【短編小説】ある女の子のお話
長文、微ホラー?注意です
ここではないどこかに、ひとりぼっちの女の子がいました。女の子はくる日もくる日もたったひとりで泣いていました。
ある日、泣いていた女の子の元に一人のおじいさんが現れて、女の子の涙をハンカチでぬぐってくれました。
次の日にもおじいさんは現れ、女の子のことをそっと抱きしめました。その次の日には飴玉を、そのまた次の日には可愛いお洋服を、おじいさんは泣いていた女の子に毎日色々なものを与えました。
日を重ねるごとに女の子の涙は止まっていきました。
次の日、おじいさんは女の子にピンク色のリボンを着けたくまのぬいぐるみを渡しました。女の子はとても喜びました。
その日の夜、女の子はぬいぐるみに話しかけてみました。
「はじめまして、わたしはヒナっていうの。あなたのおなまえは?」
『はじめまして!きみはヒナっていうんだね、ぼくのなまえはクマスケ!クーちゃんってよんでよ!』
女の子はひとりで会話をしていました。でも不思議とひとりぼっちな気はしません。
「ねぇ、クーちゃん。わたしね、あなたとね、おともだちになりたいな……って」
『もちろん!きょうからヒナとぼくはおともだちだよ!』
「やったぁ!ありがとう、クーちゃん!」
女の子に初めての友達ができました。
次の日、おじいさんは女の子にピンク色のリボンをくれました。女の子はクーちゃんとお揃いになれてとても嬉しく思いました。
その日の夜も、女の子はぬいぐるみに話しかけていました。
「クーちゃん、みてみて!おそろいのリボンだよ!」
『ほんとうだ!かわいくてヒナににあってるよ』
「おそろいでうれしいな、クーちゃんもうれしい?」
『うん、おそろいになれてとってもうれしいよ!』
女の子はひとりで会話をしているのを忘れてぬいぐるみとのおしゃべりにひたっていました。
そんな日がしばらく続いた日の夜、女の子はぬいぐるみに相談をしてみました。
「ねぇ、クーちゃん。わたしね、あのおじいさんにおれいがしたいの。でもね、わたしあのおじいさんについてなんにもわからないの……。どうしたらいいとおもう?」
『うーん、そうだなぁ。なんにもわからなくてもおれいはできるんじゃないかな?』
「たしかにそうね、あしたおれいをいってみるわ!」
女の子は明日おじいさんにお礼をすることに決めました。
しかし、次の日おじいさんは現れませんでした。
女の子はとても悲しくなって、また泣きだしてしまいました。
『ヒナ、大丈夫?』
女の子は首を横に振りました。
『もしかしたらさ、今日はたまたま来ることができなかっただけかもしれないよ。だからそんなに泣かないで』
「……………………うん、」
その時女の子は気付きました。自分はしゃべっていないのにぬいぐるみが話しかけてきているのです。
「クーちゃん、おはなしできるようになったの?」
『そうだよ。だから早く泣き止んで、ヒナが泣いているとぼくも悲しくなっちゃうんだ。泣き止んだらまた沢山お話ししよう?』
それを聞いて女の子に少し元気が戻りました。
しかし、次の日もそのまた次の日にもおじいさんは現れませんでした。女の子の涙は止まりません。
それでも毎日女の子はぬいぐるみとおしゃべりをしていました。
そんなある日、女の子は夢を見ました。
『ヒナ、ぼくはあのおじいさんを探しに行ってくるよ。きっと見つけてくるから少しだけ待ってて』
ぬいぐるみはスッと立ち上がるとどこかへ歩き出して行きました。その背中がどんどん遠くなっていきます。
「いや!クーちゃんいかないで!わたしをひとりにしないで……!」
女の子の夢はここで終わりました。
なんだか嫌な予感がして辺りを見回すと、ぬいぐるみがどこにも見当たりません。
女の子はまたひとりぼっちになってしまったのです。
それから女の子はずっとずっと泣いていました。雨の日も風の日もずっとずっとです。
それからしばらくして、女の子はまた夢を見ました。
『ヒナ、ただいま』
そこにはボロボロになってしまったぬいぐるみがいました。
「クーちゃん……!」
「わたしね……クーちゃんがいなくてさみしかったんだよ……」
『ずっとひとりぼっちにしてごめんね、でももうどこにも行ったりしないよ、おじいさんを見つけてきたからね。だから安心して』
「ほんとうに!ありがとうクーちゃん。でもおじいさんはどこにいるの?」
『ヒナ、さぁこっちだよ、ついてきて!』
それから女の子はさめない夢の中でぬいぐるみとおじいさんとずっとずっと幸せに過ごしました。
その時の女の子の寝顔はとても安らかだったそうです。
終
最後かなり駆け足ぎみになってしまいましたが、ここまでお付き合いしていただきありがとうございました。 ませはさん(大阪・15さい)からの相談
とうこう日:2020年6月11日みんなの答え:2件
ここではないどこかに、ひとりぼっちの女の子がいました。女の子はくる日もくる日もたったひとりで泣いていました。
ある日、泣いていた女の子の元に一人のおじいさんが現れて、女の子の涙をハンカチでぬぐってくれました。
次の日にもおじいさんは現れ、女の子のことをそっと抱きしめました。その次の日には飴玉を、そのまた次の日には可愛いお洋服を、おじいさんは泣いていた女の子に毎日色々なものを与えました。
日を重ねるごとに女の子の涙は止まっていきました。
次の日、おじいさんは女の子にピンク色のリボンを着けたくまのぬいぐるみを渡しました。女の子はとても喜びました。
