森口さん、大丈夫?」
「はい。全然。」
にっこりと作り笑顔を浮かべ、問題に取り掛かる。
まだ心臓はバクバクと音を立てていた。
二日目
今日は夏期講習二日目。
気合を入れて、先生と向かい合う。
今日も一対一の授業で、今日の先生のスタイルは格好良く決まっていた。
「森口さん、中学校はどう?仲いい友達出来た?」
「ふぇっと、出来たかなぁ...。」
ちょっとここで何か質問されるとは考えてもいなかったので、動揺する。
「そっか、僕も大学で趣味の合う友達が出来てさ、最近夜中にコンビニに遊びに行ってる(笑)」
その相手って、女性ですか?聞きたかった言葉は急いで飲み込んだ、後味が悪い。
仕方なく、そうなんですね!何時位ですか?と、続ける。
純粋に、胸が痛かった。
気を紛らわすために、受付にいる先生の事を思い浮かべた。
だからか夏期講習中は塾に何度も出向いてしまっている。
「さ、授業始めよっか!」
「はい。」
「教科書二十一ページ開いて。」
「了解です。」
元気よく返事をしたつもりで授業を始める。
その後は集中した授業が続き、私の鉛筆を走らせる音が教室内に響き渡っていた。
「先生!出来まし...た?」
非常事態がおきた。
顔を上げると、何故か頬を、そっと先生の手が包みこんだのだ。
私よりはるかに大きいゴツゴツとした手に触れられ、私の思考は完全に停止する。
しばらく、私と先生は見つめ合っていた。
朝方なので、人も少なく、うるさくなかった為か、やけに私の心臓の音が甘く響き渡った。
ドクン、ドクン、先生の手は優しく、心地よく感じられ、余計にほっぺが熱く感じられた。
「つっ...。ごめん、森口さん頬に汚れがついてたよ!」
三十秒ほどたってから、先生の手は離れてしまった。
名残惜しい気持ちと、このままいくと、何だか大変な事になってしまうかもしれないという危機感が入り混じり、反応に困ってしまった。
「あ、ありがとうございます。」
こんなふうにして、私と先生の日常は続いていく。 ふわふわねこさん(神奈川・12さい)からの相談
とうこう日:2024年8月1日みんなの答え:0件
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