校長先生の企み
私、大野菜木(おおのなぎ)。高校1年生。
今日は、、、期末テストの成績発表の日。
先生から答案を受け取り、席について見た。
数学100点。国語100点。理科100点。英語100点。社会、、、
98点!
あーあ、1問間違えちゃった。
配布が終わるとクラスが騒ぎ始める。
「あっちゃー、赤点取っちまった」
「ねえねえ数学何点だった?私は54点だった」
「お前その点数はやばすぎだろー」
「ううー、結果を見る勇気が出ない」
、、、うるさいなあ。
私は筆箱からシャーペンを取り出し、その間違えた問題を見る。
その答えがある教科書のページを探し、印をつけた。
これでよし。
その時、先生から声がかかった。
「間違えたところはきちんと復習するようにしてください。今回の順位は2組の教室の前に貼ってあるので、見に行きたい人は休み時間に行ってください。それでは答案はしまって、国語の教科書を開いてください」
先生、もう復習は終わりました。
「それと、大野さん。休み時間に先生のところに来てください」
「はい」
ん?私なにかやらかしたか?
ー休み時間ー
「先生。何の御用ですか?」
「着いてきてください」
私が連れて行かれたのは、校長室だった。
「校長先生。大野さんです」
そこには、朝会でいつも見る校長先生と、知らない男子がいた。
「ありがとう。じゃあ、ちょっと外してください」
「はい」
先生が出ていって、私は校長先生に座るように言われた。
「校長先生。単刀直入に聞きますが、何の御用でしょうか?それから、この男子生徒は誰で、なぜ、この場にいるんでしょうか?」
「おや、この生徒を知らないのかい?」
「知りません」
「私の孫で、君と同じクラスだぞ」
私はその男子をよく見る。
「ええと、ああ、どこかで見たことがある気がします。確か名前は、遠藤達也、でしたっけ」
そこで彼はようやく口を開いた。
「近藤達也(こんどうたつや)だ」
あらら、間違えちゃった。
「ごめんなさい、よく覚えてませんでした」
「驚いた、この学校で俺の名前を知らないやつはいないと思っていたんだが」
「いえ、私は知らないわけではありません。間違えただけです。すみませんでした」
「、、、それで、あんた誰」
な、なんか、初対面とは思えない刺々しさ。
「大野菜木です。よろしくお願いします。、、、それで、校長先生、何の御用でしょうか?」
校長先生はいきなり話を振られて驚いていた。
「ああ、すまない。大野さん。あなたには、近藤くんに勉強を教えてあげてほしい」
「何ですって?私に?、、、分かりました。それでは、現在の彼の成績を教えてください。それから、範囲はどこですか?」
私はメモ帳とシャーペンを構える。
近藤くんは、どこから取ってきたの、という顔で私を見ていた。
「話が速くて助かる。数学20点、国語40点、理科10点、社会25点。教える範囲は、高校1年生の最初から今習っているところまで」
「了解です。いつから?時間は?いつまで?場所は?」
「今日。この時間帯から1時間。次の期末テストまで。多目的室で」
「近藤くん。行きましょう」
「は?どこに?」
「多目的室に決まっているじゃないですか。失礼しました」
私は校長室から出る。
「お、おい。待てよ!」
ー2ヶ月後ー
何だか、よく分からない感じで始まったこの関係、案外悪くないかも。
近藤くんの言葉の棘も無くなったし。
「よし、今日はこれで終わり」
「オッケー」
近藤くんは教科書をリュックにしまい、背負った。
私は自分のノートを広げる。
「ん?帰らないのか?」
「うん、今日の復習」
近藤くんは顔を私の方に近づける。
あれ、なんか近くない?
「大野、お前顔赤いぞ。熱あるんか?」
「へ?え、ないよ?」
「そう、なのか」
ー次の期末テストの後ー
「近藤くん、一緒に順位見に行こうよ」
「ああ、楽しみだな。大野は結果どうだったんだ?」
「全部満点!初めてだよ!いつも1問ぐらいは間違うのに。近藤くんは?」
「教えない。、、、順位表見に行ったら分かるぞ」
順位分かったら教えてくれるのかな。
順位表の前には、沢山の生徒が集まっていた。
一番上がギリギリ見られた。
「ほら、分かっただろ?」
「えっ、本当に、、、?」
第一位 大野菜木、近藤達也
見間違いじゃない。
ということは、、、
「全部満点取ったの?凄いじゃん!」
「大野の教え方が良かったからだよ。、、、それでさ、あの、伝えたいことがあるんだけど」
「何?」
伝えたいこと?近藤くんが私に?
「好きだ。付き合ってくれ」
「えっ!」
「すまん、突然に。それで、返事は?」
自分でも気づいていた。
私が、近藤くんが好きだってこと。
両思いだったなんて。
「いいよ。その、よろしくっ」
「よっしゃーっ!」
校長先生が、廊下の隅で微笑んでいた。 夢羅(ゆら)さん(東京・11さい)からの相談
とうこう日:2024年9月12日みんなの答え:1件
今日は、、、期末テストの成績発表の日。
先生から答案を受け取り、席について見た。
数学100点。国語100点。理科100点。英語100点。社会、、、
98点!
あーあ、1問間違えちゃった。
配布が終わるとクラスが騒ぎ始める。
「あっちゃー、赤点取っちまった」
「ねえねえ数学何点だった?私は54点だった」
「お前その点数はやばすぎだろー」
「ううー、結果を見る勇気が出ない」
、、、うるさいなあ。
私は筆箱からシャーペンを取り出し、その間違えた問題を見る。
その答えがある教科書のページを探し、印をつけた。
これでよし。
その時、先生から声がかかった。
「間違えたところはきちんと復習するようにしてください。今回の順位は2組の教室の前に貼ってあるので、見に行きたい人は休み時間に行ってください。それでは答案はしまって、国語の教科書を開いてください」
先生、もう復習は終わりました。
「それと、大野さん。休み時間に先生のところに来てください」
「はい」
ん?私なにかやらかしたか?
