短編小説の相談いちらん

短編小説

みんなが作った短編小説のコーナーだよ。※2024年9月30日までの投稿で受け付けを終了いたしました。

短編小説みんなの答え:1

アイスが溶けた。

たった一度しかない、小6の夏。 ミーンミンミンミンミンミー ふぅ、と息を吐いて、木を見上げた。ミンミンゼミが騒々しく鳴いている。 今日も暑さにやられそうだ。 「アンズちゃーん!」 ふいに声がして振り向くと、友達のルリちゃんが手を振りながら走ってくる。 「今日も暑いねー!あはは」 背中をポン、と叩かれる。笑い声がセミの鳴き声のように公園に響く。 「まあ、ルリちゃんが元気そうで何よりだよ」 わたしは持っていたアイスをバックから取り出す。表面がちょっと溶けている。ルリちゃんがゴクリ、と唾を飲む。 「あ!いいな、いいなー。ちょーだい」 「だーめ!わがまま言わない」 そう言っている間にも、アイスは溶けていく。わたしは一気にかじりついた。 頭がキーンとする。 ??? ……! ジージジジジージジジ えっ、と声を上げて、木を見上げた。アブラゼミが騒々しく鳴いている。 あまりの暑さに、体が溶けそうだ。 ……って、はあ!?、どういう状況!? 「アンズちゃーん!」 また声がして振り向くと、友達のルリちゃんが手を振りながら走ってくる。 「今日も超暑いねー!あはは」 肩をトントンっと叩かれる。笑い声がセミの鳴き声のように公園に響く。 「ル、ルリちゃん、その格好は……!」 わたしは、震える手でルリちゃんを指差した。 「え?この制服がどうした?」 「制服……!小学生じゃ、なかったっけ」 「なーに言ってんの、アンズもわたしも、中1だよ」 なるほど……。わたしがアイスをかじった瞬間、一年後にタイムスリップしたのか。 待てよ。この流れだと、もしかして、また……。 少し汚れたバックを探ると、案の定、かなり溶けたアイスが出てきた。 かじったら、また元に戻らないだろうか? 「あ!いいな、いいなー。部活帰りだから疲れてるんだよね。ちょーだい!」 「だーめ。今それどころじゃない」 そう言っている間にも、アイスはポタポタ溶けていく。わたしは覚悟を決めて、一気にかじりついた。 頭がキーンとする。 ??? ……! シャシャシャ センセンセン はー、とため息をついて、木を見上げた。クマゼミが騒々しく鳴いている。 物凄い暑さに、体が今にも蒸発しそうだ。 さて、今度こそうまくいったかな。 ……あれ? ルリちゃんが来ないぞ……。 ー速報ですー 2025・7・28 今日正午ごろ、○○市立○○中学校で、熱中症の生徒が救急搬送され、死亡が確認されました。 気象庁の発表によると、今現在、気温は50度を超えているようです。 最後まで読んで頂きありがとうございます。 アドバイスや感想など、教えてくれたら嬉しいです!

短編小説みんなの答え:3

読書感想文とワタシ~繋ぐ~

私の名前は 篠田 鈴乃(しのだ すずの)。 小学6年女子。 そんな私の自慢はと言いますと… 読書感想文で6年連続代表を取っていること。 今から「表彰朝会」で、夏休みの宿題の表彰が行われる。 私は思わずニヤリとした。 すると、緊張と楽しみさに包まれている私のもとに、小さな女の子がいた。 私ははっとして、女の子に「お名前は?」と聞くと 「…2年の武田 彩です」 と名乗った。 …やっぱり。 実はこの彩ちゃん、去年、読書感想文で選ばれていたのだ。 「ねえおねえちゃん、おねえちゃんも、読書感想文で選ばれたの?」 そう聞かれた。 「うん。そうだよ」 そして思った。この子に、バトンを渡そう。って。 ~~~~~~~~ 無事表彰が終わり、教室に戻ろうと思ったが、 少し待った。彩ちゃんを待つために。 彩ちゃんが来ると、私は言った。 「彩ちゃん。読書感想文、好き?」 「うん」 「…彩ちゃん。これからも、読書感想文の代表、取り続けてほしい。」 「え…できるかな」 「おねえちゃんもね、2年の時に、6年生のお姉さんにバトンを渡されたの。 だから…次は彩ちゃんが繋いでほしいな…」 「…もちろん!」 そうして、バトンを渡した。 永遠に繋がれるようにと願って。 ~END~ 感想書いてくれると嬉しいです。

短編小説みんなの答え:1

詠唱

ある山奥のある家屋 魔法使いが二人で暮らしておりました 二人はお互いの魔力を分かち合い 愛し合うことで生きていました そんな共依存の魔法使いたちは いつかどちらかの愛が偏って 天秤が壊れてしまうことを恐れていました その憂いは徐々に二人を蝕んでいき やがて二人の生活に笑顔が無くなって 愛情はすり減り 魔力は底を尽きようとしていました このままでは身も心も消えてしまう それだけは避けなくては 悩み抜いた二人は最期に とある魔力をかけ合うことにしました 「お互いを忘れて笑顔になれる魔法」 「違う誰かを好きになれる魔法」 最期の詠唱が終わって 無事 消滅することなく離れ離れになった二人 でも弱り切った魔法使いたちの急造品の呪文は やっぱり効きが悪かったみたいで…

