憂鬱な夏は、きっと。
少し、嫌なことが重なった。
それは例えば、宿題を忘れて叱られた、だとか。お弁当に、苦手なトマトが入っていた、だとか。そんなこと。
お昼休みどうしようかな。別に昼休みにわざわざ仲良くするようなことな友達はいないし。
ちょっと考えて、あそこに行こう、と思った。「あいつ」がいる、屋上に。
やけに長い階段をカン、カンと上がっていく。鍵がかかっている屋上のドアも、すぐに開く。「あいつ」がいる証拠だ。
ギイと音を立てて扉が開く。フェンス越しから見える街の景色。ここが、私の学校で素のままでいられる場所だった。
「おー、来たのか、元気?」
ふと横を見れば、そこには「あいつ」が壁に寄りかかりながら水を飲んでいた。
「ん、元気。」
と返事をすると、あいつは笑顔をぱっと浮かべた。
いつも屋上にいるあいつ…玲央は私より1個上の学年だ。私がここを拠り所にする前から、此処にいた。
私が初めて此処に来た時。いつも鍵のかかっているはずの屋上が開いていて、中に入ったら、あいつがいた。
それで、「ここ、鍵ついてますよね?」と声をかけたのが、出会いだった。
自由な先輩と、何気ない会話をする空間。お互いため口。あまりにも、先輩後輩ではない会話の内容。
そんな空間が、なんとなく居心地がよくて、それから週に3回ほど、私はここを訪れていた。
私も適当に床に座ると、買ってきたいちごみるくのパックのストローを口に含む。
「あのさ〜この前うちの犬がすっげぇ可愛くて…」
「…」 「無視すんなよ〜」 「どうでもいいんで…」 「ひどーい玲央泣いちゃう」 「勝手に泣いてください」 「そんなぁ」
自由に、素のままでいられる場所。
そんなこの空間が、やけに居心地がよかった。
そしてこの、コロコロ表情を変えて、いつも笑顔の、いつも話しかけてくるあいつが。
私は、好きなんだ。
キーンコーンカーンコーン…
「あ」昼休み終わりのチャイムの音が鳴る。
「行かなきゃ」「だなー」「先輩、今日はちゃんと授業受けるんですか?」「さすがになー」
そして、顔を見合わせて。
「…じゃ、またな。」 「はい、また。」
そんなやり取りをして、教室に私たちは戻っていく。
そして、7月上旬。今日で学校は終わり。夏休みに入る。
その日の昼休み。私はまた、屋上に訪れていた。
「先輩」 「どした?」
「その…8月10日の、夏祭り、一緒に、いか、ない?」
精一杯声を振り絞って、私はそう伝えた。
「え」
ポカーンとあいつは私を見上げる。思わずぎゅっと目をつむってしまう。
「いい、のか?」
少し、あいつの声が上ずっている。
「え…すげー、嬉しい。」
顔を背けた先輩の顔は、朱色に染まっていた。
その顔を見た私の顔も朱色に染まっていく。
憂鬱だった夏は、
幸せな、夏に。
なる、のかもしれない。
ご観覧ありがとうございました!りんです。初投稿です。
ドキドキしながら読んでもらえてたらうれしいです!
少し遅い夏の小説でしたが、楽しんでもらえてたらうれしいです!
ありがとうございました! りんさん(東京・13さい)からの相談
とうこう日:2024年9月22日みんなの答え:1件
それは例えば、宿題を忘れて叱られた、だとか。お弁当に、苦手なトマトが入っていた、だとか。そんなこと。
お昼休みどうしようかな。別に昼休みにわざわざ仲良くするようなことな友達はいないし。
ちょっと考えて、あそこに行こう、と思った。「あいつ」がいる、屋上に。
やけに長い階段をカン、カンと上がっていく。鍵がかかっている屋上のドアも、すぐに開く。「あいつ」がいる証拠だ。
ギイと音を立てて扉が開く。フェンス越しから見える街の景色。ここが、私の学校で素のままでいられる場所だった。
「おー、来たのか、元気?」
ふと横を見れば、そこには「あいつ」が壁に寄りかかりながら水を飲んでいた。
「ん、元気。」
と返事をすると、あいつは笑顔をぱっと浮かべた。
いつも屋上にいるあいつ…玲央は私より1個上の学年だ。私がここを拠り所にする前から、此処にいた。
私が初めて此処に来た時。いつも鍵のかかっているはずの屋上が開いていて、中に入ったら、あいつがいた。
それで、「ここ、鍵ついてますよね?」と声をかけたのが、出会いだった。
自由な先輩と、何気ない会話をする空間。お互いため口。あまりにも、先輩後輩ではない会話の内容。
そんな空間が、なんとなく居心地がよくて、それから週に3回ほど、私はここを訪れていた。
私も適当に床に座ると、買ってきたいちごみるくのパックのストローを口に含む。
「あのさ〜この前うちの犬がすっげぇ可愛くて…」
「…」 「無視すんなよ〜」 「どうでもいいんで…」 「ひどーい玲央泣いちゃう」 「勝手に泣いてください」 「そんなぁ」
自由に、素のままでいられる場所。
そんなこの空間が、やけに居心地がよかった。
そしてこの、コロコロ表情を変えて、いつも笑顔の、いつも話しかけてくるあいつが。
私は、好きなんだ。
キーンコーンカーンコーン…
「あ」昼休み終わりのチャイムの音が鳴る。
「行かなきゃ」「だなー」「先輩、今日はちゃんと授業受けるんですか?」「さすがになー」
そして、顔を見合わせて。
「…じゃ、またな。」 「はい、また。」
そんなやり取りをして、教室に私たちは戻っていく。
そして、7月上旬。今日で学校は終わり。夏休みに入る。
その日の昼休み。私はまた、屋上に訪れていた。
「先輩」 「どした?」
「その…8月10日の、夏祭り、一緒に、いか、ない?」
精一杯声を振り絞って、私はそう伝えた。
「え」
ポカーンとあいつは私を見上げる。思わずぎゅっと目をつむってしまう。
「いい、のか?」
少し、あいつの声が上ずっている。
「え…すげー、嬉しい。」
顔を背けた先輩の顔は、朱色に染まっていた。
その顔を見た私の顔も朱色に染まっていく。
憂鬱だった夏は、
幸せな、夏に。
なる、のかもしれない。
ご観覧ありがとうございました!りんです。初投稿です。
ドキドキしながら読んでもらえてたらうれしいです!
少し遅い夏の小説でしたが、楽しんでもらえてたらうれしいです!
ありがとうございました! りんさん(東京・13さい)からの相談
とうこう日:2024年9月22日みんなの答え:1件
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やばぁぁぁい//////// ヤホォ♪(´ε` )ルルだよ♪♪
[本題]
主人公と玲央くんの会話が尊すぎたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
「先輩」と「後輩」なのにタメ口って話すって所もキュンキュンする!
もうこの小説最高すぎない、?1人で叫びそうだった、、
この2人早く くっつかないかなぁ、!!!!!
りんさん、、初投稿でコレは○なせる気ですよね、?!!?!!
最高&キュンキュンでした!!!!次回作も期待してます!!!!!!
それでは、ばいちゃ♪♪ ルルさん(大阪・12さい)からの答え
とうこう日:2024年12月23日
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