君とえらんだ繋ぎの輪
それは15年前、私が小学6年生だった頃。
率直にいうと、私はいじめられていた。六年生で引越してきた私はターゲットにされた。
持ち物に落書きされるのは日常茶飯事。時には上靴を捨てられ、給食の牛乳瓶の中に、カメムシの死骸をいれられたこともあった。
それでも私は死のうとは思わなかった。
それは、ママとパパがいるから。こんな私のために毎日働いてくれて、ご飯を食べさせてくれて。
そんなママとパパが大好きだったから。悲しい思いをさせたくなくて、いじめのことを黙ってたの。
それともう一つ。クラスメイトの中に、1人だけ心配そうな顔をして私を見ている人がいたから。
地味で運動神経も良くなさそうな彼だけど、見てるだけで助けてくれることもなかったけど、
心配してくれてるってことが、私のことを見てくれてる、考えてくれてる、ってことが嬉しかったのかもしれない。
だけどある日、誕生日にママとパパからもらった、ペンダントを盗まれた。
誰だか知らないけれど、すごく腹が立った。ショックだった。悲しかった。悔しかった。
だって、宝物だったから。こんな私を愛してくれるママとパパがプレゼントしてくれた、ペンダントだったのに。
すごく綺麗で、ステキで。ママとパパの愛がつまっている、そんなペンダントだったのに。
私のために一生懸命、夜遅くまで働いて稼いだお金でわざわざ買ってくれたペンダントだったのに。
それに、あの彼が珍しく興味をもって見つめていたものだったのに。引っ越す前のあの地で出会った初恋の相手のそっくりの彼が、興味を持ってくれたペンダントだったのに。
だから私は許せなかった。
落書きとか、牛乳の中にカメムシの死骸をいれられたことより、比べ物にならないくらい悲しかった。
私だけじゃなく、ママとパパも、あの彼すらも傷つけているような気がして苦しかった。
その時、私は、こう考えたの。
私が死んだら、ママとパパも彼も傷つけなくてすむ、と。
その日の夜、近くの河岸に足を運んだ。
覚悟はできていた。確かにそうだったのに。
体は微かに震えていた。怖い…。でも、これでママとパパを悲しませなくても良いんだったら…。
そう感じて、私は石段を力強く蹴ったのだ。
冷たい波を感じた。ああ、私は死ぬんだ。これでもう…。
そして目を閉じた瞬間、
「ほ、ほ、ほなみ〜〜〜!」
私の名前を呼ぶ声。
はっ、と水面から顔を一瞬あげると、石段のところに彼がいた。彼は、私の名前を呼ぶ。
「ほなみ〜〜!こっちに来ぉい!死んじゃダメだぁ〜!」
彼だ。彼の声だ。
私は本能で、彼の名前を呼んだ。
「みな、と…」
死んじゃいけない…なんて嘘だ。私なんて…死んだ方が、良いん、だ、から…。
私の体がズブズブと飲み込まれていくのがわかった。
息が続かなくなった、その瞬間、
誰かに手を掴まれた。
細くて、弱弱しい手が、私の手をがっしりと握っていた。
「ほ、ゲホッ、なぁ、み…。」
彼が、私の近くにいた。
「み、な…と?…なの…?」
手の先からか弱い声が返ってくる。
「そう…だ、よ…。ほな、…み。死んじゃダメ…………。そこの岩に……、つかま…って…。」
岩を右手で掴んだ。ギュッと、決して離れぬように。
だけどその時、片手の温もりが離れた。
「ほな、み…。大…、好きだ…よ…。」
「み、なと?」
そう後ろを振り返ると、そこには波の渦しか見えなかった。
「み、な…と?!みなと?!嘘でしょ…?みなと?!」
岩の上から彼の名前を呼ぶ。でも、返事はなかった。
後日、湊人が、帰らぬ人として、沖で見つかった。
ママとパパは怒りと悲しみの目で私を見た。
私は、悔やんだ。自分の浅はかな、行動も。考えも。何もかも全部。
私のせいで湊人は、死んでしまった。
こんな私のためだけに、自分を犠牲にして。
何も言えなかった。何も伝えられなかった。
何も…、何も……。
涙がまた溢れ出す。みなと宛に書いていた書き途中のラブレターも、涙に沈んでいる。
どうして…、どうして…、私を置いていってしまったの…。
引越しが決まって、会えないと思っていたのに、なぜか私のクラスメイトで。
不思議で驚きで、確信が持てなくて。でもすっごく嬉しくて。はねあがってた。
でも、私のせいでこんなことになってしまった。
悲しみと悔やみが私を包んで、離れなかった。
でも同時に、感謝の気持ちが膨れ上がった。あの後、ママとパパは私が死んだ方がずっと辛い、と言っていた。そのことを知らずに、私は死んでたかもしれないのだ。
湊人、こんな私を助けてくれて、本当にありがとう。大好きだったよ。
あーぴぃさん(大阪・12さい)からの相談
とうこう日:2020年6月14日みんなの答え:2件
率直にいうと、私はいじめられていた。六年生で引越してきた私はターゲットにされた。
持ち物に落書きされるのは日常茶飯事。時には上靴を捨てられ、給食の牛乳瓶の中に、カメムシの死骸をいれられたこともあった。
それでも私は死のうとは思わなかった。
それは、ママとパパがいるから。こんな私のために毎日働いてくれて、ご飯を食べさせてくれて。
そんなママとパパが大好きだったから。悲しい思いをさせたくなくて、いじめのことを黙ってたの。
