由来
〇登場人物
・樋口玲奈(ひぐち れいな)
・樋口隼(ひぐち はやと)←玲奈の父
・広瀬彩音(ひろせ あやね)
注:主は関西人です。作中の関西弁は一応エセではない…はずです。おかしい点があったらすみません。
それでは本編どうぞっ!↓
「名前の由来?作文??なにそれ…」
私、玲奈は夏休みの課題を見て絶望していた。
「こら、何それとか言わないの!まあ確かにめんどいけど…」
幼馴染の彩音も隣でそうつぶやく。
今日は私の家で、2人で宿題をすることになっていた。
「正直作文とか嫌だけどやるしかないかぁ…私ちょっとお父さんのとこ行ってくるね」
そういって、私は部屋を出た。
「ねえ、お父さん。宿題で、自分の名前の由来を聞かなきゃいけないんだけど、教えてくれる?」
「ん、名前の由来?」
お父さんは顔を上げて、読んでいた新聞をたたんだ。
「玲奈の名前はな、お父さんの体験から来てるんだ―」
お父さんは昔、『れいな』という名前の女の子に会ったことがあるんだ。玲奈によく似た子で、性格も見た目もそっくりだった。
生まれてきた玲奈を見たとき、お父さんはな、「この子の名前は『れいな』しかない」と思ったんだ。
「父さんな、たまにその子に会いたいなと思うときがあるんだ。でも、父さんは関西育ちで、その子は関東の子だったから、今はもうどこに住んでるのかもわからないなぁ」
「そうなんだ…」
なんだか不思議な気持ちになった。
その夜、私はいつものようにベッドに入って目をつむった。
街並みが見える。夢、だろうか。それもわからない。ここはどこだろう…?
見回すと、少し遠くに駅が見えた。目を凝らして、何とか駅名を読んでみる。
「大阪駅」…えっ?大阪!?
私が住んでいるのは東京。大阪なんて行ったこともない。なのに、なんで?
…何が何だか分からないけど、とりあえず、駅のほうに行ってみよう。
信号待ちをしている間、周囲を見回してみると、違和感に気づいた。
あれ?大人が持ってるの、ガラケー…?今はスマホを持ってる人のほうが多いはず。なんで…?
信号が変わり、人とぶつかりそうになりながらも、何とかわたり切る。と、
「あの、これ、落としましたよ」
振り返ると、同い年ぐらいの男の子が立っていた。手には私がつけていたヘアピンを持っている。
「あっ、ありがとうございます」
お礼を言って、立ち去ろうとしたら、
「あの」
さっきの人に呼び止められた。
「あなた、もしかして、関西の人やないんですか?」
「あっ、はい、東京です…」
「やっぱり!イントネーションがなんかちゃうなと思ったんです、」
聞きなじみのない関西弁。なんだか新鮮に思えた。
「よかったら、駅まで案内しましょうか?僕、ここ地元なんで」
「いいんですか?ありがとうございます…!」
1人だったら道に迷っていただろう。
「あの、あなたは?私、樋口玲奈っていいます」
私が言うと、男の子は大きく目を見開いた。
「すごい偶然…僕も樋口なんです。樋口隼」
樋口、隼…?お父さんと同じ名前だ…
「あ、そろそろ駅着きますね、ここから先、わかりますか?」
「あ、大丈夫だと思います」
駅なら、駅員さんに聞けば問題はないだろう。
「あの、道案内、ありがとうございました。これ、よかったら…」
何かお礼がしたくて、とっさに、持っていたクマのキーホルダーを差し出した。
「ええっ、いいんですか?ありがとうございます」
受け取ってくれた。よかった…
「じゃあ、気ぃ付けてくださいね」
「ありがとうございました」
お礼を言って、別れた。
ぱち。
ん、ここは…
目を開けると、いつもの自分の部屋の天井が見えた。
夢か…
でも、夢にしては、かなりリアルだった。大人がみんなガラケーだったのも謎のままだし…
大きく伸びをして、体を起こす。
リビングに行くと、お父さんが仕事に出かけるところだった。何気なくお父さんのカバンに目を向けて、息をのんだ。
お父さんのかばんに、私が夢の中で男の子にあげたものと同じ、クマのキーホルダーがついている。
「お父さん、そのキーホルダー、どうしたの?」
「ん、ああ、これはな」
玄関に向かう足を止めて、お父さんが言った。
「これは、昨日言ってた『れいな』って子が、お父さんが子供のころにくれたものなんだ。昨日話をして急に思い出してね。つけてみることにしたんだ」
それを聞いて、私は固まってしまった。
もしかして、夢で会った男の子って…
「じゃあ、行ってくるよ」
「あ、行ってらっしゃい」
玄関を出ていくお父さんを見送って、私は自分の部屋に戻った。
急いで作文用紙を広げる。忘れてしまう前に、書き留めなきゃ―
『私の名前は、私の父の不思議な体験から来ているそうです―』
読んでいただきありがとうございました! あめのさん(京都・14さい)からの相談
とうこう日:2024年9月24日みんなの答え:2件
・樋口玲奈(ひぐち れいな)
・樋口隼(ひぐち はやと)←玲奈の父
・広瀬彩音(ひろせ あやね)
注:主は関西人です。作中の関西弁は一応エセではない…はずです。おかしい点があったらすみません。
それでは本編どうぞっ!↓
「名前の由来?作文??なにそれ…」
私、玲奈は夏休みの課題を見て絶望していた。
「こら、何それとか言わないの!まあ確かにめんどいけど…」
幼馴染の彩音も隣でそうつぶやく。
今日は私の家で、2人で宿題をすることになっていた。
「正直作文とか嫌だけどやるしかないかぁ…私ちょっとお父さんのとこ行ってくるね」
そういって、私は部屋を出た。
「ねえ、お父さん。宿題で、自分の名前の由来を聞かなきゃいけないんだけど、教えてくれる?」
「ん、名前の由来?」
お父さんは顔を上げて、読んでいた新聞をたたんだ。
「玲奈の名前はな、お父さんの体験から来てるんだ―」
お父さんは昔、『れいな』という名前の女の子に会ったことがあるんだ。玲奈によく似た子で、性格も見た目もそっくりだった。
生まれてきた玲奈を見たとき、お父さんはな、「この子の名前は『れいな』しかない」と思ったんだ。
「父さんな、たまにその子に会いたいなと思うときがあるんだ。でも、父さんは関西育ちで、その子は関東の子だったから、今はもうどこに住んでるのかもわからないなぁ」
「そうなんだ…」
なんだか不思議な気持ちになった。
その夜、私はいつものようにベッドに入って目をつむった。
街並みが見える。夢、だろうか。それもわからない。ここはどこだろう…?
