僕は貴方の恋人になりたかった。
愛する彼が、僕の前で死刑になる。
僕は笑顔をしらなかった。
権力を持つ貴族に生まれ、朝から晩まで稽古。
外には出てはいけない。汚い物がたくさんあるから。
でも、ある日。
僕の庭に植えてある大きな木から木の実をとる、彼が居た。
驚き、呆然としていると、彼と目が合う。
彼は目を見開き、汚れた顏で太陽の様な笑顔を作り、僕に手を差しだした。
反射的に窓を開けてしまった。
彼の手を取ったら、自由になれる気がしたから。
「君が次の王、ミシャ?」
りんごを貪りながら、彼こと、リヤは言った。
「そうだよ」
「噂に聞いてた通り、驚くほど美しいな」
彼は僕の顎を持ち、こちらをじっくりと見つめた。
不快な気持ちに支配される。
彼も、僕の事を見た目で選んだのか。
「でも、幸せそうじゃない」
彼の言葉に目を見開く。
「これすんげえ美味いんだ!ほら、やる」
リヤは食べかけのりんごを僕に差し出した。
『汚い下民の食べ物を食べるのはやめなさい』
父の言葉が脳に過る。
「駄目だ、禁止されてる」
「誰に?」
不思議そうな瞳が、僕を捉えた。
「父上に。外にでる事も。人に会う事も」
「それはミシャが次なる王だから?美しいから?」
無言で頷く。
「でも、ミシャの人生はミシャのだ!誰の物でもないよ。好きな様にしていい。ミシャは自由だよ」
リヤの言葉に、何かが目覚めた音がした。
硝子が割れた様な、何かに解放された様な。
その瞬間、何かが込み上げてくる。
「これ…っ、何だろう…っ止まんないや…」
瞳から次々に溢れ出す水に戸惑っていると、リヤが僕を抱き寄せた。
「それは涙だよ」
リヤは僕の顏から涙を拭きとり、微笑んだ。
暖かい光に包まれている様だった。
その光に包まれながら、僕の口元は緩む。
「ミシャ…綺麗だね、綺麗な笑顔だ。それがいい」
リヤが僕の頬を愛おしそうに撫でた。
何故だろう、初めてあったはずなのに、ずっと前に会った事がある様な気がして。
リヤは初めて、僕に感情を教えてくれた。
僕は、隙間時間にリヤに会いに行くという重大違反を犯した。
リヤとの毎日はすごく楽しく、ずっと続けばいいと思った。
リヤ以外、何も要らなかった。
でも、幸せな日は続かない。
ある日、父にバレてしまう。
リヤは取り押さえられ、地下の牢屋に入れられた。
三日後に死刑が確定した。
眠れない日々が続き、遂に当日になった。
雨の日だった。
リヤは手足を縛れれ、死刑台に立っている。
「下民の分際で次期王に危害を加え、要らない知識を教え込んだ事で死刑と見做す」
「待って!」
隣に居た僕は、勢いで父の腕を掴む。
「リヤは悪くないんだ、僕がっ殺すなら僕にしてよ!」
父は驚いた様に目を丸くした。
「前まではこんな反論する子じゃなかった。それもお前のせいだ!」
焦る気持ちが巡り、上手く言葉に出来ない。
父の言葉を聞く前に、僕は走り出していた。
「リヤっ!」
リヤは酷くやせ細っており、体の至る所に傷跡があった。
「リヤ、何された?」
怒りで声が震えた。
「大丈夫、大した事ないよ」
優しく微笑むリヤ。
「ごめん、僕のせいで…必ず辞めさせるから」
「いいよ、多分無理だ」
リヤは優しい声音で言う。
「そんな事より、最後に話しがしたいな」
「なんで」
「僕はミシャと出会えて良かった。厳しい生活に楽しみが出来てさ」
最後みたいに言わないで。
「ミシャ、これから色んな感情を知って、色んな景色を見るんだよ。」
「やめて、リヤ」
「最後の願いを聞いてくれる?」
涙が溢れ、嗚咽が漏れる。
「貴方の恋人になりたい」
リヤの言葉に、目を見開いた。
リヤの笑顔は眩しかった。
「ミシャの人生が輝く様祈ってる」
鐘が鳴った。
父に名を呼ばれ、リヤに背を向ける。
苦しかった。見たくなかった。
「最後に言い残す事は?」
嫌味に聞こえる父の言葉に、ミシャは笑って答えた。