それともう一つ。クラスメイトの中に、1人だけ心配そうな顔をして私を見ている人がいたから。
地味で運動神経も良くなさそうな彼だけど、見てるだけで助けてくれることもなかったけど、
心配してくれてるってことが、私のことを見てくれてる、考えてくれてる、ってことが嬉しかったのかもしれない。
だけどある日、誕生日にママとパパからもらった、ペンダントを盗まれた。
誰だか知らないけれど、すごく腹が立った。ショックだった。悲しかった。悔しかった。
だって、宝物だったから。こんな私を愛してくれるママとパパがプレゼントしてくれた、ペンダントだったのに。
すごく綺麗で、ステキで。ママとパパの愛がつまっている、そんなペンダントだったのに。
私のために一生懸命、夜遅くまで働いて稼いだお金でわざわざ買ってくれたペンダントだったのに。
それに、あの彼が珍しく興味をもって見つめていたものだったのに。引っ越す前のあの地で出会った初恋の相手のそっくりの彼が、興味を持ってくれたペンダントだったのに。
だから私は許せなかった。
落書きとか、牛乳の中にカメムシの死骸をいれられたことより、比べ物にならないくらい悲しかった。
私だけじゃなく、ママとパパも、あの彼すらも傷つけているような気がして苦しかった。
その時、私は、こう考えたの。
私が死んだら、ママとパパも彼も傷つけなくてすむ、と。
その日の夜、近くの河岸に足を運んだ。
覚悟はできていた。確かにそうだったのに。
体は微かに震えていた。怖い…。でも、これでママとパパを悲しませなくても良いんだったら…。
そう感じて、私は石段を力強く蹴ったのだ。
冷たい波を感じた。ああ、私は死ぬんだ。これでもう…。
そして目を閉じた瞬間、
「ほ、ほ、ほなみ〜〜〜!」
私の名前を呼ぶ声。
はっ、と水面から顔を一瞬あげると、石段のところに彼がいた。彼は、私の名前を呼ぶ。
「ほなみ〜〜!こっちに来ぉい!死んじゃダメだぁ〜!」
彼だ。彼の声だ。
私は本能で、彼の名前を呼んだ。
「みな、と…」
死んじゃいけない…なんて嘘だ。私なんて…死んだ方が、良いん、だ、から…。
私の体がズブズブと飲み込まれていくのがわかった。
息が続かなくなった、その瞬間、
誰かに手を掴まれた。
細くて、弱弱しい手が、私の手をがっしりと握っていた。
「ほ、ゲホッ、なぁ、み…。」
彼が、私の近くにいた。
「み、な…と?…なの…?」
手の先からか弱い声が返ってくる。
「そう…だ、よ…。ほな、…み。死んじゃダメ…………。そこの岩に……、つかま…って…。」
岩を右手で掴んだ。ギュッと、決して離れぬように。
だけどその時、片手の温もりが離れた。
「ほな、み…。大…、好きだ…よ…。」
「み、なと?」
そう後ろを振り返ると、そこには波の渦しか見えなかった。
「み、な…と?!みなと?!嘘でしょ…?みなと?!」
岩の上から彼の名前を呼ぶ。でも、返事はなかった。
後日、湊人が、帰らぬ人として、沖で見つかった。
ママとパパは怒りと悲しみの目で私を見た。
私は、悔やんだ。自分の浅はかな、行動も。考えも。何もかも全部。
私のせいで湊人は、死んでしまった。
こんな私のためだけに、自分を犠牲にして。
何も言えなかった。何も伝えられなかった。
何も…、何も……。
涙がまた溢れ出す。みなと宛に書いていた書き途中のラブレターも、涙に沈んでいる。
どうして…、どうして…、私を置いていってしまったの…。
引越しが決まって、会えないと思っていたのに、なぜか私のクラスメイトで。
不思議で驚きで、確信が持てなくて。でもすっごく嬉しくて。はねあがってた。
でも、私のせいでこんなことになってしまった。
悲しみと悔やみが私を包んで、離れなかった。
でも同時に、感謝の気持ちが膨れ上がった。あの後、ママとパパは私が死んだ方がずっと辛い、と言っていた。そのことを知らずに、私は死んでたかもしれないのだ。
湊人、こんな私を助けてくれて、本当にありがとう。大好きだったよ。
あーぴぃさん(大阪・12さい)からの相談
とうこう日:2020年6月14日みんなの答え:2件
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マインの紹介で読んだ! タイトル通り!
マインの紹介で読んだヨ!
すごい!すごい!語彙力ない私は尊敬しちゃうレベル!
あーぴぃさんのお話って、切ないけれど、ちゃんと伝えたいことがあるのでステキだなと思いました!新作楽しみです! ゆなさん(秋田・14さい)からの答え
とうこう日:2020年6月20日 -
めっちゃすごい! 最近「埋もれちゃってる小説」を読むのを頑張ってるんだ!
今日見つけた「埋もれちゃってる小説」の中で最高の出来だった!
めっちゃ面白いし、切ないし、もう最高!
埋もれちゃってるなんて、もったいないくらい!
感動ありがとう!!! マインさん(秋田・15さい)からの答え
とうこう日:2020年6月20日
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