見回すと、少し遠くに駅が見えた。目を凝らして、何とか駅名を読んでみる。
「大阪駅」…えっ?大阪!?
私が住んでいるのは東京。大阪なんて行ったこともない。なのに、なんで?
…何が何だか分からないけど、とりあえず、駅のほうに行ってみよう。
信号待ちをしている間、周囲を見回してみると、違和感に気づいた。
あれ?大人が持ってるの、ガラケー…?今はスマホを持ってる人のほうが多いはず。なんで…?
信号が変わり、人とぶつかりそうになりながらも、何とかわたり切る。と、
「あの、これ、落としましたよ」
振り返ると、同い年ぐらいの男の子が立っていた。手には私がつけていたヘアピンを持っている。
「あっ、ありがとうございます」
お礼を言って、立ち去ろうとしたら、
「あの」
さっきの人に呼び止められた。
「あなた、もしかして、関西の人やないんですか?」
「あっ、はい、東京です…」
「やっぱり!イントネーションがなんかちゃうなと思ったんです、」
聞きなじみのない関西弁。なんだか新鮮に思えた。
「よかったら、駅まで案内しましょうか?僕、ここ地元なんで」
「いいんですか?ありがとうございます…!」
1人だったら道に迷っていただろう。
「あの、あなたは?私、樋口玲奈っていいます」
私が言うと、男の子は大きく目を見開いた。
「すごい偶然…僕も樋口なんです。樋口隼」
樋口、隼…?お父さんと同じ名前だ…
「あ、そろそろ駅着きますね、ここから先、わかりますか?」
「あ、大丈夫だと思います」
駅なら、駅員さんに聞けば問題はないだろう。
「あの、道案内、ありがとうございました。これ、よかったら…」
何かお礼がしたくて、とっさに、持っていたクマのキーホルダーを差し出した。
「ええっ、いいんですか?ありがとうございます」
受け取ってくれた。よかった…
「じゃあ、気ぃ付けてくださいね」
「ありがとうございました」
お礼を言って、別れた。
ぱち。
ん、ここは…
目を開けると、いつもの自分の部屋の天井が見えた。
夢か…
でも、夢にしては、かなりリアルだった。大人がみんなガラケーだったのも謎のままだし…
大きく伸びをして、体を起こす。
リビングに行くと、お父さんが仕事に出かけるところだった。何気なくお父さんのカバンに目を向けて、息をのんだ。
お父さんのかばんに、私が夢の中で男の子にあげたものと同じ、クマのキーホルダーがついている。
「お父さん、そのキーホルダー、どうしたの?」
「ん、ああ、これはな」
玄関に向かう足を止めて、お父さんが言った。
「これは、昨日言ってた『れいな』って子が、お父さんが子供のころにくれたものなんだ。昨日話をして急に思い出してね。つけてみることにしたんだ」
それを聞いて、私は固まってしまった。
もしかして、夢で会った男の子って…
「じゃあ、行ってくるよ」
「あ、行ってらっしゃい」
玄関を出ていくお父さんを見送って、私は自分の部屋に戻った。
急いで作文用紙を広げる。忘れてしまう前に、書き留めなきゃ―
『私の名前は、私の父の不思議な体験から来ているそうです―』
読んでいただきありがとうございました! あめのさん(京都・14さい)からの相談
とうこう日:2024年9月24日みんなの答え:2件
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参考にさせていただきます! こんにちは。ただの暇人です。
私、小説を書こうと思ってて。あめのさんの短編小説とても面白かったです。あめのさんの短編小説を本にして欲しいぐらいです!
参考にさせていただきます!!書いていただき、ありがとうございますヽ(;▽;)ノ ただの暇人さん(鳥取・12さい)からの答え
とうこう日:2024年12月24日 -
素敵
@元夕愛
麗です^..^
____
すごい .. !!
昔のお父さんと
自分が会ってたって
ふわふわしてる
っていうか .
素敵なお話
だと思いました ><
玲奈ちゃんが
しっかり自分の体験を
伝えられてると
いいな .
ぐっばい(_ _).。o○ 麗|うららさん(東京・11さい)からの答え
とうこう日:2024年12月24日
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