短編小説みんなの答え:2

失恋を喜ぶ「敵」

私はカノン。小5のめっちゃ陽キャ。私は好きな人がいる。 私の好きな人は隣のクラスのソウマ。ソウマは好きな人がいるって言ってた。私がソウマのこと好きだってことはこのクラスの人は全員知ってるはず。私と仲いい男女合わせて5人くらいは結構恋愛相談聞いてくれたり、手助けもしてくれる。 けど、最近はみんなして「諦めろ」って言ってくるの。理由は、、、4日前くらいに“ソウマの好きな人はコトハだ”っていう噂を聞いた男子がいて、。それをみんなして信じちゃうから「諦めろ諦めろ」って。そりゃあ、コトハは私より可愛いからしょうがないけど、第一にホントかどうかも分かんないし、私はまだ強気でいた。 【昼休み】 A「カーノーン!諦める覚悟はついた!?」 私『だから~。諦めないってば~w』 B「いやぁ、でもさー。コトハのことが好きって言ってることなんだし。諦めた方が、カノンのためだよ?」 A「うんうん」 私『どこが私のためよwまず、ソウマ本人はそう言ってないじゃん」 C「でもなー。諦めた方がいいって!うちら信じてよ~」 D「そうだぞ!カノン!俺ら信じろよ、なぁ?Eもそう思うよな?」 E「まあね。潮時ってやつでしょ!たしか!」 私『みんなしてなんなの!wソウマがコトハのこと好きって限んないし!?』 D「じゃあ聞いてきてやるよwww!よしB聞いてこい!」 B「あたし~!?まあいいや。行ってくる!」 私『ねぇ待ってよ~!!!』 【放課後の教室で】 B「聞いてきたよん!」 A,C,D,E「なんだって?」 私『えぇ~。ほんとに聞いてきちゃったの~!?」 B「えっとぉ。あたしが〈ソウマって本気でことはのこと好きなの?〉って聞いたら《うん。噂の通りだよ。あの、なるべく広めないでね》って!!やっぱりホントだったんだよ~~!!」 A,C「ほらぁ!」 C「残念だけど、諦めよ!?」 D「でも、あの噂ホントだったんだ。これ本物の潮時じゃねっ!?」 E「だよね。潮時っていうやつぅ!」 B「え、え?カノン?泣いてる?大丈夫?」 D「おいマジじゃん。」 A「え~!振られちゃった悲しみ?」 C「そうじゃね?」 そう私は泣いていた。自分でも気がつかないうちに。Aの言う通り、振られた悲しみとこの5人への憎しみを抱いていた。私はソウマに聞きに行くのを許可していない。この5人が勝手に行ったんだ。これまでもそうだけど、今も、私の失恋を楽しそうに話している。なんで?君たちは私に諦めさせてどんないいことがあるの?なんで喜ぶの?信頼してた5人だけど、ほんとは友達なんかじゃない?この5人に対するはてなが溢れてる。 それから私は「大丈夫」とだけ言って、無言で帰った。家に帰っても、失恋の悲しみや嫉妬よりも、5人への愚痴が止まらなかった。「あの5人なんて、嫌いだ。」勝手に人の恋を左右させといて振られた姿を見て喜ぶ___。最低だ。友達なんてやめよう。あんな敵と一緒にいてもいいことない。___________「もしかしたら、クラス全員、敵なのかもな、」 ______________________その次の日から私は学校に行かなくなった。

短編小説みんなの答え:0

雪の女神と春の訪れ

私は元々「神」だった。気づいた時から冬、雪を司る女神としてそこにいた。 そして隣には春、花を司る女神フローラがいて、私達の一つ上には月を司る女神セレネがいた。 なぜ私たちが近くにいたのか分からない。私たちの唯一の共通点は「美しい」ということだけ。 フローラが咲かせる花も美しい。 セレネが司る月も美しい。 私が降らせる雪も美しかった。 今までそれなりに、仲良く人間界を治めてきた。 この三神だけではなく色々な神たちと。そんな関係に亀裂が入り始めたのは、春の訪れ、私とフローラが交代するときだった。 その年は、私の力が前の年より弱く、冬が早く終わった年だった。 私が一年の役目を終え、眠りにつこうとしたとき、人間界からこんな声が聞こえてきた。 村人1「今年は春が早く来たなぁ」 村人2「やっと作物が育つぜ!!」 村人3「雪雲も消えるから月明かりが直で届いて夜も明るくなるわぁ」 村人4「私、冬とか雪とか嫌いなのよね。寒いし。」 衝撃だった。最高神ゼウスから賜った仕事をしているだけなのに。 神が人間ごときの言葉に動揺するなど情けない思ったが、それ以上に私がしてきた事がすべて否定された気がした。 私は嫌われている? 私は必要とされてない? 私はいらない存在? フローラは人に希望を与えているのに? セレネは人に喜ばれているのに? なんで私だけ? なんで?なんで?なんで? 黒い気持ちは少しでも芽生えると急速に大きくなっていく。私はそれを抑えることが出来なかった。 なぜゼウス様は私にこんな仕事をさせるの? ゼウス様は私に嫌われ者になれというの? 酷い。セレネはともかく、同位神のフローラは皆から必要とされているのに、、、、、 私は皆に認めてほしかった。冬がある意味を。私が降らせる雪の美しさを。 そして私は禁忌を犯してしまった。最高神ゼウスに反旗を翻したのだ。 冬の精霊、雪の妖精、雪男、氷で出来た武器。私が使える最大限のものを利用してゼウスを攻撃した。 だけど案の定、私ごときが最高神にかなうはずもなくあっけなく制圧された。 その後、「最高神に反旗を翻し、神界を混乱させた罪」で人間界に堕とされることとなった。 人間、弱く愚かな生き物。 ゼウスの気まぐれで作られた哀れな生き物。 自分の感情、欲望に従うかわいそうな生き物。 だが、私も自分の感情を抑えられずゼウスを攻撃した時点で人間と同じレベルなのだ。 自分が選んだ未来なのだから責任を取ろうではないか。 私は一人の人間として、生きていく、、、、、、、、!! 男1 「おーい大丈夫か?」 男2 「おまいさん倒れてたぞ?」 男1 「どこから来たんだ?」 男2 「てか名前は?」 私 「美雪、美雪と言います、、」 美雪 「どこから来たかは、、、わかりません、、」 知らない場所。そもそも私は何をしてたんだっけ。でも一つだけ分かる。 私、私は、美雪だ。 ~人間界に堕とされる少し前~ ゼウス「雪の女神。お前に情けをかけよう。人間に堕ちたときの名考えておけ」 私「美雪、、美雪にします。私の雪は美しいから。」                           終

