さいごのことば、ふたたびのほほえみ。
【登場人物】
高校生のカップル 『』彼女 「」彼氏 []その他
___________________________
あの日は、いつもどおりの帰り道だと思っていた。忘れもしない、金曜日の放課後。
「ねぇ。俺のこと好き?」
なんでそんなこと急に、って思いながら答えた『好き』。彼のことは、好きなんてそんなものじゃなかった。大好きだった。愛していた。誰よりも大切で、一緒にいたいと思う人だった。
二人が初めて出会ったのは、高校の入学式の日だった。輝くような笑顔で、いつでもクラスの中心だった彼が私に話しかけてきたときはびっくりした。そこから二人は自然と惹かれ合い、交際を始めた。
彼と過ごす毎日は、いつも輝いていた。通学路でのさりげない会話。一緒に食べるお昼ごはん。何気ないことでも、特別な時間だった。
どんなときでも隣にいてくれて、優しい笑顔で笑ってくれて。記念日なんて一回も忘れたことはない。付き合い始めた日、誕生日、クリスマス、はじめて手を繋いだ日。全部が私と彼の宝物だった。なのに、
次に彼の口から出た言葉は「じゃあ、別れよう」
頭の中は真っ白。何で?何で?何で?私、嫌われたの?ねぇ、何で?質問が渦巻いてなにも言えなかった。
彼は行ってしまった。その日の夜、彼から電話があった。私はそれに出ることはなかった。
土曜日、彼女は1日中泣いていた。なり続ける彼からの着信に彼女は出ることができなかった。なにを言われるか怖かったからだ。
月曜日、なんとか普通に振る舞う。そう決めて教室に入ったら、彼の机に花が置かれていた。意味がわからない。なんでみんなないてるの?
一人の友だちが泣きながら私に言う。
[彼女が一番辛いよね]
彼、死んだんだって。ずっと病気だったって。家に戻って一人泣いた。泣いて、泣いて、泣いて、叫んだ。どんなに泣いても、悔やんでも、もう大好きな彼は戻ってこない。もう彼に好きの気持ちを伝えることはできない。
あと一回だけでいい。大好きな彼に、大好きって言って、抱きしめたい。あと一回だけ、本当に一回だけでいい。
最期に彼が残してくれた、あの日の電話の録音。再生するのは怖い。だけど、どうしても彼の声を聞きたくて勇気を振り絞って聞いた内容はこうだった。
「ごめん。今まで言わなかったけど、本当は病気で、半年以上前からは医者にはもう半年持つか持たないか、って言われてたんだ。どうしても言えなかったんだ。だから別れようって言ったんだ。もう、多分俺は死ぬ。本当はずっと一緒にいたかった。今までありがとう。お前がいてくれて本当に良かった。大好きだ。前に話したこと覚えてる?俺がお前より先に死んだら、生まれ変わってまた逢いに行くって。だから、待ってて」
彼の声が途切れた瞬間、胸が締め付けられた。私を傷つけないために、私のために隠していたその事実。他人には優しいくせに、ちょっと不器用なところがある彼なりの優しさ。ずっとそばにいたのに気付けなかった私に嫌気が差す。彼のいない世界に生きる意味なんてあるのだろうか。
___________
−−after 5 years−−
___________
『いつになったら来てくれるの?ばーか』
彼の6回忌。お墓の前でそう零す。彼のいない世界で、彼のことを思いながら生きている。彼のことを忘れた日なんて、1日もない。
すっかり大人になって、周りの子達は結婚、育児。もしくは仕事でどんどん活躍してるらしい。私は、まぁまぁ。
一筋の雫が頬を流れる。どんどん溢れて止まらない。その場で泣きじゃくっていた。
「なんで泣いてるの?」
後ろを見る。
『え?』
間違いない。彼だ。どうしてここにいるの?本当に生まれ変わったの?でも、こんな不思議なことがあっていいの?…いや、そんなことは知らない。
その場に立ちすくしていると、彼が彼女に歩み寄って、ハンカチを差し出してくれた。
あの時と変わらない、柔らかい笑顔。優しい眼差し。手のぬくもり。なにか問い詰めるわけでもない、ただ横にいてくれる安心感。だけど、どこか少し大人びた彼。
まっすぐ向けられる優しさに、涙が出る。今まで閉ざしていた心に、光が灯る。
こんな感覚はいつぶりだろう。
あなたがすきです。
_________________________
読んでくれてありがとうございました!感想書いてくれると嬉しいです\(^o^)/
匿名「」さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2024年8月10日みんなの答え:2件
高校生のカップル 『』彼女 「」彼氏 []その他
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あの日は、いつもどおりの帰り道だと思っていた。忘れもしない、金曜日の放課後。
「ねぇ。俺のこと好き?」
なんでそんなこと急に、って思いながら答えた『好き』。彼のことは、好きなんてそんなものじゃなかった。大好きだった。愛していた。誰よりも大切で、一緒にいたいと思う人だった。
二人が初めて出会ったのは、高校の入学式の日だった。輝くような笑顔で、いつでもクラスの中心だった彼が私に話しかけてきたときはびっくりした。そこから二人は自然と惹かれ合い、交際を始めた。
彼と過ごす毎日は、いつも輝いていた。通学路でのさりげない会話。一緒に食べるお昼ごはん。何気ないことでも、特別な時間だった。
どんなときでも隣にいてくれて、優しい笑顔で笑ってくれて。記念日なんて一回も忘れたことはない。付き合い始めた日、誕生日、クリスマス、はじめて手を繋いだ日。全部が私と彼の宝物だった。なのに、
次に彼の口から出た言葉は「じゃあ、別れよう」
頭の中は真っ白。何で?何で?何で?私、嫌われたの?ねぇ、何で?質問が渦巻いてなにも言えなかった。
彼は行ってしまった。その日の夜、彼から電話があった。私はそれに出ることはなかった。
土曜日、彼女は1日中泣いていた。なり続ける彼からの着信に彼女は出ることができなかった。なにを言われるか怖かったからだ。
月曜日、なんとか普通に振る舞う。そう決めて教室に入ったら、彼の机に花が置かれていた。意味がわからない。なんでみんなないてるの?
