最期の想い。
どこまでも果てしなく続く青い空。
最期にもう1度だけ見ておきたくて。
淡々とした青空を見ている内、段々と不安になってきた。
「こんなこと間違ってる」
「まだ希望はあるはずだ」
僕の体内のどこかでそう叫ぶ声がする。
ううん。これでいいんだ。
ただ、僕をいじめてきた子達が勝ちみたいになってしまって少し悔しい気もするんだけど。
これが僕にできる最大限の復讐だ。
ざまぁみろ。
あの子達に何らかの処分は下るのかな。
まぁどっちでもいいか。僕には関係ない事なんだし。
「ごめんね。ありがとう。お兄ちゃん」
僕がいじめられている事を唯一相談できた人。
放任主義の両親とは違い、親身になって話を聞いてくれた。
そんなお兄ちゃんを絶望の底に突き落とすような事をこれからしてしまうと思うと
胸がちくりと痛んだ。
──段々と遠くなっていく空。
近づいてくる地面。
一瞬だけ“死”に恐怖を覚えたけど、何だか空を飛んでいるような気さえしてきた。
ードサッ
ほんの一瞬だけ激痛を感じたけど、それもすぐに消え失せた。
このまま僕は消えていくんだ。
悲しいような、寂しいような、だけど安心するような感じ。
「どう?15年の短い命がもう終わるって気持ちは?」
不意に声をかけられ、僕はびっくりした。
「……え?」
「あぁ。俺?俺はね、天使、だよ」
天使、の語気を強め彼は言った。
「そんなものいないと思ってた?実はいるんだよねー」
何とか視線を動かすと、そこには真っ白な青年がいた。
歳は僕と同じか、少し上くらい。
ただ、「天使」の象徴の輪とか羽は見当たらなかった。
「輪とか羽が無いって?だってただ邪魔なだけだもん」
そう笑う彼が美しく思えた。
「お喋りはこれくらいにしといて。君、なんで自殺なんか図ったの?」
「自殺」の単語に思わず口元を歪める。
「いじめ、られて……」
それ以上言葉を紡ぐことはできなかった。怖かった。
「そっか。辛かったね。君は本当にそれで良かったの?」
僕が何も答えないでいると、
お兄さんがいるんだよね、と天使は続けた。
「ただ、もうお兄ちゃんの負担になりたくなかったんだ……」
僕は知っていた。
僕が相談をすると、お兄ちゃんは何もできない自分の事を責めていた事を。
1人、泣いている夜もあった。
だけど僕はそれに気付いていないフリをしていたんだ。
とてつもない後悔に襲われた。
「へぇ。だけどそれを伝える前に君は逝っちゃうんだよ」
「……ッ」
今更“死”について思い出した。
そっか。もう話す事も笑う事もお兄ちゃんを抱きしめる事も叶わないんだ。
「……嫌だ……僕がもっと………もっと…」
「もうそろそろ時間だから。肉体と魂を切り離すよ」
天使が淡々と告げる。
「待って……君、天使なんだよね?……だったら、僕のこと、戻して……?」
すると天使は深々と溜息をついた。
「無理だよ。できない。俺の仕事は肉体と魂を切り離すだけ」
あぁ。そっか。そうだよね。
僕はなんて馬鹿な事をしたんだろう。
やり直せるならやり直したい。
だけどもうそれも叶わぬ願い。
「そっか。ごめんね。じゃあ任せたよ」
僕がそう言うと天使は目を見開いた。
その瞳には悲しげな色が混ざっていた。
「来世では幸せになれよ」
その一言を最後に、僕は何やら温かいものに包まれ、空高く昇っていた。
「また罵られるかと思ってたのによ」
俺ら天使は自殺を図った人の肉体から魂を切り離し、楽にしてやる事だ。
「まだ死にたくない」
「やめてくれ」
「私は自殺じゃない、アンタに殺されるんだ」
大半の奴らは俺らを罵り、消えていく。
それに俺は何も答えず、ただ黙って耳を貸すだけ。
だけど1つ。ずっと思っている事がある。
「死を選んだのは、紛れもない君なんだよ」
───完
感想とかあると嬉しいな。
せと ° @小説家志望さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2024年8月27日みんなの答え:0件
最期にもう1度だけ見ておきたくて。