短編小説みんなの答え:4

小説です。タイトルは『逢えたなら』です。

進学して一年生になったボク達。ボクの名前は碧桜。この高校に進学して来たばかりだ。そうして、ボクにはちょっとした夢がある。 まぁ…言うのも恥ずかしいから言わないけど。 そうして、ボクは今現在校長先生の長ぁい話を聞いて…いた…。 「寝るな寝るな!まだ校長が話し始めてから一分すら経ってないぞ!!」 小声で誰かが話しかけてくる。そんなの…お構い無し…だ…。 「おいおい無視は悲しいってば!」 「……何?昨日寝てないんだから眠いの」 「お前の口癖って、絶対"眠い"だよな」 「……そうかな?」 「そうだよ」 「じゃあ質問するけど、なんでボクのことを知ってるの?」 「そりゃ、幼なじみだし」 「……あ、そっか、お前一緒になったんだったな」 こいつの名前は確か…ドブ川…だっけ? 「河田だよ!いい加減友人の名前くらい覚えろよ??」 「いや何。覚えるの面倒くさ…」 「そんなこと言うなって!!」 そんなことを言ってるけれども。しれっと人の心読んでくんな。怖いわ。 そうして、気付けばボクは結局五分もしない内に寝落ちしちゃいましたとさ。 そうして、入学式諸々が終わった後。ボクたちは一緒に帰っていた。 「なぁ、碧ちゃん」 碧ちゃんは、ボクの愛称だ。 「んー?」 「あの時寝てないって言ってたけど、何?夜更かしでもしてた?」 「あー。まぁ、ちょっと考え事をね」 「……やっぱ、アレか?」 アレ……? アレって、なんだ? ……否定しなければ。ボクの全神経が、突如としてそう叫んだ。 「学校、楽しみでさ~」 話を逸らそうとした、が。 「瞳のこと、か?」 瞬間、ボクの足はピタリと止まった。 「……いや、そんなんじゃないよ」 僅かにも、ボクの声は震えていた。 それと同時に、怒気を交えて言った。 「…そ、そうか。そうだよな」 その時、ハッとしてしまった。 突然、ボクの眼に涙が浮かび上がった。そして、ボクは走る。 まるで、河田から逃げるように。 気付けば、家の玄関の前に居た。 「なんで……ボクって」 「こういう時、逃げちゃうんだろう」 ボクは、瞳の話をすると、涙ぐんでしまう。下手をすれば、泣いてしまう。 「瞳……」 瞳とは、ボクの中学生時代彼女のことだ。 そして瞳は ある時を境に、突然ボクの目の前から姿を消した。突然学校にも来なくなり、電話をかけても音信不通。突如として、彼女はボクの目の前から存在を消した。そうして、とある日に、彼女の席が消えた。 何も言わずに、転校してしまったのだ。 「分かってやれてなかったかも知れない」 後悔する。 「何か、気付けたかも知れない」 なんでだろう。 「……碧ちゃん」 どうしてだろう。 「碧ちゃん……!」 その、刻だった。 「碧ちゃん!!」 瞬時にして振り返る。すると、そこに居たのは。 息が荒くなっている、河田だった。 「ごめん、思い出させて」 「………」 何故、河田が謝っているんだ。謝るのは、こっちの方なのに。 「……こっちこそ、ごめん。急に逃げ出したりしてさ」 そこで、思ってしまった。 こいつは、ボクのことを友達だと思ってくれるのかと。 ……ボクは、聞いた。 怖かった。不安だった。 それでも……ボクは勇気を出して聞いた。 「お前はまだ、こんなボクを友達として居てくれるか?」 「……んなの。 あったりめぇだろ!」 良い奴だなぁ。こいつの優しさに、また思わず泣いてしまった。 ボクも、変わらないといけない年頃だ。逃げてばかりでは、どうすることも出来ないだろう。 今ある問題と向き合う。問題と一緒に突き進んで行く。それが、それこそが、人間の在り方。 ひしひしと、そう思った。 そうして、やがて始まった。僕の、学生ライフが。 刻は進んで十八歳の秋頃。 もう、高校生活も終わろうとしていた。大学受験……心配事だらけだなぁ。 だが……僕には、応援してくれている人が居る。親だったり、親友だったり。僕には、支えてくれる人が居る。 その期待に、答えなければならない。 だけど……。僕の夢は、叶っていない。 毎年、短冊にまで書いていた。何度も、祈ったり、願ったりした、あの夢。 「逢えるもんなら、逢いたいよなぁ」 同じ蒼空の下。 「えっ、もしかして、貴方」 貴女に──── 「碧…ちゃん……?」 「瞳────!?」 逢えたなら。

短編小説みんなの答え:2

カスミソウに包まれて。(長めです)

