不器用な人間達
人間は不器用だから。
優しさで傷つけあう。
〇結羽視点
ん・・・?
パチリ、と目が覚める。
耳に響くのは親の激しい声。
(・・・はぁ。今日もか。)
お酒を飲んで興奮したのだろう。
ケンカ癖が治らない両親に多少呆れつつも
そっと耳栓を付けて寝床に入る。
今は午前3時。
もう少し、眠れそう。
そう思いながら布団の中へ潜った。
(あったかい・・・)
溶けてしまいそうなほど、安心する。
このまま、溶けないかなぁ・・・・
そんな期待を抱きながら目を閉じた。
・・・うるさい、うるさい、うるさい!!!
流石におかしい。耳栓をしているのに音が聞こえる。
頭がぐわんぐわん揺らぐ。
限界だ。
いつも、ケンカしやがって!
我慢が出来なくなった私は何も言わず玄関へ行った。
公園に行こう。
あの子に会えるかもしれない。
携帯と一つの箱を持ってひたすら足を進めた。
〇詩視点
「あっ、詩さんまた本読んでる!面白いのかな?」
「ね!古風人すぎて無理!」
「え、それな!いつも読んでいるあの本?何あれ(笑)」
一軍女子の紬、愛、月菜がこちらを向いて言う。
・・・本の良さが分からないなんて、残念!
始めはそう、軽い感じで流していた。
でも、許せない事が起きたのだ。
お気に入りの本が破かれた。
中休み、お手洗いに行ってたら無惨に切られて置かれていた。
お気に入りの本だ。
「へッ・・・・・・?」
紬達がこちらを向いて笑う。
「中見てもよく分かんなかったから切ってあげたよーw」
「シェルター代、貰っても良いんだよぉ?」
「ゴミ箱には、可哀想で捨てられなかったの!」
ふつふつと怒りが沸いてくる。
抑えろ。
ここで抑えなければ社会的に死んでしまう。
そう考えれば考えるほど、思いが溢れてくる。
その本は、自分のお小遣で初めて買った大切な、大切な本なのに。
なぜ?
言葉を放ちたかったけれど、放つまいと我慢していたので代わりに涙が出てきてしまう。
「あ、感動で泣いちゃったー?」
「いいよ、いいよ(笑)うちらそんな事してないし!」
一軍に目を付けられると?
末路はみんな、知っていた。
だからこそ、みんな何も言わない。
「臭いなぁ〜!誰の臭いかな?」
「あ、詩とか?」
「ありえる!本読んでて風呂入ってないとか?」
「それなー(笑)」
クラスのみんなから、ブーイング。
全員、敵。
家に帰っても、親に話せないし。
夜もねむれない。
(明日は誕生日だって言うのに・・・)
仕方ない、気分転換に公園にでも行こうかな。
あの子に会えるかもしれないからね。
まだ星空が見えるころ、そっとドアを開けた。
〇結羽視点
(今日は、来ないかな・・・)
そう考えているとあの子が来た。
「詩ちゃん!」
「あれ、結羽ちゃん!来てたんだね。」
「うん、詩ちゃんに渡したいものがあって・・・」
一つの箱を出す。誕生日プレゼントだ。
「これ、誕プレ!詩ちゃん、本が好きって言ってたでしょ?」
「え!?開けてみていい?」
「いいよー!」
リボンをとり、箱を開ける。
詩ちゃんの目が輝いていく。
「気に入ってくれた?その本ね、私の好きな本なの!」
「ありがとう・・・ありがとう!」
「ヘッ・・・?」
思ったよりオーバーなリアクションに疑問を抱く。
「欲しかった本なの?」
「そうなの!!でも、クラスの女子に破かれちゃって・・・」
「え?それ、いじめだよ?」
「う、うん。分かってるんだけどね・・
でも、こんな時間に出歩く結羽ちゃんも何かあるんじゃない?」
うっ・・・それを言われると図星だ。
「親が、毎日喧嘩していてうるさいの。」
「えっ、それ虐待だよ?」
「し、知ってるよ・・・でもね、今日渡した本の言葉でね、救われたの。」
「えっ、何の言葉?」
わくわくとした様子でこちらを見てくる。
本をペラペラとめくる。
これは、前科ありの翔と、病院から抜けだしてきた綾の話だ。
ブランコに座って、ゆられながら朗読をする。
『人は、いざこざを抱えて。隠して今日も生きて行く。
人間は、そういう冷たくて冷酷な「闇」の事も知っているから。
だから、人間はだれかから受け取る「優しさ」が心に染みているのだ。』
綾の話だ。
『全部、受け入れて。たまには傷ついて。
人間は不器用だから。優しさで傷つけあう。
そんな不器用な人間は、今日も淡い期待を抱き、生きる。
いつか、受け入れて納得できる日が来るまで。
起きて、生きる。』
翔の話だ。
『きっと私達は。』
『『100年経っても助け合って生きて行く。』』
声が重なった。
そうだといいな。
そうでなくちゃな。
_きっと私達は。100年経っても助け合って生きて行く。_
読んでくれてありがとう!
みんなのパワーになったらうれしいな。
名言は、かかおが作ったのだ!
自信作! かかお @小6受験生さん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2024年8月20日みんなの答え:2件
優しさで傷つけあう。
〇結羽視点
ん・・・?
