私じゃ駄目なのは分かってたよ。
「美桜が死んじゃってから、おかしいよ」
惺の背中に言う。
惺は振り向くと、疲れた様な、そんな笑顔を見せた。
「喧嘩なんてもうしないでよ」
「分かってるよ。」
惺はまた私に背を向け、行ってしまった。
惺は、私の初恋の人だった。
でも私が惺を好きになった頃には、惺と美桜は両想いで。
付き合ってはいなかったけど、見ていると心が痛んだ。
その時の惺は、本当に楽しそうだった。
でも、去年、美桜が事故で死んだ。
惺にこれ以上傷ついてほしくない。
惺は人を殴る度、心に傷を負っているのだろう。
いつもそんな会話を続け、惺は私の話なんか聞いていない。
でも、きつく言えなかった。
嫌われたくない。それに、傷ついてほしくない。
そうやって、自分に嘘をついていたんだと思う。
ある夜、母から言われた。
「貴方と同じクラスの惺って子?大喧嘩して重体だって…今は入院しているらしいわ」
頭の中が真っ白になった。
また喧嘩。でも、入院なんて始めてで。
気が付くと私は走っていた。
「どこ行くの!」
と母が荒い声を出した。
「まさか、惺君の所じゃないでしょうね、やめておきなさい。あんな子と絡んで…」
母の言葉に、私は腹が煮えくり返る様な感覚を覚えた。
「お母さんに何が分かるの!?惺の事、何も知らない癖に!」
惺は誰よりも優しい。
喧嘩している人だって、美桜を虐めていた人達なの。
困っている人は絶対に助けるの。
惺は、この世界の誰よりも優しくて、強い。
夜の街を走った。
ここら辺の病院なら、ここしかない。
という所に勢いで入り、事情を伝え中に入らせてもらう。
「…美雨」
「惺」
惺の掠れた声。
ここには、美桜が居てほしかったよね。
「また喧嘩したの?」
「…うん、勝てると思ったんだけどなあ」
惺の言葉に、手を握った。
爪が刺さり、血が滲むほど。
私ね、惺の事大好きなの。
言葉に表せられないくらい好き。
でも惺は、美桜が忘れられない事くらい分かってるから。
でも、大好きだから。惺には痛い思いも、辛い思いもしてほしくない。
__例え、惺の隣に居られなくても。
「馬鹿じゃないの」
「え?」
「馬鹿じゃないのって言ってるの!!美桜の為に喧嘩?美桜がそんな事望んでると思ってる!?それで自分が怪我して、馬鹿じゃないの!!」
美桜は女の子っぽくて、優しくて、可愛かった。
私はそんな美桜を嫉んだ。そんな自分の嫌気がさし、自分の顏を見るだけで吐き気がする毎日。
そんな私に手を差し伸ばしてくれたのが、惺だった。
一気に捲し立てると、惺は驚いた様に目を見開いた。
「分かってるよ」
「またそれ!分かってる分かってるって!分かってない癖に!美桜の為とか言っておきながら、自分の為でしょ?!」
惺は私をじっと見つめ、微笑んだ。
「そうかもしれない。自分の為だね」
彼の片目から、涙が零れた。
「まだ…美桜が死んだ事を受け入れられなくて。美桜を返してほしくて」
惺は涙を拭い、私の目を見つめた。
彼の目に、光が宿っていた。
「でも、気付いたよ。美桜はこんな事望んでない。そうだよね、ありがとう、美雨。大事な事に気づけた」
「もう、喧嘩はしない?」
「しないよ」
心の底から安心したせいか、涙がわッと零れた。
そんな私の頭を、惺は撫でてくれる。
この手のぬくもりを私の物にしたかった。
でも、それは欲張りすぎだよね。
私じゃ駄目なのは分かってるから。
だけど、少し、もう少しだけそのぬくもりを私の物だけにさせて。
き る .さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年8月8日みんなの答え:1件
惺の背中に言う。
惺は振り向くと、疲れた様な、そんな笑顔を見せた。
「喧嘩なんてもうしないでよ」
「分かってるよ。」
惺はまた私に背を向け、行ってしまった。
惺は、私の初恋の人だった。
でも私が惺を好きになった頃には、惺と美桜は両想いで。
付き合ってはいなかったけど、見ていると心が痛んだ。
その時の惺は、本当に楽しそうだった。
でも、去年、美桜が事故で死んだ。
惺にこれ以上傷ついてほしくない。
惺は人を殴る度、心に傷を負っているのだろう。
いつもそんな会話を続け、惺は私の話なんか聞いていない。