ー休み時間ー
「先生。何の御用ですか?」
「着いてきてください」
私が連れて行かれたのは、校長室だった。
「校長先生。大野さんです」
そこには、朝会でいつも見る校長先生と、知らない男子がいた。
「ありがとう。じゃあ、ちょっと外してください」
「はい」
先生が出ていって、私は校長先生に座るように言われた。
「校長先生。単刀直入に聞きますが、何の御用でしょうか?それから、この男子生徒は誰で、なぜ、この場にいるんでしょうか?」
「おや、この生徒を知らないのかい?」
「知りません」
「私の孫で、君と同じクラスだぞ」
私はその男子をよく見る。
「ええと、ああ、どこかで見たことがある気がします。確か名前は、遠藤達也、でしたっけ」
そこで彼はようやく口を開いた。
「近藤達也(こんどうたつや)だ」
あらら、間違えちゃった。
「ごめんなさい、よく覚えてませんでした」
「驚いた、この学校で俺の名前を知らないやつはいないと思っていたんだが」
「いえ、私は知らないわけではありません。間違えただけです。すみませんでした」
「、、、それで、あんた誰」
な、なんか、初対面とは思えない刺々しさ。
「大野菜木です。よろしくお願いします。、、、それで、校長先生、何の御用でしょうか?」
校長先生はいきなり話を振られて驚いていた。
「ああ、すまない。大野さん。あなたには、近藤くんに勉強を教えてあげてほしい」
「何ですって?私に?、、、分かりました。それでは、現在の彼の成績を教えてください。それから、範囲はどこですか?」
私はメモ帳とシャーペンを構える。
近藤くんは、どこから取ってきたの、という顔で私を見ていた。
「話が速くて助かる。数学20点、国語40点、理科10点、社会25点。教える範囲は、高校1年生の最初から今習っているところまで」
「了解です。いつから?時間は?いつまで?場所は?」
「今日。この時間帯から1時間。次の期末テストまで。多目的室で」
「近藤くん。行きましょう」
「は?どこに?」
「多目的室に決まっているじゃないですか。失礼しました」
私は校長室から出る。
「お、おい。待てよ!」
ー2ヶ月後ー
何だか、よく分からない感じで始まったこの関係、案外悪くないかも。
近藤くんの言葉の棘も無くなったし。
「よし、今日はこれで終わり」
「オッケー」
近藤くんは教科書をリュックにしまい、背負った。
私は自分のノートを広げる。
「ん?帰らないのか?」
「うん、今日の復習」
近藤くんは顔を私の方に近づける。
あれ、なんか近くない?
「大野、お前顔赤いぞ。熱あるんか?」
「へ?え、ないよ?」
「そう、なのか」
ー次の期末テストの後ー
「近藤くん、一緒に順位見に行こうよ」
「ああ、楽しみだな。大野は結果どうだったんだ?」
「全部満点!初めてだよ!いつも1問ぐらいは間違うのに。近藤くんは?」
「教えない。、、、順位表見に行ったら分かるぞ」
順位分かったら教えてくれるのかな。
順位表の前には、沢山の生徒が集まっていた。
一番上がギリギリ見られた。
「ほら、分かっただろ?」
「えっ、本当に、、、?」
第一位 大野菜木、近藤達也
見間違いじゃない。
ということは、、、
「全部満点取ったの?凄いじゃん!」
「大野の教え方が良かったからだよ。、、、それでさ、あの、伝えたいことがあるんだけど」
「何?」
伝えたいこと?近藤くんが私に?
「好きだ。付き合ってくれ」
「えっ!」
「すまん、突然に。それで、返事は?」
自分でも気づいていた。
私が、近藤くんが好きだってこと。
両思いだったなんて。
「いいよ。その、よろしくっ」
「よっしゃーっ!」
校長先生が、廊下の隅で微笑んでいた。 夢羅(ゆら)さん(東京・11さい)からの相談
とうこう日:2024年9月12日みんなの答え:1件
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示
-
おおー!! りなのです!
すっごくおもしろかったです!
同い年と思えないくらい!
ていうか、100点ってすごすぎる…!
りなのもこんな点数とりたいなー((厳しいって
校長先生が二人を仲良くさせようとしたんでしょうか
二人、付き合えて良かったですね!
りなのさん(大阪・11さい)からの答え
とうこう日:2024年12月16日
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- みんなの好きな短歌は?11月29日
-
- どんな「スマホカバー」使ってる?01月06日
-
- グループを抜けたい01月06日
-
- 話を聞いてほしい01月06日
-
- レオパ飼育したいどうすれば、、01月05日
-
- 塾つらい01月05日
-
- <至急>生理痛やわらげる方法教えてー!!01月06日
-
- 治せるもんなの?01月05日
-
- いじめがひどくて…01月05日
-
- シマエナガ好きあつまれー!!01月06日
-
- 太眉・まろまゆ好きの方あつまれー!!!01月06日
-
- 恋愛相談!01月06日
-
- 髪染めについて01月06日
-
- お守りどんなの買った?01月06日
-
- おすすめのシャーペン教えて!12月28日
-
- あの場所で 〜笑顔と感動の物語〜09月30日
-
- おねしょ恥ずかしいですか01月06日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。