「もう瑠唯なんて嫌い!」 たった些細な喧嘩でこんなことになるとは思わなかった。彼女の若葉はお揃いで買ったスニーカーを履いて家を飛び出してしまった。 瑠唯は若葉と同じスニーカーを履いて追いかける。 必死に、ただひたすら走った。 この周辺はすっかり暗くなって車もかなり通るから危ない。 若葉になにかあったらどうしよう。 ただそれだけを考えていた。 しばらく走った視線の先には、人だかりが出来ていた。嫌な予感がした。 「すみません。通してください」 人混みを掻き分け、景色が開けると今履いているスニーカーより小さいスニーカーの片方が落ちていた。 「嘘やろ」 そのスニーカーの奥の方で女性が血を流して倒れていた。若葉だった。若葉の隣にはトラック。その隣にはトラックのドライバーらしき人物が立っていた。顔面蒼白だった。 「誰か救急車急いでお願いします!!」 こんな酷い状況の中、誰も救急車を呼んでいなかった。瑠唯のよく通る声のおかげで救急に電話をかける人が出たのだった。 「若葉!死なんといてや」 理解が追い付かなかった。 彼女が事故に遭って死ぬ?まるで泣ける映画のワンシーンじゃないか。 これは夢だ。きっと。 だが、何度そう思っても夢は覚めず、彼女を抱き締めることしか出来なかった。 「いつもみたいに返事してや」 そうしている間に救急車が到着した。もう手遅れな若葉と瑠唯は救急車に揺られた。 救急車に揺られた20分。若葉がほんの少しだけ意識を取り戻した瞬間があった。 「若葉!ごめん、ごめんなぁ」 「だいすき」 「俺もやで!なぁ、俺ら結婚するんやろ?!置いていかんといてや。まだようさんすることあるんやで?」 涙でぐちゃぐちゃな瑠唯の顔を見て、若葉は最後の力を振り絞る。 「あいして、」 『ピーー』 心電図のモニターがゼロになった。 瑠唯はもう泣けなかった。 あれから3週間が経った。 何もする気力が沸かない。夜道を歩いていたら懐かしい気配がした。 ふと、後ろを振り返る。 誰もいない。 「そうだよな」 暗くなった店のガラスには反射した自分の姿と彼女がいた。 「あれ、顔色悪くない?鉄分…幽霊ってご飯食べれるん?」 うっすら微笑む彼女は宙に浮いている。 「飼ってたわんちゃんには会えた?」 「うん、会えたよ」 「そうか」 「ねぇ怖くないの?」 彼女は不安げな声でたずねる。 「怖いどころか心配やで?俺はな」 「相変わらず優しいね」 若葉は生きている頃と何も変わらなかった。 貧血で血色の悪い白肌も眠たげな瞳も何も変わらなかった。 「49日になるまで一緒にいてもいい?」 「もちろん」 眠くなると熱くなるその小さな手の温もりを、もう一度握って思い出したかった。 若葉に手を伸ばす。その手は彼女の体を通り抜けた。 「触れないんだよ」 若葉ば悲しげに笑う。 「触れなくても、側におってくれるだけで嬉しい」 すると、彼女は「優しいね」と言ってどこかへ消えてしまった。 床には涙の跡があった。 「この前は消えちゃってごめん。今日はずっと一緒にいてもいい?」 「今日はじゃなくて。消えてしまうまで、ずっと一緒におって」 若葉の白い顔は桜色に染まっていた。 彼女は深夜2時に現れることが多い。丑三つ時だからだろうか。 「前みたいに一緒に寝よか」 彼女はだんだん笑顔になって元気な返事をした。 隣で眠る彼女は美しかった。 彼女が消えてしまうまで残り5日。 瑠唯は彼女の頬に触れる。 やはり通り抜けてしまうが、触れている気がした。ほんのり温かかったから。 朝日で目が覚めた。若葉の白肌が照らされ透ける。凄く綺麗だった。 「おはよ」 「なんか薄くない?」 彼女が前に腕を出すと瑠唯の顔が透けて見えた。 「消える日が近づくと色も薄くなるみたい。ねぇ、二度寝しようよ」 彼女に誘われ、また布団に入る。 贅沢な二度寝だった。残り4日。 3日目はたくさん写真を撮った。2日目は若葉の行きたいところへ車でドライブしながら向かった。 そして最後の日。 「もうお別れなんだね」 「せやな」 沈黙が流れる。 「なぁ、成仏するぐらいならいつまでも恨んどいて?俺があんなん言わな若葉はこんなことにならんかった」 瑠唯は泣いていた。若葉は瑠唯を抱き締める。 「消えんといて。お願い。幽霊でいいから側にいて」 若葉はもう消えかかっていた。 「一緒にいられて幸せだったよ。あの時追いかけてくれて嬉しかった。ずっと大好きだよ」 優しさだけ残して消えてしまった。 あれから何年経っただろう。 瑠唯はずっとスマホの待ち受け画面を彼女の寝顔にしていた。 それをみた友人は「彼女?」と冷やかす。 「違う。おばけだよ」 画面を愛おしそうに見つめ、微笑んだ。 タイトルなんですが、よかったらカスミソウの花言葉調べてみてください!

短編小説みんなの答え:1

伝えられない、私の傷。

あの子は優しくて、さり気なく気配りができて、勉強も、運動も、私より上手で、料理もうまいんだって。 でも、私はそういうの関係なくて、ただ、自分と仲良く接してくれるところをみて、そう思うようになったんだ。 この前彼に夏祭りに一緒に行かないかって誘われたんだよね。 それにしても、今更すぎるけどなんで私を誘ったんや、、、?まぁ、軽くおしゃれくらいはしていきますか。 と、思って布団に寝転んだが、楽しみすぎてその日は全く寝れなかった。 ー夏祭り当日ー 詳しい集合場所とか集合時間とかは、グループラインを見て準備をした。 制服のときの私は、くっそダサいからなー。ちょっと、これとこれを着てみて、、、 私服でイメージを覆せる感じが良いかなーなどと考えている間に時間が経ち、結果的にはギリギリ5分前に到着。 我ながら結構できたと思う。まぁ、いつもの服装がダサすぎるから、無駄な伸びしろが増えてるわけなんだけどね、、、。 そして、まだ来ていない子達を待っている間は、他のこと個人のトークや友だち追加などをしあっていた。 にしても、ちょっとおしゃれしすぎたかな、? みんなにもうちょっと合わせてくればよかったぁ、、、。これに関しては結構後悔した。 「みんな集まった?じゃあ行こっかー!」 そう誰かが言ったのに反応して、みんなが歩き始めた。 あの子、スタイルいいなぁとか、あの子、おしゃれだなぁとか、そんなことを考えながら、みんなと一緒に夏祭り会場へ向かって行く。 本当は自分で選んだのだけど、私服おしゃれだねって言われたら、母さんに選んでもらったって言った。 母さん、ごめんよ。みんなより盛りすぎてて恥ずかしいから、言い訳させておくれ。 あの子と、私と、もう一人男の子がいて、その子達と談笑しながら歩いていった。 他にも女の子がたくさんいるんだけど、謎に距離が開いてるんだよね、、、。なんでだろ? そして、暑いなぁなどと言いながら、夏祭り会場へ着いた。 結構早い時間だが、それなりに人が集まっている。 まず最初に、ヨーヨー釣りの屋台へ行った。 順番が来たので、私もいざヨーヨーを釣る。結果的に3個釣れた。 持って帰れるのは2個までだから、2つ選んで、別に2つあってもなぁと思ったので、、、 最初に一緒に来ていた、もうひとりの男の子にあげることにした。 喜んでくれたので何より。にしても、彼はどこにいったんだろ?人が多いからすぐ見失うよねここ。 あ、くじ引き並んでたわ。屋台の前に行列ができてる。人気なんだなぁ。 まぁまわれる屋台も少ないから、その後はあっちに行ったり、こっちに行ったりを繰り返した。 途中で自分が入っている部活の先輩にカレーが美味しいと教えてもらったため、カレーを買って、パクパク食べた。 私が、マスクを外したときの顔を隠して食べているのが気になったのか、あの子と、ヨーヨーを上げた男の子がなんでと聞いてきた。 マスクを外したら、絶対幻滅されるからですなんて言えないし、、、。 あの子「顔にコンプレックスがあるわけでもないんだし」 そう言われた瞬間、ちょっと悲しくなった。私はコンプレックスと言うか、トラウマがあるから見せたくないのに、、、。 昔、私はいじめられていた。 多分、容姿が醜かったのもその原因の一つだと思う。 それに加えて、引っ込み思案だったり、あまり人と接触をするのをしたがらなかったというのもあった。 すっごく辛かった。いじめられるほど自分は嫌われていたから。それが事実として私に刺さってくる。それが一番、嫌だった。 そういえば、彼には昨日、あの話をしたっけ。 私には幼稚園のころに初恋がいた。 その子のこと好きだったけど、東京に引っ越したって。 でも、多分、彼は私の初恋のこのことを、男の子だと思ってるだろう。 私は、私が好きだったのは、正真正銘の女の子だなんて、思わないのだろう。 もういじめられたくない。嫌われたくない。言いたくない。だから見せたくない。 でも、言えない。 少し心残りを感じながら、夏祭りは終盤になった。 なぜだか、彼と一緒にいるのが私だけ気まずく感じていた。 なんだか、胸が痛む。昔たくさん刺された傷の跡が、また痛むかのように。 彼のことは、キライじゃなかった。むしろ好きな方だと思う。 それに、昨日は相談にだって乗ってくれた。 だけど、このことを知ったら。どんな反応をするだろう、どんな返事をするだろう、 これは誰にも『伝えられない、私の傷』だ。