「ミシャの人生はミシャの物だ。あんたの物じゃない」
父の目が吊り上がり、ミシャの首が飛んだ。
その瞬間、雨が激しくなる。
息が荒くなり、これまで感じた事のないほどの怒りを感じる。
弱虫な自分に。父に。
僕はその場に座り込んだ。
喉が裂けるくらい叫び、手の皮が切れるくらい地面を叩いた。
自分が許せない。
愛する者を助けられなかった。
恐怖が勝ってしまった。
リヤの居ない世界に、価値など無い。
どうにでもなってしまえ。
この世界を変えてやる。身分など関係ない、愛する者同士が辛い思いをしなくて済む様に。
恋という感情も、リヤが教えてくれたね。
もう一度だけやり直せるなら、リヤ、僕も貴方の恋人になりたい。
__決心が遅すぎた、儚い恋の物語。 き る .さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年8月26日みんなの答え:4件
僕は笑顔をしらなかった。
権力を持つ貴族に生まれ、朝から晩まで稽古。
外には出てはいけない。汚い物がたくさんあるから。
でも、ある日。
僕の庭に植えてある大きな木から木の実をとる、彼が居た。
驚き、呆然としていると、彼と目が合う。
彼は目を見開き、汚れた顏で太陽の様な笑顔を作り、僕に手を差しだした。
反射的に窓を開けてしまった。
彼の手を取ったら、自由になれる気がしたから。
「君が次の王、ミシャ?」
りんごを貪りながら、彼こと、リヤは言った。
「そうだよ」
「噂に聞いてた通り、驚くほど美しいな」
彼は僕の顎を持ち、こちらをじっくりと見つめた。
不快な気持ちに支配される。
彼も、僕の事を見た目で選んだのか。
「でも、幸せそうじゃない」
彼の言葉に目を見開く。
「これすんげえ美味いんだ!ほら、やる」
リヤは食べかけのりんごを僕に差し出した。
『汚い下民の食べ物を食べるのはやめなさい』
父の言葉が脳に過る。
「駄目だ、禁止されてる」
「誰に?」
不思議そうな瞳が、僕を捉えた。
「父上に。外にでる事も。人に会う事も」
「それはミシャが次なる王だから?美しいから?」
無言で頷く。
「でも、ミシャの人生はミシャのだ!誰の物でもないよ。好きな様にしていい。ミシャは自由だよ」
リヤの言葉に、何かが目覚めた音がした。
硝子が割れた様な、何かに解放された様な。
その瞬間、何かが込み上げてくる。
「これ…っ、何だろう…っ止まんないや…」
瞳から次々に溢れ出す水に戸惑っていると、リヤが僕を抱き寄せた。
「それは涙だよ」
リヤは僕の顏から涙を拭きとり、微笑んだ。
暖かい光に包まれている様だった。
その光に包まれながら、僕の口元は緩む。
「ミシャ…綺麗だね、綺麗な笑顔だ。それがいい」
リヤが僕の頬を愛おしそうに撫でた。
何故だろう、初めてあったはずなのに、ずっと前に会った事がある様な気がして。
リヤは初めて、僕に感情を教えてくれた。
僕は、隙間時間にリヤに会いに行くという重大違反を犯した。
リヤとの毎日はすごく楽しく、ずっと続けばいいと思った。
リヤ以外、何も要らなかった。
でも、幸せな日は続かない。
ある日、父にバレてしまう。
リヤは取り押さえられ、地下の牢屋に入れられた。
三日後に死刑が確定した。
眠れない日々が続き、遂に当日になった。
雨の日だった。
リヤは手足を縛れれ、死刑台に立っている。
「下民の分際で次期王に危害を加え、要らない知識を教え込んだ事で死刑と見做す」
「待って!」
隣に居た僕は、勢いで父の腕を掴む。
「リヤは悪くないんだ、僕がっ殺すなら僕にしてよ!」
父は驚いた様に目を丸くした。
「前まではこんな反論する子じゃなかった。それもお前のせいだ!」
焦る気持ちが巡り、上手く言葉に出来ない。
父の言葉を聞く前に、僕は走り出していた。
「リヤっ!」
リヤは酷くやせ細っており、体の至る所に傷跡があった。
「リヤ、何された?」
怒りで声が震えた。