一人の友だちが泣きながら私に言う。
[彼女が一番辛いよね]
彼、死んだんだって。ずっと病気だったって。家に戻って一人泣いた。泣いて、泣いて、泣いて、叫んだ。どんなに泣いても、悔やんでも、もう大好きな彼は戻ってこない。もう彼に好きの気持ちを伝えることはできない。
あと一回だけでいい。大好きな彼に、大好きって言って、抱きしめたい。あと一回だけ、本当に一回だけでいい。
最期に彼が残してくれた、あの日の電話の録音。再生するのは怖い。だけど、どうしても彼の声を聞きたくて勇気を振り絞って聞いた内容はこうだった。
「ごめん。今まで言わなかったけど、本当は病気で、半年以上前からは医者にはもう半年持つか持たないか、って言われてたんだ。どうしても言えなかったんだ。だから別れようって言ったんだ。もう、多分俺は死ぬ。本当はずっと一緒にいたかった。今までありがとう。お前がいてくれて本当に良かった。大好きだ。前に話したこと覚えてる?俺がお前より先に死んだら、生まれ変わってまた逢いに行くって。だから、待ってて」
彼の声が途切れた瞬間、胸が締め付けられた。私を傷つけないために、私のために隠していたその事実。他人には優しいくせに、ちょっと不器用なところがある彼なりの優しさ。ずっとそばにいたのに気付けなかった私に嫌気が差す。彼のいない世界に生きる意味なんてあるのだろうか。
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−−after 5 years−−
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『いつになったら来てくれるの?ばーか』
彼の6回忌。お墓の前でそう零す。彼のいない世界で、彼のことを思いながら生きている。彼のことを忘れた日なんて、1日もない。
すっかり大人になって、周りの子達は結婚、育児。もしくは仕事でどんどん活躍してるらしい。私は、まぁまぁ。
一筋の雫が頬を流れる。どんどん溢れて止まらない。その場で泣きじゃくっていた。
「なんで泣いてるの?」
後ろを見る。
『え?』
間違いない。彼だ。どうしてここにいるの?本当に生まれ変わったの?でも、こんな不思議なことがあっていいの?…いや、そんなことは知らない。
その場に立ちすくしていると、彼が彼女に歩み寄って、ハンカチを差し出してくれた。
あの時と変わらない、柔らかい笑顔。優しい眼差し。手のぬくもり。なにか問い詰めるわけでもない、ただ横にいてくれる安心感。だけど、どこか少し大人びた彼。
まっすぐ向けられる優しさに、涙が出る。今まで閉ざしていた心に、光が灯る。
こんな感覚はいつぶりだろう。
あなたがすきです。
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読んでくれてありがとうございました!感想書いてくれると嬉しいです\(^o^)/
匿名「」さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2024年8月10日みんなの答え:2件
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美しくも、儚い話 hello(=^・・^=) 青猫です○o。.
xstartx
美しくも 儚い話 ですね…!
感動しました (´;ω;`)
これを書いてくれて ありがとうございます。
また書いてください…!
xfinishx
good-by(=^・・^=) 青猫さん(京都・9さい)からの答え
とうこう日:2024年11月16日 -
かんどうしました! どうも、みちみちです!
これを読んですごく感動しました!
まだまだ未熟な子どもですが、これを読んだ瞬間、感動さをわかった瞬間でした。
この物語を書いてくれてありがとうございます! みちみちさん(東京・9さい)からの答え
とうこう日:2024年11月15日
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