短編小説みんなの答え:0

恋の犯人は?

「僕ネ、ある事件を解決しようと思うノ」 いきなり、同級生の待山から言われた。 小太りで、背が低くて、恋にしか興味のない、男の子。 ちなみに私は夏美。 なんでこの人、私に話しかけるの・・・? 「事件って?」 一応、聞く。 「恋の事件だヨ。僕、失恋したんだ。真紀ちゃんに告白したらネ。そしたら真紀ちゃん、言ったノ。 『あんたのこと好きな人、いるんだからいいでしょ』って。」 うわー。 私は思った。 笑える。 私は前、待山をいじめたことがあった。 みんなもいじめてた。 みんな面白がってた。 この人、嫌われてるのかと思ってた。 好かれてんの?誰に? 笑える。 「なに、私に一緒に探してほしいって言いたいの?無理だからね。待山のこと好きじゃないし」 私はげらげら笑いながら言うと、待山は首を横に勢い良く振って言った。 「違う。僕、僕のこと好きだと思ってる子が君だと思ったノ」 鼻声の待山は、鼻をすすりながら私を見て言った。 予想外の言葉に驚きを通り越してきょとんとする。 「は?」  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「夏美ちゃん。おなか大丈夫?」 「うるさい。私、触られるの好きじゃないんだってば」 私たちは結婚してる。 ・・・しかたなく、ね。そうよ、 しかたなくよ

短編小説みんなの答え:2

本物の家族。

「大変申し訳ございませんでした。」 思えば、それが口癖だった。 『幸せな家族』はもう、どこにもないのだろう。 ーーーーーーーーーー み、南美 瑠美(みなみ るみ)です! よ、よろしくお願いします! カタカタした声であいさつすると、両親らしき人がこちらを見ている。 すると… 「今日から苗字は『桜井』でしょ?それに…写真よりブスじゃん!」 「っ!…」 まぁ言われても無理もないと思う。なぜって?私は養子として引き取られたから。 施設の方には、本当の両親含め、家族は他界したと聞いている。 改めてあいさつした。 「桜井 瑠美です。」 「は?何度あいさつされても、顔が良くなるわけないよね?分からない?」 「大変申し訳ございませんでした。」 私が土下座をすると、満足そうに部屋に戻っていった。 それからというもの、家族による暴言、暴力は止まることがなかった。 私には何の取り柄も、ないのだから。謝るしかない。 そう教えられて生き伸びた。そんな私ももう大人。 ある日、いつもと同じように家事をしていると、息が詰まった。 何とか自力で救急車を呼ぶと、気絶してしまった。 目を開けるとそこは病院で、知らない子が覗き込んでいる。 私より年上だろう。するといきなり口を開いて、 「あなたの本物の家族の、瑠花(るか)です。私はお姉ちゃんに当たる人です。」 と言ってきた。状況が理解できず固まっていると、事情を話してくれた。 どうやら話は本当らしい。話によると南美家は、昔火事に遭ってしまったらしい。 両親は死んでしまったらしいけど、私達姉妹は生きていた。瑠花さんは、心臓に 損傷を負って、病院へ。私は怪我を負わなかったが、親が見つからず、施設へ。その後、桜井家に引き取られた。 そして今に至る。と、そう言っている。私は喜びやら悲しみやらで訳が分からなかったけど、入院しているうちに 瑠花さんは、もう助かることはないと知った。あの時の損傷が原因だということも知った。 今日、昼間に急変してしまったのだ。 2人しか居ない大部屋で、モニターが「ピッピッピッピッ…」と音をあげている。恐らくもう 最後なのだろう。せめてお礼をしなきゃと立った瞬間、ガバッと抱きしめられた。 「生きていて、よかった。瑠美、大好きだよ!」 そう微笑む。私も、 「ありがとう。大好きだよ。瑠花さ…お姉ちゃん!」 2人は微笑み合った。 そして、モニターが「ピーーー!」と鳴った。 ちなみに桜井家では、私以外のお手伝いさんがおらず、大混乱!私に謝罪し、『幸せな家族』へと、 変わりました☆ ーーーーーーーーーー 終わりです!めちゃくちゃ長かったと思いますが、読んでん頂き、ありがとうございました! 感想お願いします(^^)

短編小説みんなの答え:1

一日一回、天気勝負!