淡々とした青空を見ている内、段々と不安になってきた。
「こんなこと間違ってる」
「まだ希望はあるはずだ」
僕の体内のどこかでそう叫ぶ声がする。
ううん。これでいいんだ。
ただ、僕をいじめてきた子達が勝ちみたいになってしまって少し悔しい気もするんだけど。
これが僕にできる最大限の復讐だ。
ざまぁみろ。
あの子達に何らかの処分は下るのかな。
まぁどっちでもいいか。僕には関係ない事なんだし。
「ごめんね。ありがとう。お兄ちゃん」
僕がいじめられている事を唯一相談できた人。
放任主義の両親とは違い、親身になって話を聞いてくれた。
そんなお兄ちゃんを絶望の底に突き落とすような事をこれからしてしまうと思うと
胸がちくりと痛んだ。
──段々と遠くなっていく空。
近づいてくる地面。
一瞬だけ“死”に恐怖を覚えたけど、何だか空を飛んでいるような気さえしてきた。
ードサッ
ほんの一瞬だけ激痛を感じたけど、それもすぐに消え失せた。
このまま僕は消えていくんだ。
悲しいような、寂しいような、だけど安心するような感じ。
「どう?15年の短い命がもう終わるって気持ちは?」
不意に声をかけられ、僕はびっくりした。
「……え?」
「あぁ。俺?俺はね、天使、だよ」
天使、の語気を強め彼は言った。
「そんなものいないと思ってた?実はいるんだよねー」
何とか視線を動かすと、そこには真っ白な青年がいた。
歳は僕と同じか、少し上くらい。
ただ、「天使」の象徴の輪とか羽は見当たらなかった。
「輪とか羽が無いって?だってただ邪魔なだけだもん」
そう笑う彼が美しく思えた。
「お喋りはこれくらいにしといて。君、なんで自殺なんか図ったの?」
「自殺」の単語に思わず口元を歪める。
「いじめ、られて……」
それ以上言葉を紡ぐことはできなかった。怖かった。
「そっか。辛かったね。君は本当にそれで良かったの?」
僕が何も答えないでいると、
お兄さんがいるんだよね、と天使は続けた。
「ただ、もうお兄ちゃんの負担になりたくなかったんだ……」
僕は知っていた。
僕が相談をすると、お兄ちゃんは何もできない自分の事を責めていた事を。
1人、泣いている夜もあった。
だけど僕はそれに気付いていないフリをしていたんだ。
とてつもない後悔に襲われた。
「へぇ。だけどそれを伝える前に君は逝っちゃうんだよ」
「……ッ」
今更“死”について思い出した。
そっか。もう話す事も笑う事もお兄ちゃんを抱きしめる事も叶わないんだ。
「……嫌だ……僕がもっと………もっと…」
「もうそろそろ時間だから。肉体と魂を切り離すよ」
天使が淡々と告げる。
「待って……君、天使なんだよね?……だったら、僕のこと、戻して……?」
すると天使は深々と溜息をついた。
「無理だよ。できない。俺の仕事は肉体と魂を切り離すだけ」
あぁ。そっか。そうだよね。
僕はなんて馬鹿な事をしたんだろう。
やり直せるならやり直したい。
だけどもうそれも叶わぬ願い。
「そっか。ごめんね。じゃあ任せたよ」
僕がそう言うと天使は目を見開いた。
その瞳には悲しげな色が混ざっていた。
「来世では幸せになれよ」
その一言を最後に、僕は何やら温かいものに包まれ、空高く昇っていた。
「また罵られるかと思ってたのによ」
俺ら天使は自殺を図った人の肉体から魂を切り離し、楽にしてやる事だ。
「まだ死にたくない」
「やめてくれ」
「私は自殺じゃない、アンタに殺されるんだ」
大半の奴らは俺らを罵り、消えていく。
それに俺は何も答えず、ただ黙って耳を貸すだけ。
だけど1つ。ずっと思っている事がある。
「死を選んだのは、紛れもない君なんだよ」
───完
感想とかあると嬉しいな。
せと ° @小説家志望さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2024年8月27日みんなの答え:0件
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