その日の夜、女の子はぬいぐるみに話しかけてみました。
「はじめまして、わたしはヒナっていうの。あなたのおなまえは?」
『はじめまして!きみはヒナっていうんだね、ぼくのなまえはクマスケ!クーちゃんってよんでよ!』
女の子はひとりで会話をしていました。でも不思議とひとりぼっちな気はしません。
「ねぇ、クーちゃん。わたしね、あなたとね、おともだちになりたいな……って」
『もちろん!きょうからヒナとぼくはおともだちだよ!』
「やったぁ!ありがとう、クーちゃん!」
女の子に初めての友達ができました。
次の日、おじいさんは女の子にピンク色のリボンをくれました。女の子はクーちゃんとお揃いになれてとても嬉しく思いました。
その日の夜も、女の子はぬいぐるみに話しかけていました。
「クーちゃん、みてみて!おそろいのリボンだよ!」
『ほんとうだ!かわいくてヒナににあってるよ』
「おそろいでうれしいな、クーちゃんもうれしい?」
『うん、おそろいになれてとってもうれしいよ!』
女の子はひとりで会話をしているのを忘れてぬいぐるみとのおしゃべりにひたっていました。
そんな日がしばらく続いた日の夜、女の子はぬいぐるみに相談をしてみました。
「ねぇ、クーちゃん。わたしね、あのおじいさんにおれいがしたいの。でもね、わたしあのおじいさんについてなんにもわからないの……。どうしたらいいとおもう?」
『うーん、そうだなぁ。なんにもわからなくてもおれいはできるんじゃないかな?』
「たしかにそうね、あしたおれいをいってみるわ!」
女の子は明日おじいさんにお礼をすることに決めました。
しかし、次の日おじいさんは現れませんでした。
女の子はとても悲しくなって、また泣きだしてしまいました。
『ヒナ、大丈夫?』
女の子は首を横に振りました。
『もしかしたらさ、今日はたまたま来ることができなかっただけかもしれないよ。だからそんなに泣かないで』
「……………………うん、」
その時女の子は気付きました。自分はしゃべっていないのにぬいぐるみが話しかけてきているのです。
「クーちゃん、おはなしできるようになったの?」
『そうだよ。だから早く泣き止んで、ヒナが泣いているとぼくも悲しくなっちゃうんだ。泣き止んだらまた沢山お話ししよう?』
それを聞いて女の子に少し元気が戻りました。
しかし、次の日もそのまた次の日にもおじいさんは現れませんでした。女の子の涙は止まりません。
それでも毎日女の子はぬいぐるみとおしゃべりをしていました。
そんなある日、女の子は夢を見ました。
『ヒナ、ぼくはあのおじいさんを探しに行ってくるよ。きっと見つけてくるから少しだけ待ってて』
ぬいぐるみはスッと立ち上がるとどこかへ歩き出して行きました。その背中がどんどん遠くなっていきます。
「いや!クーちゃんいかないで!わたしをひとりにしないで……!」
女の子の夢はここで終わりました。
なんだか嫌な予感がして辺りを見回すと、ぬいぐるみがどこにも見当たりません。
女の子はまたひとりぼっちになってしまったのです。
それから女の子はずっとずっと泣いていました。雨の日も風の日もずっとずっとです。
それからしばらくして、女の子はまた夢を見ました。
『ヒナ、ただいま』
そこにはボロボロになってしまったぬいぐるみがいました。
「クーちゃん……!」
「わたしね……クーちゃんがいなくてさみしかったんだよ……」
『ずっとひとりぼっちにしてごめんね、でももうどこにも行ったりしないよ、おじいさんを見つけてきたからね。だから安心して』
「ほんとうに!ありがとうクーちゃん。でもおじいさんはどこにいるの?」
『ヒナ、さぁこっちだよ、ついてきて!』
それから女の子はさめない夢の中でぬいぐるみとおじいさんとずっとずっと幸せに過ごしました。
その時の女の子の寝顔はとても安らかだったそうです。
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最後かなり駆け足ぎみになってしまいましたが、ここまでお付き合いしていただきありがとうございました。 ませはさん(大阪・15さい)からの相談
とうこう日:2020年6月11日みんなの答え:2件
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おもしろい! 短編小説の限られた字数の中でこれだけ中身の詰まった作品がかけるなんて!
途中まで読んだ時『おそろいになれてとってもうれしいよ!』とかいていたので全部おそろいにされてしまうのかなと思っていたらそういうことだったのですね!
私はクーちゃんが死神だったと考えています
真実をはっきりかかないで自分で考えるのが小説のおもしろい所だと思います Ayaさん(大阪・13さい)からの答え
とうこう日:2020年6月13日 -
さ、覚めない夢!? こんちは!雪見大福です
覚めない夢でお爺さんとくまが
幸せに…永眠したってことか…
こーゆーホラー系結構好きです!
くーちゃんは死神だったのかな?
それかお爺さんが女の子を
道連れにしようとしたのかな?
その辺はっきりさせた方が
もっと良くなると思います!
それでは! 雪見大福さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年6月12日
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