「今は秋だし…季節の変わり目!雨がちょうどいいよ」 「でも、晴れの可能性もあるわよ?」 「雪…今日地味に暑いし、力出せない…」 「今日の天気は曇りだ!」 私はアメナ。雨の守り神。 今は、勝負前の準備運動中。 この勝負では、今日の天気を決める。 勝った守り神の天気が、今日の天気となる。 つまり、私が勝てば今日の天気は雨。 「よし…始めるぞ!」 そう言う彼はモクリくん。曇りの守り神。 「今日も勝たせてもらうわ…」 この子はレレハちゃん。晴れの守り神。 「僕…負ける気しかしない…溶ける…」 暑そうにしている彼はオユキくん。雪の守り神。 「「「「よーい、スタート!」」」」 四人一斉にみんなに襲いかかる。 「あ、暑い…しぬ…」 「オユキ、失礼っ」 モクリくんがオユキくんに攻撃した。 大量の霞がモクリくんの手から発射された。 オユキくんはその場で倒れた。 「よぉし、一人脱落!」 「油断しちゃダメよ、モクリ」 次はレレハちゃんがモクリくんに攻撃した。 レレハちゃんの手には、直視できない光があった。 その光がモクリくんめがけて発射された。 「あ…っちぃな…」 モクリくんは目を回して倒れた。 「さぁ…アメナ。あとは貴女だけよ」 「ひ…ひぃ」 「って言っても…貴女いつもこうなったら私にやられちゃうわよね」 (その通り…隙がなさすぎて…) 「だから、一回だけ攻撃していいわよ」 「え…いいの、レレハちゃん?」 「えぇ、いいわよ」 (じゃぁ…やろう) 片手に水を宿し、もう片方に雷を宿した。 (水に乗せて雷を撃てば…感電するはず) レレハちゃんに向かって水を発射させた。 するとレレハちゃんは水でビショビショになった。 (なるほど…晴れの守り神だから水に弱いのか) そうして、レレハちゃんに雷を撃った。 …でもレレハちゃんは、にっこりと笑ってこちらに手を向けてきた。 『振り返り天気です。今日の天気は、天気雨でしたね』 「「ひ、引き分けぇぇ!?」」 「う、うん。私たちの攻撃が同時に当たって同時にやられたんだと思う」 「まさか、こうなるとは思わなかったわ…」

短編小説みんなの答え:2

君と桜と僕と春

春。桜。 僕が一番嫌いな花。 _____悠君はどうして桜が嫌いなの? 「桜なんて直ぐに散ってしまうから。儚いし夢が壊れるみたいだ。」 _____でも、桜は人々に元気を与えるでしょう? 「君と過ごせない春ほど辛いものは無いよ。」 その時、ふわりと柔らかい春風が吹いて、桜が散った。 __僕の膝に花びらが舞い降り、君の顔が脳裏に映る。 「珠愛、、、」 珠愛(みあ)は僕の幼馴染だった。 昔から好奇心旺盛で桜が大好きな珠愛___が大好きな僕。 幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。 小学校、中学校。 中学3年の三学期には珠愛と付き合い始めた。 ずっと続くと思っていた幸せは、高校に入ったときに簡単に壊れて散った。 珠愛が、急病で亡くなった。 付き合って数週間、珠愛は病気にかかって死んだ。 4月、桜の季節。 毎年、絶対珠愛とお花見に来る。 今年は、行かなかった。 桜なんて僕達の幸せみたいに一瞬で儚く消えてしまうから。 だから僕は、 ___________桜も春も大嫌いだ。 どうも、里音です。 初めて小説を書いてみました。 小説を書くのは苦手で、読みづらかったりわからなかったりするかもしれません。 ですが、ここまで読んでいただけて感謝しています。 ありがとうございました。

短編小説みんなの答え:1

桜の舞う木の下で

私の名前は莉緒。そして、今気持ちを伝えた、目の前にいる男子が来斗だ。彼はクラスでも人気のイケメンだ。運動もクラスTOP3だし、勉強もできる方だ。だからといって真面目というわけでもなく、面白くて男女問わずみんなが話しやすいと思える人だ。 そして、返ってきた返事は。 「莉緒ちゃん。こちらこそ、よろしく」 来斗は照れくさそうに言った。思っていた展開と違い、私の頭の中はパニックに陥っていた。 「これって、夢...じゃない...?」 私はこの状況が信じられなかった。 「違うよ。俺の言葉が信じられなかったら、ほっぺをつねってみて。」 彼がわざと甘い声で言った。 「痛っ...!」 つねったほっぺは痛かった。とても痛かった。 「ってことは、これ、現実?本当なの?」 彼ははにかんだ様子で頷いた。 「うん。よろしくね。」 と彼が言った。 すると、急に強い風が吹き、桜を散らした。辺りは桜吹雪でいっぱいだった。 とても綺麗、と私は心から思った。 「頭に桜、ついてるよ。」 彼は照れくさそうに、私についた桜を取ってくれた。 「あ、ありがとう...来斗くん…」 胸がうるさい。ドクドクと音を立てている。今、私の頬はきっと桜のようなピンク色に染まっているだろう。 「じゃあ、帰ろうか」 「だ...だね」 今日から私は彼女になる。そして、彼氏ができる。心がびっくりするくらい弾んでいた。こんなに楽しい帰り道は、久しぶりだ。 家に帰って、私はベットに寝転がった。 すると、スマホの着信音が鳴ったので覗いてみると、来斗君からメールが来ていた。彼からのメールを開く。その内容は。 『ねぇ、莉緒ちゃん。』 『これから、莉緒って呼んでもいい?』 「…!ヤバい!嬉しい!」 私の心臓は飛び出そうだった。 私は彼にこう送った。 「もちろん!」 「私も来斗って呼んでもいい?」 するとすぐに彼から返信が。 「うん!いいよ」 「莉緒に名前で呼んでもらえて、すごく嬉しいよ」 私は言葉では表せないほど幸せだった。 私の心の中は、期待と希望でいっぱいだ。 世界中のものがキラキラと輝いて見えた。 それから15年後… 「ねぇ、来斗。」 「洗濯物干すの手伝ってくれない?」 「もちろん。いいよ。」 すると、娘の莉来が小学校から帰ってきた。 「ただいまぁ~」 「おかえり。おやつそこにあるから食べてね。」 こういう来斗と莉来の3人で暮らす普通の日常が、私にとってかけがえのないものだ。 私の未来への希望は、来斗に告白されたあの日の希望と変わらない、とても大切なものだ。 ~終わり~ 〈あとがき〉 登場人物の名前は、 ・莉緒(りお) ・来斗(らいと) ・莉来(りら) の3人です。 莉来の名前は、莉緒の「莉」と、来斗の「来」を組み合わせて「莉来」にしました。 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!感想をよろしくお願いします。