「大丈夫、大した事ないよ」
優しく微笑むリヤ。
「ごめん、僕のせいで…必ず辞めさせるから」
「いいよ、多分無理だ」
リヤは優しい声音で言う。
「そんな事より、最後に話しがしたいな」
「なんで」
「僕はミシャと出会えて良かった。厳しい生活に楽しみが出来てさ」
最後みたいに言わないで。
「ミシャ、これから色んな感情を知って、色んな景色を見るんだよ。」
「やめて、リヤ」
「最後の願いを聞いてくれる?」
涙が溢れ、嗚咽が漏れる。
「貴方の恋人になりたい」
リヤの言葉に、目を見開いた。
リヤの笑顔は眩しかった。
「ミシャの人生が輝く様祈ってる」
鐘が鳴った。
父に名を呼ばれ、リヤに背を向ける。
苦しかった。見たくなかった。
「最後に言い残す事は?」
嫌味に聞こえる父の言葉に、ミシャは笑って答えた。
「ミシャの人生はミシャの物だ。あんたの物じゃない」
父の目が吊り上がり、ミシャの首が飛んだ。
その瞬間、雨が激しくなる。
息が荒くなり、これまで感じた事のないほどの怒りを感じる。
弱虫な自分に。父に。
僕はその場に座り込んだ。
喉が裂けるくらい叫び、手の皮が切れるくらい地面を叩いた。
自分が許せない。
愛する者を助けられなかった。
恐怖が勝ってしまった。
リヤの居ない世界に、価値など無い。
どうにでもなってしまえ。
この世界を変えてやる。身分など関係ない、愛する者同士が辛い思いをしなくて済む様に。
恋という感情も、リヤが教えてくれたね。
もう一度だけやり直せるなら、リヤ、僕も貴方の恋人になりたい。
__決心が遅すぎた、儚い恋の物語。 き る .さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年8月26日みんなの答え:4件
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4件中 1 〜 4件を表示
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切なすぎるっっ ... # 感動 # 小説
元 楓葵 × 恋舞蕗 × 蝶露 の 珠妃星 ですっ . **°+*
♪ **. Main .** ♪
めっちゃ 切ない ...
でも 感動しました ... !!
きる さんの小説
最高すぎます !!
♪ **. Finish .** ♪
読んでくれて ありがと ~ .☆*
誤字 & 脱字 等 あったら ごめんなさい ... (*o_ _) *o))
また きずなんで 会えるのを 楽しみにしてます !! 珠妃星 / Supika # ぴちりすさん(千葉・11さい)からの答え
とうこう日:2024年12月7日 -
切ない @元夕愛
麗です^..^
ーー ーー
やばい.切なすぎる.
めっちゃ感動しました.
文章のつくりとか
改行も上手いです!!
ぐっばい(_ _).。o○ 麗|うららさん(東京・11さい)からの答え
とうこう日:2024年12月3日 -
切 な い ね 、 魚 肴 s a k a n a で す っ !
と て も 、 せ つ な く て 胸 が 苦 し く
な り ま す 、 、 、
ミ シ ャ と リ ヤ 、 来 世 は 幸 せ に な
っ て ほ し い で す 、 !
(空白さんに憧れただけです。読みにくいですよねすみません。)
魚肴sakanaさん(選択なし・15さい)からの答え
とうこう日:2024年12月3日 -
うっわ感動 こんなに感動する話
初めて
悲しいね KIKIさん(愛知・9さい)からの答え
とうこう日:2024年12月2日
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
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