でも、きつく言えなかった。
嫌われたくない。それに、傷ついてほしくない。
そうやって、自分に嘘をついていたんだと思う。
ある夜、母から言われた。
「貴方と同じクラスの惺って子?大喧嘩して重体だって…今は入院しているらしいわ」
頭の中が真っ白になった。
また喧嘩。でも、入院なんて始めてで。
気が付くと私は走っていた。
「どこ行くの!」
と母が荒い声を出した。
「まさか、惺君の所じゃないでしょうね、やめておきなさい。あんな子と絡んで…」
母の言葉に、私は腹が煮えくり返る様な感覚を覚えた。
「お母さんに何が分かるの!?惺の事、何も知らない癖に!」
惺は誰よりも優しい。
喧嘩している人だって、美桜を虐めていた人達なの。
困っている人は絶対に助けるの。
惺は、この世界の誰よりも優しくて、強い。
夜の街を走った。
ここら辺の病院なら、ここしかない。
という所に勢いで入り、事情を伝え中に入らせてもらう。
「…美雨」
「惺」
惺の掠れた声。
ここには、美桜が居てほしかったよね。
「また喧嘩したの?」
「…うん、勝てると思ったんだけどなあ」
惺の言葉に、手を握った。
爪が刺さり、血が滲むほど。
私ね、惺の事大好きなの。
言葉に表せられないくらい好き。
でも惺は、美桜が忘れられない事くらい分かってるから。
でも、大好きだから。惺には痛い思いも、辛い思いもしてほしくない。
__例え、惺の隣に居られなくても。
「馬鹿じゃないの」
「え?」
「馬鹿じゃないのって言ってるの!!美桜の為に喧嘩?美桜がそんな事望んでると思ってる!?それで自分が怪我して、馬鹿じゃないの!!」
美桜は女の子っぽくて、優しくて、可愛かった。
私はそんな美桜を嫉んだ。そんな自分の嫌気がさし、自分の顏を見るだけで吐き気がする毎日。
そんな私に手を差し伸ばしてくれたのが、惺だった。
一気に捲し立てると、惺は驚いた様に目を見開いた。
「分かってるよ」
「またそれ!分かってる分かってるって!分かってない癖に!美桜の為とか言っておきながら、自分の為でしょ?!」
惺は私をじっと見つめ、微笑んだ。
「そうかもしれない。自分の為だね」
彼の片目から、涙が零れた。
「まだ…美桜が死んだ事を受け入れられなくて。美桜を返してほしくて」
惺は涙を拭い、私の目を見つめた。
彼の目に、光が宿っていた。
「でも、気付いたよ。美桜はこんな事望んでない。そうだよね、ありがとう、美雨。大事な事に気づけた」
「もう、喧嘩はしない?」
「しないよ」
心の底から安心したせいか、涙がわッと零れた。
そんな私の頭を、惺は撫でてくれる。
この手のぬくもりを私の物にしたかった。
でも、それは欲張りすぎだよね。
私じゃ駄目なのは分かってるから。
だけど、少し、もう少しだけそのぬくもりを私の物だけにさせて。
き る .さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年8月8日みんなの答え:1件
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切ない 恋 ... # 今日も おつぴち っ !!
@ 元 莱妃麗 × 月那 × 楓葵 . 恋舞蕗 ですっ . **°+*
♪ **. Main .** ♪
とっても 切ない恋 ...
き る . さん 小説 上手ですっ
惺 くんと 美桜 ちゃんの
恋を 妬みながらも
美雨ちゃんは 2人の恋を
支えてあげられて 凄いなっ...
恋舞蕗 だったら
嫉妬しすぎて 病んじゃうと思う ...
自分の 好きな人の 好きな言葉を
かけてあげられる 美雨ちゃんにも
いつか 素敵な男性が 現れますようにっ...
♪ **. Finish .** ♪
読んでくれて ありがとうございます .☆*
誤字 & 脱字 等 あったら ごめんなさい ... (*o_ _) *o))
また きずなんで 会えるのを 楽しみにしてます !! 恋舞蕗 / Comaro # 1114さん(千葉・11さい)からの答え
とうこう日:2024年11月14日
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