短編小説みんなの答え:1

【短編小説】華麗な紅

昔から、身長が高いことがコンプレックスだった。背の高い人は威圧感があるとか、小さい頃はよく言われたものだ。 女として見られていないのかと不安になった時期もあった。男友達の方が多いし、そもそも自分は恋愛対象ではないのかもしれない、なんて。 同性の友人たちからはモデルみたいだと言われるし、実際自分なりに意識して努力はしてきたつもりだ。 けれど、どうにかして人を貶さないと生きていけない人というのはどこにでも居るもので。 「あんたデカくて邪魔なのよ。なんなの?巨人族?」 「ほんとそれ!うちらの視界に入らないでくれる?」 毎日のように浴びせられる言葉に、いつしか慣れてしまっていた。自分よりも小柄な女の子たちの言うことだし、気にする必要もないとは思っていたけれど。コンプレックスを刺激されるのだけは嫌だった。 だけれど気づかれないフリをして、いつものように過ごしていれば、そのうち飽きて言わなくなると思っていた。 けれど、そのせいで本当に自分が着たい服、やりたいメイク、そういったものがどんどん遠ざかっていった。 本当は、スカートを履きたい。可愛い髪型にしたい。もっとおしゃれを楽しみたい。 でも、それを口に出すことはできなかった。言ったところでどうせまた、あの言葉を言われるだけだ。 ある日のことだった。 私の姉が、珍しく早く家に帰って来た。テーブルの上で突っ伏して、鼻を啜る音が聞こえる。 「……どうしたの?お酒でも飲んだの?……あ、でも昼だし飲んでないか」 「……違うよぉ」 「じゃあ何?泣いてるの?」 「……うん」 姉の向かい側に座ると、彼女の泣き腫らした顔がよく見えた。 どうやら相当落ち込んでいるようだ。何かあったのだろうか。……まさか、彼氏と別れた?いや、それはないだろう。 彼女は私とは違って、とても可愛らしい容姿をしている。昔からずっと一緒に居たけれど、正直羨ましいと思うことの方が多かった。 「私、遊ばれていた。典型的な日本の女の子みたいだから、遊ぶのには丁度良かったんだって」 「……そっか」 「それで、お金も持ってかれたし、連絡先消されてたし……」 あぁ、これはダメだな。完全に捨てられたパターンのやつだ。 「もっと強い女の人にならなくちゃ、あんたみたいな」 「別にいいんじゃないの、か弱くても。逆にお姉ちゃんみたいな人が羨ましい」 思わず本音が出てしまった。けれど訂正するつもりはない。だって、嘘をつく方が余計惨めになってしまうから。 「……いい?か弱い女には男が寄ってくるけれど、その代わりに好き勝手弄ばれるのよ。あんたはそうならないように、強くならなきゃいけないの」 「うーん、そういうもんかなあ」 「そうよ」 そう言って、姉はまた涙を零した。私はティッシュを渡して、彼女が落ち着いた頃に話を切り出した。 「あんたはまず自信をつけなきゃ。そうしたら完璧なのに」 「自信って言われてもなあ。身長も高い方だと思うんだけど、それでもだめなの?」 「……なら、私があんたに魔法かけてあげるわ。ちょっと待ってなさい」 そう言い残して、姉は自室に向かった。 一体何をするのだろう。そう思いながら待っていると、数分後に戻ってきた。そして手に持っていたものをこちらに差し出してくる。 それは、真っ赤な口紅だった。 「これ使って。一回も使っていないし、新品だから安心して」 「えぇ、でも似合わないんじゃない?こういう色」 「大丈夫。絶対似合うようになるから」 半ば強引に渡されたそれを、渋々受け取った。とりあえず鏡の前でつけてみることにする。 恐る恐る唇に近づけてみると、思ったよりも鮮やかな色に驚いた。こんな色、自分には到底無理だろうと思っていたのに。 「やっぱり似合ってる」 「でもなんか恥ずかしいよ」 「慣れよ慣れ。これであなたは強気になれまーす」 姉は茶化しながら言うと、再び机に突っ伏してしまった。まだ気持ちの整理がついていないのかもしれない。 私は貰ったばかりの口紅を手に取って、じっと見つめた。なんだか不思議な気分だった。 翌日の朝、私は口紅を通学鞄の中に忍ばせた。化粧品を持ち込んだりするのは校則違反だけれど、先生に見つかれば没収されてしまうし、何より目立つ。 だけれど、何だかお守りみたいな感じがして、どうしても持っていきたかった。 これを持っていれば、いつでもこの口紅を塗ることができるくらい、私は強気なんだって思える気がするから。 絶対、絶対、絶対。私を見下してきた子よりも幸せに、強くなってやるから、紅い口紅を握りしめながら誓った。

短編小説みんなの答え:4

翡翠

“翡翠と、瑠璃と、珠月は、ずーっと…ずーっと親友だから!ね!” あの夏、君が残したこの言葉。 ーずっと、忘れないよ。 1年前、私、瑠璃は珠月と翡翠と大の親友だった。 ー今は、もう違うけど。 理由は、翡翠の突然の死。 翡翠は亡くなる前日、瑠璃と珠月に言ったんだ。 「もう、会えないかもしれないね。翡翠と瑠璃と珠月。この3人で。」 「でも、翡翠と、瑠璃と、珠月は、ずーっと…ずーっと親友だから!ね!」 そう言って、翡翠は瑠璃たちに小指を突き出した。 この頃、瑠璃は、翡翠が冗談を言っているんだと思ってた。 だって、“会えないかもしれないね”なんて… 今まで、ずっと、ずっと一緒にいたのにさ。 翡翠は、わかってたんだと思う。 次の日に、亡くなることを。 だから、瑠璃と珠月にそんなことを言ったんだと思う。 翡翠が亡くなってから、今日で1年。 今日もあの日のように、暑く、温い風が吹いていた。 「翡翠、今年もよろしくね。」

短編小説みんなの答え:1

とある春の桜の話

彼女はそこにいた。 桜の花びらが散っているなか、 そこにふゎっと精霊のように 現れた。 正直、何かの夢かと思っただけど 彼女は、俺に気づいたのかこっち に向かってきて来て耳元で 『 』とささやいた。 そしてくしゃっと笑って消えた。 、、、、さっきのは夢だったのか、 と俺は驚いていた。 なんだってさっき出会った彼女は、 車にひかれて死ぬところの 俺を庇ってに交通事故に遭った おれの幼馴染何だから。 見間違えるはずがない。 ずっと好きだったんだから。 そんな事を考えてると 桜の大木の下に何かが光っている 事に気がついた。 そこに行くと、あるキーホルダーが 落ちていた。 それは、桜がいつも付けていた キーホルダーだった。 これはお揃いで桜はサクラの、 俺は、橘の花だ。 なんせ、俺の名前は光橘(みつき) なのだから。 桜と橘は対となる花だ。 だから、二つで一つだね、と話していた。 俺は急に二つとも一緒に させたくななった。 俺は走り出した。 そんな俺を木の上から桜は フッと笑って さっきの言葉を繰り返した。 『好きだよ、光橘。』