パチリ、と目が覚める。
耳に響くのは親の激しい声。
(・・・はぁ。今日もか。)
お酒を飲んで興奮したのだろう。
ケンカ癖が治らない両親に多少呆れつつも
そっと耳栓を付けて寝床に入る。
今は午前3時。
もう少し、眠れそう。
そう思いながら布団の中へ潜った。
(あったかい・・・)
溶けてしまいそうなほど、安心する。
このまま、溶けないかなぁ・・・・
そんな期待を抱きながら目を閉じた。
・・・うるさい、うるさい、うるさい!!!
流石におかしい。耳栓をしているのに音が聞こえる。
頭がぐわんぐわん揺らぐ。
限界だ。
いつも、ケンカしやがって!
我慢が出来なくなった私は何も言わず玄関へ行った。
公園に行こう。
あの子に会えるかもしれない。
携帯と一つの箱を持ってひたすら足を進めた。
〇詩視点
「あっ、詩さんまた本読んでる!面白いのかな?」
「ね!古風人すぎて無理!」
「え、それな!いつも読んでいるあの本?何あれ(笑)」
一軍女子の紬、愛、月菜がこちらを向いて言う。
・・・本の良さが分からないなんて、残念!
始めはそう、軽い感じで流していた。
でも、許せない事が起きたのだ。
お気に入りの本が破かれた。
中休み、お手洗いに行ってたら無惨に切られて置かれていた。
お気に入りの本だ。
「へッ・・・・・・?」
紬達がこちらを向いて笑う。
「中見てもよく分かんなかったから切ってあげたよーw」
「シェルター代、貰っても良いんだよぉ?」
「ゴミ箱には、可哀想で捨てられなかったの!」
ふつふつと怒りが沸いてくる。
抑えろ。
ここで抑えなければ社会的に死んでしまう。
そう考えれば考えるほど、思いが溢れてくる。
その本は、自分のお小遣で初めて買った大切な、大切な本なのに。
なぜ?
言葉を放ちたかったけれど、放つまいと我慢していたので代わりに涙が出てきてしまう。
「あ、感動で泣いちゃったー?」
「いいよ、いいよ(笑)うちらそんな事してないし!」
一軍に目を付けられると?
末路はみんな、知っていた。
だからこそ、みんな何も言わない。
「臭いなぁ〜!誰の臭いかな?」
「あ、詩とか?」
「ありえる!本読んでて風呂入ってないとか?」
「それなー(笑)」
クラスのみんなから、ブーイング。
全員、敵。
家に帰っても、親に話せないし。
夜もねむれない。
(明日は誕生日だって言うのに・・・)
仕方ない、気分転換に公園にでも行こうかな。
あの子に会えるかもしれないからね。
まだ星空が見えるころ、そっとドアを開けた。
〇結羽視点
(今日は、来ないかな・・・)
そう考えているとあの子が来た。
「詩ちゃん!」
「あれ、結羽ちゃん!来てたんだね。」
「うん、詩ちゃんに渡したいものがあって・・・」
一つの箱を出す。誕生日プレゼントだ。
「これ、誕プレ!詩ちゃん、本が好きって言ってたでしょ?」
「え!?開けてみていい?」
「いいよー!」
リボンをとり、箱を開ける。
詩ちゃんの目が輝いていく。
「気に入ってくれた?その本ね、私の好きな本なの!」
「ありがとう・・・ありがとう!」
「ヘッ・・・?」
思ったよりオーバーなリアクションに疑問を抱く。
「欲しかった本なの?」
「そうなの!!でも、クラスの女子に破かれちゃって・・・」
「え?それ、いじめだよ?」
「う、うん。分かってるんだけどね・・
でも、こんな時間に出歩く結羽ちゃんも何かあるんじゃない?」
うっ・・・それを言われると図星だ。
「親が、毎日喧嘩していてうるさいの。」
「えっ、それ虐待だよ?」
「し、知ってるよ・・・でもね、今日渡した本の言葉でね、救われたの。」
「えっ、何の言葉?」
わくわくとした様子でこちらを見てくる。
本をペラペラとめくる。
これは、前科ありの翔と、病院から抜けだしてきた綾の話だ。
ブランコに座って、ゆられながら朗読をする。
『人は、いざこざを抱えて。隠して今日も生きて行く。
人間は、そういう冷たくて冷酷な「闇」の事も知っているから。
だから、人間はだれかから受け取る「優しさ」が心に染みているのだ。』
綾の話だ。
『全部、受け入れて。たまには傷ついて。
人間は不器用だから。優しさで傷つけあう。
そんな不器用な人間は、今日も淡い期待を抱き、生きる。
いつか、受け入れて納得できる日が来るまで。
起きて、生きる。』
翔の話だ。
『きっと私達は。』
『『100年経っても助け合って生きて行く。』』
声が重なった。
そうだといいな。
そうでなくちゃな。
_きっと私達は。100年経っても助け合って生きて行く。_
読んでくれてありがとう!
みんなのパワーになったらうれしいな。
名言は、かかおが作ったのだ!
自信作! かかお @小6受験生さん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2024年8月20日みんなの答え:2件
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とてもいい話! ヤッホー!!12月1日に相談が公開されたら改名する虹色花火だよ!
本題
とてもいい話でした!
ありがとうございました! 虹色花火#12月改名予定さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年11月27日 -
すご!! 初めまして豆腐です!物語、読ませていただきました!すごく素敵で元気が出ました!ありがとうございます。またね!(早くね?) 豆腐さん(北海道・11さい)からの答え
とうこう日:2024年11月26日
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
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