短編小説みんなの答え:2

雨がやみませんね

ただ、静かに雨音が響くとある夏の昼下がり。 バス停には俺とサラリーマンの二人だけ。 この時間帯、バスはあまり来ない。 一人分の席を開けて俺らはバス停のベンチに腰掛ける。 毎朝見かけるサラリーマンの男性。25歳ほどだろうか。 いつもは綺麗にセットされた髪も、今日は急な雨で崩れている。 少し透けたシャツに気づいて顔と耳に熱が集まるのを感じ、すぐに目を逸らす。 だけど、やっぱり気になってちらりと彼の横顔を盗み見る。長いまつ毛、綺麗な横顔、高い鼻。そして、血色の良い赤い唇につい目が奪われる。 すると、彼はこちらに気付き軽く笑った。 「せっかくの半休なのに雨に降られちゃったよ」 内心かなりドキッとしたが、冷静を装って俺は答える。 「それは、残念ですね…」 「君は?この時間は学校じゃないの?」 「…早退して」 「体調不良?」 「あ、いや…その」 実際は単なるサボりだ。別に嘘をつけばよかったのに、この人には何故か嘘をつきたくなかった。 彼は少し驚いた顔をした。…失望されただろうか? 「ははは、そういう日もあるよな」 彼は深堀はせずにまた軽く笑った。 「怒らないんですか?」 「何を?…あーまあ、真面目そうなのに意外だなとは思ったけど、そんな堅苦しく生きてたら息詰まっちゃうでしょ?」 「…なるほど」 彼は目線だけこちらにやり、ニヤリと口角を上げた。こちらも彼に対して真面目そうだという印象があったから、そのいたずらっぽい笑い方を少し意外に思った。 「これからどこ行くの?」 そう言えば何も決めてなかった。何となくこのバス停に来て、何となくそのまままっすぐ家へ帰ろうとしていたが…なるほど、どこかに寄り道するのもありなのか。 「どこ行っても楽しいけど、制服だとバレるから着替えた方がいいよ」 「え」 「俺も学生の頃はしょっちゅうサボって遊んでたからさ。先輩からのアドバイス」 あ、まただ。少年のような笑顔。 俺は「ありがとうございます“先輩”」と言い、二人で笑いあったあと遠くの入道雲を眺めた。 雨音と俺達の声だけが響く心地よい静かな空間。この世界に二人だけになったかのようだった。 しばらく経つと家の方面のバスがやってきた。 彼はバスに乗るためにベンチから立ち上がる。雨はとっくに止んで、そこにはただ青い空と白い雲だけがあった。だけど俺は言う。 勇気を振り絞って声に出す。 「雨が、やみませんね」 聞こえただろうか。それとも彼の耳に届く前にバスの音で消えてしまっただろうか。 しばらくの沈黙が続く。 ―あぁ、言わなければ良かったかもしれない。これからも「同じバスの人」という関係を続けておけば良かったかもしれない。 そう思ったとき、彼はこちらへ向かって歩いて来てまた隣に座り直した。 「そうですね、雨がやむまでもう少し居ましょうか」 顔を上げると、彼はさっきの少年のような笑顔ではなく大人の余裕のある笑顔をしていた。 そして、永遠に続く青空の下、俺達はまた話し始めた。 【解説(?)】 高校生×サラリーマンの純情BLです。 「月が綺麗ですね=あなたのことを愛しています」といったような感じの言葉がいくつかあるのですが、今回はそのうちの「雨がやみませんね」「永遠に続く青空」を使いました。知らない方はぜひ調べてみてください。(私がここに書くより自分で調べた方がワクワク感あるかなーと思うので) 最初に高校生×サラリーマンと書きましたが、今回は『純情』をテーマに書いたので特に受け攻めは考えてません。私的にはどちらも捨てがたいし、どっちがどっちでもおいしいなと思うので、そこはみなさんのお好きな方で想像してください。

短編小説みんなの答え:2

流れ星見るその日には。

「あ、一等星だぁ~!」 小さい頃から星を見ていた私。 母子家庭だった私の家は、すごく静かだった。 お母さんは、家に帰ってこなくて、ずっと会社に泊まり込みで、 お姉ちゃんも寮付きの高校に行っているから、私は、ずっと一人ぼっちだった。 キミがこの家に来るまでは___ ピーンポーン 私の家のインターホンがなった。 誰だろう。そう思いながら、玄関の扉を少し開けて、外を覗く。 そこには、知らない私と同い年くらいの女の子がいた。 分厚い本を抱えながら、もじもじしている。 私は扉を全開に開けて、聞いた。 「あなた、誰ですか?」 と。そうするとその子は、 「え、っと、星野ほしですっ!実は私、、、あなたとお友達になりたくて、、、よければほしって呼んでねっ!」 と、作り笑いをしながら言った。 「じゃ、私も自己紹介するね。暗闇めぐりです。星が大好きなんだけど、ほしは?」 そう名前を教え、質問すると、 「え、めぐりちゃん、星が好きなの!?実は私も大好き!」 満点の笑みでそう言った。今度は、作り笑顔ではなく本当の笑顔だ。 よく見てみると、分厚い本は星の本だった。 「ほし、私の家に入る?」 そう聞くと、 「え、いいの!?じゃあ、入らせてもらおうかな。」 そうして、私の家で本を読んだり遊んだりしていたら、午後六時になっていた。 「あ、ごめんね!ほし。もう帰る時間だよね。」 そう聞くと、 「ううん、私、虐待されてるから、帰りたくない。ごめんね、わがまま言って。公園で寝ようかな。」 かなしそうな声を出して、泣き出した。 私だって、ほしと離れたくなかった。 「じゃあ・・・ここで泊ってく?お母さんもどうせ帰ってこないし。」 そう言うと、 「え、いいのめぐりちゃん?いいなら、、、一緒に星を見よう!」 元気な声でそう言った。私が、「うん、一緒に見よう。星を。」と言うと、ほしはもっと笑顔になっていた。 「あ、一等星だ!」 その時にみた一等星は、小さい頃に見た一等星よりも、すごく輝いていて、美しかった。

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